⑧味
美味しいものや親しみのある味のものは、あまり怖いと感じないのではと思った。ゴキブリの味に特徴があったら少しはゴキブリに慣れるのではないかと思った。だから我慢できるゴキブリの味について考える。
①エビ
エビは旨味の塊であり、小さいエビであってもとてつもない風味を放つ。エビも本来はグロテスクに含まれていてもおかしくないような見た目をしているが、普通のものとして受け入れられている。エビのように美味しければゴキブリも受け入れられるかもしれない。
②木の味
木はナチュラルという言葉が似合い、癒し、落ち着き、ゆったりというようなイメージがある。そして怖いイメージなど全くない。その木の優しい味がしてきたら、心は何でも受け入れてしまうということもありそうだ。
③漢方薬などの体にいい味
健康に悪影響を及ぼしそうとか、接触すると何かが起こるかもしれないという恐怖から、人は我慢が出来なくなったりしてしまう。だからゴキブリから体に良さそうな味がしてきたら負のイメージが少しは消えるだろう。
④水晶を舐めてる感じ
味には味覚の他にもうひとつの重要な要素が絡んでくる。苦いとか甘いとか感じる部分の他に重要であるのが舌触りだ。この舌触りが良くないと味が良くてもどうにもならない。水晶のようにヒヤッとしていてなめらかだったら良いような気がする。
⑤口に入れれば形以外はほぼトリュフ
世界三大珍味というものは世界で様々な人が食べ、それで最終的に三つに選ばれた味のトップ集団なのだと解釈している。だからトリュフの特徴を全て組み込みさえすれば、ゴキブリはトリュフ級に伸し上がれることだろう。
⑥ハチミツをかけたような甘さ
砂糖のような甘さではなく、自然が作り上げた自然な甘さ。それがハチミツである。甘いと幸せになる。甘いという言葉は幸せという言葉に通じる。甘いという言葉から恐怖や気持ち悪いにはあまり行き着かない。だから甘いゴキブリはいいかもしれない。
⑦感じたい味をイメージするとその味がする
感じたい味がゴキブリを舐めただけで感じられたらそれだけで、ゴキブリへの恐怖は薄れる気がする。もしもそうなれば、欲望が気持ち悪さや恐怖を遥かに上回り、葛藤の末にゴキブリが好かれる日も訪れるかもしれない。
最終的に一つに決めるとしたら、エビとかトリュフとかハチミツとか色々と悩んだが、やはり何かの食べ物の味に似たゴキブリがいいだろう。食べたり舐めたりしたら何か分かり合った気になったりしていいのだから。だが、そもそも舐めたりするまでのハードルがヤバイほど高い。あんなにグロテスクで、味以外の全てが普通のゴキブリである物体を舐めようとなんて誰もしない。だが一応決めるとするとエビ味がいいだろう。