スライムは四次元ポ○ットだった?
ああああああ、早く襲撃イベントが書きたい!
「いや、俺に言われても知らんよ」
「当事者が何言ってやがる! なんだよ、このスライムは! 一体どこから連れてきたのさ! 」
「だーかーらー。知らないんだっつの。気付いたらお前の上にいたんだよ」
「……上? 」
「あっ」
やらかした、とでもいうような表情で頭を抱えるタナカ。
「言い逃れはさせないぞ? 全部話してもらおうか」
「くっ、俺としたことが……馬鹿にいいようにされるとは」
「馬鹿は余計だ」
しかし、タナカは馬鹿ではない。話が長くなると面倒なので、ウエノが現状から気づいてしまいそうなことだけを説明した。
「このスライムが、探索してる俺の目を盗んで洞窟に侵入してきて、お前に乗ったんだよ。それを、お前を起こさないように剥がしたと思ったら……今度はキッチンの方に行こうとしたから、つい叫んでしまったんだよな……もし排水溝に詰まりでもしたら、たまったもんじゃないし」
無いとは言い切れないが、それにしては疑問があるような説明なのだが……
「なんだ、そうだったのか。……別に隠す必要なくね? 」
「アハハハハー、マアイイジャナイカー、ジコッタワケデモナイシサー」
「なんで棒読みなんだよ」
少し疑わしいが、ウエノはあっさりと納得してしまった。馬鹿である。
「まあ、そんなことは置いておくとして。そろそろ、探索を再開しないか? ここにはガラクタくらいしか無いみたいだし」
「……確かにそうだな。と言うかお前、不寝番してたのに大丈夫か? 」
「……徹夜には慣れてるから……」
どこか遠くを見つめて呟くタナカの姿にウエノは、頭いいやつも苦労してるんだろうなと一人納得し、この話を終えることにした。
「そうか、それなら問題ないな……だがよ、ガラクタばかりと言っても、あって困ることはないよな? ……できればいくつか持っていきたいんだが……」
「お、馬鹿にしてはまともな考えだな」
「だから余計だっつってんだろ」
「……だがなぁ……どうやって運んだものか……ん? 」
考え込むタナカの足を、スライムがつついていた。
「なんだ、お前ならなんとかできるのか? 」
頷く(?)スライム。
「いやいや、いくらなんでも……お前の中に取り込むくらい……し……か……」
タナカは、スライムの中にガラクタがどんどん取り込まれていく姿を見た。
「んん!? ……おいタナカ……なんでこいつ……こんなにたくさん……」
「……言うな……中が四次元空間にでもなってるんだろう……」
明らかにスライムよりも量が多いガラクタを取り込んでいくのを見て、さすがのウエノも黙ってはいなかったが……もはや現実逃避を始めてしまったタナカの前に折れることとなる。
「……わかった。こいつのことに関しては気にしないことにする……」
「そうだ、それでいいんだ。じゃあ、荷物の問題も解決したし、そろそろ出るか……あ、そうだスライム、ベッドも一応持っておいてくれ」
スライムに一声かけて、外に出るタナカ。しかし、ウエノとスライムが出てきた辺りで、重大なことに気付く。
「そうだ、まだ夜が明けてないのを忘れてた……」
どこか抜けているタナカであった。