第2話:覚醒
突然、漠也の口から発せられた殺人予告・・・
クラス内の生徒全体が漠也に対して恐怖を抱いていた。
「まず誰が殺られれるかお前らで決めろ」
漠也はそう言って近くにあった椅子に座り、生徒たちを監視する。生徒たちは静かに辺りを見る、みんな有志がでることを待っているのだ。
誠はその状況に納得した。
当然だ、みんな死にたくないのは・・・・・・ただだからと言って誰かが立候補するのを待つだけって・・・・
誠は拳を力強くと握ると、漠也のほうに向かって歩きだすとこう言った。
「ーー俺が行く・・・」
漠也は「おぉ!」と言って狂気じみた顔で笑いだすと、誠に向けて拍手してこう言った。
「最高だァ!このまま全員一気に殺って終わるのかと思ったァ!」
「お前のおかげこいつらはちょっと生きることが出来るんだァ・・・お前らも感謝しろよォ?」
生徒たちは漠也の狂気じみた顔を見て再度恐怖した。
「さっさと殺れよ・・・・・・」
誠は漠也に対してそう言った。
漠也は誠のその態度をみて腹が立ち、声を荒らげてこう言った。
「ああァァ!!!わかったよォ!!そんなに死にてぇならとっとと殺してやるよォ!!」
漠也はそう言って誠の頭を叩こうとした。
「顔を爆散させて死にやがれェェェェ!!!!」
すると次の瞬間、誠は近くにあった椅子を漠也のその気持ち悪い顔に精一杯の力で投げた。
漠也は「グハァ」と言ってその場に倒れ込む。
「早く逃げやがれ!じゃないと死ぬぞ!」
誠が生徒たちのほうを向いてそう叫ぶと生徒たちは急いで教室の外へ逃げ出して行った。誠は生徒たちの無事を確信して安心した。が、倒れ込んでいた漠也は頭を抱えながらフラフラと立つ。
「い、ててててて・・・なにしやがんだァァ!!」
漠也はそう叫ぶと、誠に向けてムチのように腕を振る、すると漠也の手のひらから衝撃波のようなものが現れ、その衝撃波は誠を驚異的なスピードで襲う。
「危なっ!!!」
誠は間一髪その衝撃波を回避することができた。学校内に爆発音が鳴り響く。誠は恐る恐る背後を見ると、その先にあった壁にはさっきとは比にならないぐらい大きな穴が空いてあり、校門に向かって全力で走っている生徒たちがいるのが目に見えた。大きな穴から強い風が吹き荒れて、誠の髪をなびかせる。
誠はその衝撃波の威力に驚愕した。
人間じゃねぇ・・・・・・
しかし、漠也もさっき自分したことに驚いたようで、自分の手のひらを見て笑いながらこう言った。
「これはすげぇや!俺こんなことできたんだなァ!」
「最高だぜェ!!!」
漠也はそう叫ぶと、再び漠也に向けて手をムチのように振り衝撃波をだす。誠はそれを回避するが、漠也の攻撃は止まらなかった。次々と瞬足の速さで迫り来る衝撃波を誠は全身を使って交わし続ける。気づけば教室は穴だらけになり原型を留めていなかった。
そして次の瞬間、床崩れ落ちそれと共に誠も落下する。誠は身体を強打し、瓦礫の上に倒れ込む。
漠也のほうはどうかというと、綺麗に着地して瓦礫の山のを歩いて誠を探していた。
「おいガキィ!どこだァ?かくれんぼか?こういうのは嫌いなんだ、とっとと出てこいよォ・・・」
正直、バレるのはもう時間の問題だった。漠也の足音確実にこちらへと近づいてきているのだ。
ーーーはや・・・く、どこかへにげ・・・・・・ないと・・・
誠は手を伸ばし腕の力だけでどうにか逃げようとする。しかし、手で瓦礫を力強く掴んだせいでわずかだが、音を出してしまう。当然漠也がそれに気づかないわけがなく、ニヤケながらその音のした方へ向かう。
コツコツコツコツ・・・死へのカウントダウンは着実に進んでいる。誠は何とか逃げようとするも、さっきのダメージが大きすぎたせいか、身体が思うように動かない。
そして気づけば背後に漠也が立っていた。誠は漠也の気配に気づくと。腰をひねって後ろを向き、その死神の姿をこの目で見る。
「そこにいたのかァ!」
そう言って死神は笑った。
その瞬間、誠は死の予感がした。
あぁ・・・ーーーもうダメだ・・・もう終わっちゃうのか・・・俺の、人生は・・・・・・
刹那、誠の脳内にある記憶がフラッシュバックする。転入前の出来事、誠が転入することになったきっかけになった出来事である。
なぜか誠の心のなかで怒りの感情が込み上げてくる。
なぜ・・・こうならないといけないんだ・・・
なぜ・・・俺だけこんな目にあうんだ・・・・・・
なぜ・・・殺されなきゃいけないんだ・・・・・・・・・
次々と流れ込んでくる嫌な記憶の破片・・・それを思い出す度に誠の怒りのゲージが上昇していく。
そして次の瞬間・・・誠の怒りは臨界点に達し、誠の頭のなかで次の言葉がでてきた。
絶対に生き残ってやる!
