現実とは小説レベルで奇なものである
現実とは小説より奇である。
それは誰の言葉だったであろうか。覚えていないが、わざわざ言うことの意味はお察しである。
私の(隣の)現実は小説レベルで奇妙なものだ。
はじまりは私の友人だろうか。あの変わったところのある友人だ。
それとも幼馴染みだろうか。フィクションかと突っ込みたいくらいの超絶イケメンである(爆発すればいいのに)。
今となってはそれはわからないが、少なくとも断言出来るのは、そのどちらもあったからこその今であり、これである。
とりあえず、一つ一つ説明していくことにしよう。
まずは私の友人だ。名は、植川美乃。正直初見ではとてもじゃないが、ちょっと読めない名前である。私も見事に美乃と読んだ。怒られた。そして何度も美乃だと強調された。鍛え上げられた私のスルースキルがなければキレてたであろうしつこさであった。
閑話休題。
そんな彼女は変人である。変人である(重要なことなので二回言う)。その上、自称平凡なおまえ本当に平凡な人に喧嘩売ってるだろ謝れ的な、変人である(重要なことなのでもう一度言う)。なにやら、彼女は少々(天然モノの)巻き込まれ体質だと言う。やれ、幼稚園にて園児同士の喧嘩に通りがかり先生から一緒に説教され。やれ、小学校低学年にて誘拐現場に居合わせ危うくついでに(ロリコンに)誘拐されそうになり。やれ、小学校高学年にて小学生男子のドキドキ☆好きな子の椅子に座っちゃえ!を目撃し(見事に目が合って大変気まずい思いをしたらしい)。やれ、中学校にてとある少女の告白の手伝いをさせられた結果、大変ややこしい事態になったらしい(その相手は美乃のことが好きだったようで、告白の手紙は美乃からのものだと勘違いしたとか)。ドロドロの修羅場である。さてみなさんお分かりだろうか。女子が恋愛相談をする時。それは、余程仲が良くない限り、私が先に好きになったんだから取らないで!である。それをわざとではないにしても破るとどうなるか。はいそこのあなた、正解。いじめが発生する。ただ、運がいいのか悪いのか、親の都合によりちょうどそのタイミングで引っ越ししたらしい。まあ、その他にもetcetc……らしい。え、初めて聞いた時?もちろん笑いましたとも。何それ、フィクションかよって。ただ、すべて本当だったらしい。わりと最近まで疑っていたのだ。多少ドジで運が悪いだけだろう、と。疑ってごめんよ、美乃。
次に、私の幼馴染みだ。名は、弥藤霧哉。弥から始まり哉で終わる、字を変えれば両方名字なその名前。そんなハンデをものともしない超絶イケメンである。いっぺん死んで生き返ってこい。マジで腹立つから。何が腹立つって自分の顔のよさを理解し、利用している点が腹立つ。いや、いいんだよ?そのこと事態はどうでも。むしろ私に関係ないところで勝手にやってろってかんじ。私のスルースキルの根源はここから始まった。まあ、私たちには通じなかったことに腹が立ったのか気に入ったのか知らないけれど。よく一緒にいるようになった。幼馴染みのはじまりである。べつにさ、本当にいいんだよ。私に迷惑をかけなければ。さあ、ここで再認識である。霧哉はハイスペックイケメンである。あれ、言ってない?じゃあ今言った。学力は学年上位をキープ、運動はバスケ部のエース。そしてやたらとお綺麗なその顔。思い出してほしい。幼馴染みである。必然的に(恋愛からは一番遠いとはいえ)一番近い女子である。もう一度言おう、ハイスペックイケメン弥藤霧哉は私の幼馴染みである。何が起こるだろうか。はいそこのあなた、正解。いじめが発生する。女子の嫉妬とは大変恐ろしく面倒なものだ。オーソドックスないじめは大抵行われたと考えてほしい。まず集団無視……特に問題はなかった。次に机の落書き……特に問題はなかった。あとは上履きに画鋲……特に問題はなかった。呼び出しによる集団リンチ……特に問題はなかった。あれ?私ハイスペック過ぎない?そんなことない?あ、そう。だって集団無視って言ったって、私の幼馴染みは話してくれる。机の落書きなんて写真撮って先生に言って机を交換して終了である。上履きに画鋲とか、その場でザーッと落として終わりだ。あれだけ大量に入ってて気付かないアホとかいるはずがない。呼び出しによる集団リンチ?秒で論破である。また、男連れられて喧嘩売られた時も速攻で倒して写メ、然るべきところへ訴え出て、慰謝料取りますよーって脅しただけである。趣味の武道が功を奏したね。ついでに今までの全部を使って脅したら、いじめなんてパッタリ止んだ。やだ私すごくない?すごくない?あ、そう。よくよく考えたら私もなかなか小説のような人生を送ってきてたね。
