⑮フィルター
何の仕切りもなくゴキブリと接しているから気持ち悪いと感じるのだと思った。ゴキブリと自分達の間に何か和らげてくれるものがあれば我慢できるようになるのではと思った。だから我慢できるようになるゴキブリのフィルターについて考える。
①サングラス越し
サングラスを掛けると、光をほどよく遮断してくれて、落ち着いた視界を演出してくれる。明るい場所で存在感を放っていたゴキブリも暗くなった視界では存在感が薄くなるのは間違いない。
②モニター越し
こちらに向かってくるかもしれない、何か変なことをするかもしれない、という不安からゴキブリが苦手になっている人もいるだろう。だから、ひとまずモニターに仲介してもらって他の部屋で見ていれば、我慢できる可能性は広がるかもしれない。
③レースカーテン越し
あんなに美しいものと共に視界に映すのだから、それは美しくならない訳がない。ゴキブリが気持ち悪いと思ったら、レースカーテンに巻き付き、そこからレースカーテン越しに、部屋にいるゴキブリを眺めればいいだろう。少しは美しくなり、いいかもしれない。
④VRゴーグル越し
今まで出てきたものは、どれもみんな現実に近いものだった。しかし、VRゴーグルを着用しながら見るゴキブリなら非現実が待っている。ゴキブリを活かすようなVRがあったなら結構楽しくなれそうだ。
⑤スマホカメラ越し
ゴキブリが部屋に現れたら、スマホを出して、そこにゴキブリを映して見れば、直接見るよりも、作り物感が出そうな気がする。カメラを向けただけで加工してくれるアプリがあるのだから、スマホカメラの可能性はとてつもないだろう。
⑥ザル越し
いざ、ゴキブリを退治しようとしても、ゴキブリの気持ち悪さがそのままあると、それはなかなか実行できない。ザル越しにゴキブリを見れば、無数の穴がゴキブリの気持ち悪さをふるいに掛けてくれて、いい感じになるのではないだろうか。
⑦タランチュラ越し
気持ちが悪いものには、さらに気持ちが悪いものを。恐怖を感じるものには、さらに恐怖を感じるものを。そういう考え方がある。タランチュラを目に近い場所に置いて、その先にいるゴキブリを眺めれば、もうゴキブリなんてただの通行人と何も変わらない。
最終的に一つに決めるとしたら、タランチュラ越しだろう。やはり同じような感情やその少し上を行く感情を抱かせてくれるものと比較すると、和らぐ気がする。ただ、タランチュラに対しての恐怖が増すのは絶対に避けられないだろう。そもそもタランチュラなんて用意できるはずがないので、同じくらい苦手なものを目の前に置いて、それをフィルターにするという結論に落ち着くことにする。




