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私の世界

私には居場所がない。

学校には勿論、家に帰っても自分の部屋以外には。


高校1年生、気付いたら周りはすでに友達ができていた。

小、中学校の頃から友達を作ることは苦手だった。それでも話し掛けてくれる子はいたし、少なからずではあったが友達と呼べる子はいた。

しかし、そんな数少ない友達とも高校で別々になってしまい、私は一人で高校の入学式へと臨んだ。


初めは一人でいたはずの周りの女子たちはグループを作っており、今更「入れて」と言える状況でもない。しかも、そんな女子たちが盛り上がっている会話の内容にも一切ついていけない。正直…興味も無いし、何なら男子が盛り上がっているゲームや漫画の話の方が何倍もついていける。しかし、私のような人間が男子と話せるスキルを持っているわけでもなく…気付けば私の周りには誰も居なかった。


自分が悪いということは、理解している。友達が欲しければ自分から話し掛けるべきだったし、無理をしてでも周りに合わせて他人に気を遣うということをしなければならなかった。けれども……そんなことをしてまで自分を押し殺すことはしたくなかったのだ。


それだけではない。

中学まではそこそこ頭の良かった私だが、少しレベルの高い高校に入学してすぐ、自分は頭が悪かったのだと痛感させられた。最初はついていけていたはずの勉強にも段々とついていけなくなり、テストでは下から数えた方が早い順位を取るようになっていた。そんなことが自分の中でストレスとなり…朝、学校に行こうとすると決まって体調を崩すようになっていった。


そんな私を両親と弟はゴミを見るような目で見てきた。特に、父と弟は私を激しく非難した。

「たったそれだけで学校に行かないなんて恥ずかしくないのか!?」

「どうしてお前は優斗より出来が悪いんだ、こんな姉を持った優斗の気持ちを考えろ!」

「…姉さん、なんで学校行かないの?姉さんが友達いないのなんて今に始まったことじゃないでしょ。僕にこんな姉がいると思うと恥ずかしくて友達にも言えないよ。」

「姉さんが僕より頭が悪いなんてわかってたことでしょ。何で今更そんなことで悩んでるの?」

そんな罵倒を受ける度に私の心はさらに荒んでいき、余計に自分の部屋に引きこもるようになっていった。

そうしているうちに父も弟も諦めたのか、何も言わなくなった。母は特に口を出すことはなく、私の部屋のドア前に食事を置くだけとなった。

そんな日常が続くと、自然に私は部屋から一切出なくなった。唯一部屋から出るのはトイレとお風呂の時間だけ。…立派な引きこもりへと成長を遂げてしまったのだ。


昔から、「変わっている」とはよく言われた。

小、中の教師からは、「もっと協調性を持ちましょう」と通知表に書かれた。

けれども嫌なものは嫌だし、嫌いなものは嫌いだ。

自分に嘘をついてまで生きていたいとは思わないし、どうせなら正直に生きていきたい。

しかし、世の中というものは嘘まみれで、皆が皆笑顔という仮面を貼り付けて生きている。まるで、それが当たり前のように…。

そんな風に生きることが結局、楽なことはわかっている。将来、社会人になった時にはそのような能力が求められることも知っている。それでも、そんな世界で生きていくのがどうしても嫌だった。

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