閑話休題。
私たちが高校生になり一ヶ月。その日、すべてが始まった。いやマジで。ちなみに、学校で私は霧哉と繋がりはない。何故なら、友人、美乃に「お願いだから私の平凡のためにあのイケメンの幼馴染みを近付けないでね!平凡が崩れる!」と言われているからである。初めてその発言を聞いた時、噴いた。それはもう見事にツボにはまった。そして幼馴染みに話した。霧哉もツボった。今現在おもしろ絡み計画をたてているらしい。まあ、自分の顔のよさを自覚しているやつが、性格いいわけないよね。というわけだが、別に地元では普通に絡んでいる。で、まあ、ダイジェストでお送りすると。
高校入学一ヶ月
↓
いつも通り帰宅
↓
待ち伏せされる
↓
好きな子が出来たとカミングアウト
↓
その初恋の恋愛相談中←イマココ
である。マジかよである。だってその顔で。ハイスペックイケメンのくせに。初恋である。噴くよ。それ以外に何がある。いじめ叩き潰すようなやつだぞ。この外面だけはいい人間の幼馴染みだぞ。性格いいわけないじゃん。
閑話休題。
なにやら霧哉曰く。その少女は天使のような麗しい見た目で。その少女は小動物のような愛くるしい性格で。その少女は自分を外面だけで判断せず、霧哉という人間そのものをまっすぐ見てくれて。その少女は天然鈍感で、他にもいろんな人に好意を寄せられている。とか。しかも霧哉と同じクラス。だれおま。恋する乙女かよこいつこんなに女々しかったっけ。笑……えねー。ここまでくるとちょっと引くわ。まあ、ふむふむなるほど頑張って、と聞いてたわけですよ。ライバルは多いらしい、その上みな学校上位のイケメン。何それどこの乙女ゲーム。フィクションかよ。思わず霧哉がいなくなってから呟いた。ついでに噴いた。
それだけなら、こうはならなかった。つまり、今起こっている状況はこれだけではなかったのである。
次の日。美乃から昨日あったことを聞いた。なにやら天使のごとき美少女と友達になったらしい。ここまでで、おやぁ……?となるのはしかたないと思う。だってタイムリー過ぎる。だがまあ、幸せそうにしているので、何も言わないことにした。おもしろそうだし。これが、分かれ道だった。あれ?これもしかして原因私?いやまさか。え、マジで?私が悪いの?私のせいでこんなことになっちゃったりしてるの?だって未来なんてわかるわけないじゃん!えええええ!
閑話休題。
落ち着いた。美乃の性格を考えると、そこまで気に入った美少女との友情を捨てるとも思えない。いくらまわりにイケメンがいたとしても!こっそり交友を持ってるな。うん、つまり自業自得、私は悪くない。
まあ、それからは交互にオムニバス短編集かよみたいな状況だったわけですよ。一人の人間について二人の人物から聞いてたんだから。まあ私だけだけど。そんなある日、美乃が生徒会長(俺様系ハイスペックイケメン死ね)とお知り合いになった。俺様とか何がいいのかわからない。のはおいといて。美乃の話によると、例の美少女ちゃんと楽しくお話していると割って入ってきて美乃を邪魔もの扱いしたらしい。うーわー。そこで自称平凡の美乃がとった行動とは。
1.美少女に挨拶してテキトーな用事で逃げ帰る。
2.俺様生徒会長をスルーして話を続ける。
3.俺様生徒会長に正面から喧嘩を売る。
さあ、どれでしょう。正解は、「4.俺様生徒会長をスルーして美少女を連れテキトーな用事で帰ろうとした。」でした。やー、選択肢外が正解とかテンプレだよね。
