⑩特性
ゴキブリに今のゴキブリとは異なる性格や性質のようなものがあれば、もっと仲良くなったり、もっと上手く一緒に生きていけるのではと思った。自分たちに都合のいい何かや、興味をそそる何かがあればゴキブリに対する考え方も変わるのではないかと思った。だから我慢できるゴキブリの特性について考える。
①引っ込み思案
やはりゴキブリは姿が見えないのが一番だ。仲良くなることとか、親しみやすさとかを考える前に、まず、出会わなければ、ゴキブリなんて怖くないのだから。部屋にいたとしても隠れてくれてさえいれば共存できるのだから。
②さすらいの引っ越し好き
一度部屋でゴキブリを見てしまうと、この部屋にはゴキブリがいる、いつ出てきてもおかしくないから落ち着けない、となってしまう。だが、さすらっていて、すぐ何処かに引っ越すと分かっていれば怖さは軽減するだろう。
③せっかちなスパイ
ゴキブリは、ヒソヒソと嗅ぎまってるくらいがちょうどいい。人間たちの性格を把握して、人間たちの行動パターンを頭に全て叩き込んで、ひっそりと見つからないように暮らしてもらえるのが一番だ。そこに、せっかちさが加われば隠れるスピードも早くて、きっといい関係になれそうな気がする。
④丸腰の犯人
丸腰の犯人のように、ここからもう動きません、抵抗は一切しません、みたいな態度をとってくれるのはいいと思う。逃げたり、たまに飛んだりするからゴキブリは怖いのだ。じっと駆除されるのを待っているゴキブリなら気兼ねなくぶっ叩けるからいいかもしれない。
⑤綺麗好き
ゴキブリは汚い場所を好んで、汚い場所に現れるイメージがある。汚いイメージが先行して、それが怖さや気持ち悪さに繋がっている。だから汚いものを自ら避けたり、身体を壁に擦りつけて拭いているゴキブリがいたら、みんな近づきたくなってしまうかもしれない。
⑥影が薄い
今までのゴキブリと、性格も行動も何にも変わらなくても、影が薄いというたったひとつの特性が加わるだけで世界はガラリと変わる。ゴキブリの影が薄いと人間側はゴキブリに気が付くことがかなり減る。ゴキブリの影が薄いとゴキブリ側はスリッパで殴られたり殺虫剤をかけられたりするリスクが減る。そしてゴキブリと人間はウィンウィンの関係になる。いいかもしれない。
⑦背後を取りたがる
部屋の中にゴキブリがいて、存在感もきちんとあっても視覚に一度も入らなければ怖くない。目でゴキブリを捉えて初めて気持ち悪さが生まれる。だからずっと人間の背後に回ろうとするゴキブリは我慢できるかもしれない。
最終的に一つに決めるとしたら、引っ込み思案のゴキブリだろう。ゴキブリは見えないに越したことはない。今どきのゴキブリはヒョコッと現れて、部屋の中央で堂々としすぎている。引っ込み思案のゴキブリとは仲良くなったりは出来ず、興味をそそるようなものも何もないが、これが人間にとって一番だろう。