その言葉が・・・たったその言葉がスイッチとなり・・・誠の魂に炎をつけた!
「な、なんだ!?」
漠也は誠の周辺を纏うように漂う風に吹き飛ばされ、その先にあった壁に激突した。壁は崩れ落ち、粉砕してできた瓦礫が漠也の頭に降り注ぐ。
嵐のように吹き荒れている状況で漠也はボヤけた視界で何とか誠の存在を確認し、こう言った。
「なんだんだ、あの化け物じみた気配は・・・・・・!?」
漠也はその瞬間、あることに気がついた。
さっき神崎だと思ってた気配はもしかして、あいつの気配だったのか!?
そう、漠也が3時間前に感じた気配と今の誠の気配が全く同じことに・・・
すると次の瞬間、誠を中心に白い光が広がり始める。
漠也は本能的に目を瞑ってしまう。しばらくすると光は消えて漠也は震えるまぶたをゆっくり開ける。
そこには白いオーラを纏ったさっきまで自分が弱いと思っていた相手が立っていた。
あいつ・・・もしかして今覚醒しやがったのか!?
漠也は即座に体勢を立て直して、戦闘態勢にはいる。
ーーーなんだ・・・・・・これは・・・力が溢れ出して来る・・・
当然誠も驚いていた。さっきまで動かなかった身体は問題なく動かせるようになっていて、それどころか寧ろさっきより機敏に、繊細に、力強く動かせるようになっていた。
「なんかわからねぇが!これでお前をぶっ倒せそうだなァ!」
「クソがァァァァ!!!!」
漠也は誠の勝利宣言を聞いて怒り、攻撃を仕掛けようとする。しかし、もう既に誠は漠也の背後に立っていた。漠也は次の行動をおこそうとするが、その前に誠は漠也の後頭部を掴み渾身の勢いでその顔面を床にぶつける。
「ウオラァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
誠はそう叫ぶと漠也の頭を掴んでいる手に力を入れる。すると次の瞬間、その手を中心に小規模にクレーターができ、床が誠の力に耐えきれず壊れてしまい、誠と漠也はそのまま1階へと落ちてしまう。
誠はそのままの勢いで漠也の頭を床にぶつけた。
漠也の頭から頭蓋骨が割れた音が聞こえる。
ーーーーーこの無茶苦茶野郎・・・・がッ!!
漠也はこの野郎に3階から1階に落とされ、頭の頭蓋骨を床を割られたことに驚愕した。
しかしそんなことで誠の猛攻は止まるわけもなく、今度は漠也の頭を隣にあった壁に勢いよくぶつけたのだ。それが決定打となり校舎の半分が崩壊する。
それと同時に漠也も気を失った。
瓦礫の雨が降り注ぐ・・・誠はそのなかでただ突っ立っているだけであった。漠也は降り注ぐ瓦礫で埋もれ、おそらくもう動くことはないと思われる状態であった。
完全な勝利、完全に目的を果たせた。しかし、誠は震えていた。そう自分の力に・・・・・・
ーーー俺が・・・やったのか・・・・・・
誠はわかっていた。
これは自分がやったことだということを。
しかし、信じられなかったのだ。
受け入れることが出来なかったのだ、その真実を。
そして、ほぼ放心状態だった誠の背後に誰かの影があった。