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僕は君だけを守る、“わっふるまん”

作者: 七瀬






僕は僕の好きな女の子を守る為に生きたいと願う

わっふるまんだよ。


【わっふるまん】の仕事はね! 

言葉の通り僕の好きな女の子の為に奮闘しながら

も彼女の愛を勝ち取る為に日々頑張っているヒーロー

のお話なのさ!




彼女とは、バイト先で知り合った。

彼女は、明るく元気な女の子だ。

僕は、そんな彼女に一目惚れしてしまう。

それからというモノ、僕は彼女の為だけに優しく強い

男になろうと努力する。

僕は、彼女の為だけのヒーローになりたいんだ!

バイト仲間でカラオケに行けば、おしぼり、割りばし、飲み物

まで用意して。

彼女が歌う時は、マイクを除菌シートで拭きふき。

彼女に何が食べたいか聞いたり、おかわりのドリンクも僕が

彼女の代わりに聞いて注文してあげるだ。

まあ、確かに! 周りのバイト仲間からは、気味悪がられている

のも知ってるし、逆に応援してくれてるのも知ってる。

彼女が、困っていたら? 僕が何時でも何処でも助けてあげる。

僕は、彼女だけを守るヒーローだからね。





・・・でも?

バイト仲間で、飲みに行った帰りに変な男達に絡まれる。

そこにいたのは、僕と彼女ともう一人のバイトの女の子。

僕は、真っ先に彼女を守った。

でも、男達は僕にこう言ったんだ。



『そっちの女の子は、もういいよ! その代わりこっちの

女の子は、俺らが連れて行くから、いいよな!』

『えぇ!?』

『助けて、布野君! お願い、澪からも布野君に言って!』

『布野君! 美結を助けてあげて! お願い!』

『・・・・・・』

『どうするんだよ! そっちの姉ちゃんも連れて行こうか?』

『・・・わ、分かった。』

『よし! 物わかりのいい男だよ、お前は!』  

『・・・・・・』




・・・僕と澪ちゃんは、一言も話さず彼女の家の前まで着いた。

最後に、彼女が言った言葉が今でも僕の心に残っている。



『なんで! あの時、私だけを助けたの? 美結の事はどうでも

よかった? 警察には連絡したけど? もう手遅れかも

しれないじゃない! 今頃、美結がどうなってるかと思うと?

心配で心配で眠れないじゃないわ!』

『・・・でも、あの時は、ああするしかなかったんだ。』

『ああするしかなかったって! それって、言い訳だよね?

私も美結も助けられたはずでしょ? どうして、私だけ、、、。』

『・・・あの時は、ああするしかなかった。』

『そればっかり、もう布野君の事なんか知らない!』

『・・・澪ちゃん、』






・・・次の日。

テレビのニュースに、岡部さんの事が流れていた。

彼女は、高層ビルから飛び降り自殺をしたというニュースだった。

その後、彼女がどうなったかは僕にも澪ちゃんにも分からない。

だけど? 飛び降り自殺するほどの事が彼女に遭った事は間違い

ないと思った。警察も、自殺として片付けてしまう。

彼女が、亡くなってから数か月は、僕は皆から責められ続けた。




・・・でも? バイトのメンバーがガラッとある時、変わると?

自然とこの話をする者がいなくなった。

店長やバイトのメンバーが一変してからは、何事もなかったよう

な穏やかな生活に戻る事ができた。

未だに、このバイト先に残っているのは? 僕と澪ちゃんだけ。

彼女は、バイトを辞めず今も一緒に働いている。

僕は、元の生活に戻りまた澪ちゃんだけのヒーローに戻ろうと

考えていたら?







彼女が、僕と二人きりの時にこう言ったんだ。



『私もアンタも、美結を見捨てた者同士! 切っても切れない

毒の糸で結ばれてるのかもしれないわ! 絶対にどんな事が

あっても、私もアンタも幸せになんかなってはいけないのよ!』

『えぇ!? 澪ちゃん、』

『私が、アンタを地獄に着き落としてやる! 美結を見捨てた

復讐よ!』

『僕は、それでもいいよ。』

『えぇ!?』

『“僕は君だけを守る、わっふるまん”だからさ!』

『ほんと、不気味な男よね、アンタって!』

『ウフフ、それは! 誉め言葉だよね?』

『・・・・・・』




最後までお読みいただきありがとうございます。

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