避けようとした努力は認め、ていいのかわからないけれど、スルーとか完全に喧嘩売ってるし、美少女連れてとかもうアウト。そりゃ絡まれるわ。自称平凡のくせに完全にキレてるよこいつ。平凡な人は喧嘩売らない。それをわかってないところが頭弱いなあと思う。
まあ、そんなこんなで、俺様生徒会長に絡まれ、口喧嘩し、美少女に宥められ、何故か俺様生徒会長に「この俺にここまで楯突く女は初めてだ。気に入った。おまえも生徒会に入れ」とか言われたらしい。なんだこのテンプレ。そんな人間実際にいたの。私は非常にツボった。ちなみに美乃は「だが断る」と即答したらしい。で、ますます気に入った宣言とか、Mかよ。ドMかよ。ドン引きですけど。超笑えるんですけど。ドMな俺様生徒会長とか誰得だし。ちなみに幼馴染みに話したところ、霧哉がドン引きながら爆笑していた。さすが、私と感性似てるわ本当。あ、ちなみに例の美少女ちゃんのことは言ってないよ。絶対反応して面倒なことになるし。最近のこいつ女々しくてウザいんだもの。私は悪くない。まあ、美少女ちゃんをめぐる敵が減ったと喜んでるみたいだから、いいんじゃないかな。いつからここまで脳内お花畑の恋愛脳になったのかは知らないけど。恋は盲目。いやはや、怖いねえ。
閑話休題。
霧哉の話は相も変わらず例の美少女ちゃんの話ばかり。かと思いきや、ちょいちょい別の話題も挟むようになってきた。やれ、三年生の爽やか系イケメンのサッカー部部長だとか。やれ、三年生の腹黒メガネ系イケメンの生徒会副会長だとか。やれ、二年生のクール系イケメンの学年一の秀才だとか。やれ、二年生のほんわか系イケメンの美術部の不思議ちゃんだとか。やれ、二年生のチャラい系イケメンの次期風紀委員長だとか。やれ、一年生のワンコ系イケメンのクラス委員長だとか。やれ、一年生の不良系イケメンの一匹狼だとか。……どうしよう。突っ込むべきかな。突っ込むべきなのかな。やだな。でも突っ込みたいな。
みんなイケメンかよ!!小説?漫画?乙女ゲーム!?この世界は!いつから!フィクションになったぁぁぁああ!!
閑話休題。
落ち着きました。心の中でも叫べばすこしは楽になるね。ほんのすこしだけどね。さて、思いっきり突っ込んだことで、することはただ一つ。何それフィクションかよマジで。ぶふぉっ。大爆笑した。さすがの霧哉も分が悪いのか自信がないのか、助けを求めてきた。べつにいいけど。私に被害こないならいいけど。またいじめに遭遇するのは面倒極まりないし。それからもいつも通り、私たちは地元の近所の公園で会議をしていた。といってもほぼ報告を聞いているだけである。そして、新たな情報が伝わってきた。
美少女の友人が美乃だと判明した←NEW!
なにやらついに、バレたようだ。ドンマイ(笑)である。将を射るにはまず馬から。美乃と親交を深めることは美少女攻略の第一歩だと思ったらしい。そうかね。美乃の性格だとそっちから攻めてもたぶん取り持ってくれないから、地道にアピールしてたほうがいいと思うけどね。私は珍しく完全なる親切心から言った。疑われた。信用なさすぎ笑える。まあ、最終的に信じることにしたらしい。いい心掛けだね、うん。
閑話休題。
美乃の話は相も変わらず美少女ちゃんと、あの俺様生徒会長がウザいということだった。ですよね知ってる。だって話聞いてるだけでドン引きだもんね。ちなみに美乃が俺様生徒会長につきまとわれている時、私は近寄らないし、本を読んで話しかけるなオーラを出す。そもそも姿を現さない。自己保身には余念がないのである。だがしかし、さすがにあれだけ毎日毎日一緒にいたら絆されてきたらしく、自覚はないようだが、そんな様子が見られてきている。うわ、ないわ。あのモラハラ男に絆されるとか本当ない。自称平凡にもドン引き爆笑だが、これもなかなかそれに負けないくらいである。俺様とかただのわがままなガキじゃん。関わるのすらやなんですけど。まあ、私は関わらないんだけどね。あ、じゃあ問題ないか。納得した。噴いた。
美乃の話だと美少女ちゃんはガチなかんじで逆ハーレムを築いているらしい。しかも自覚なし。演技でもないようだ。よかったね、霧哉。さすがに見る目まではまだ腐ってなかったね。「あんなにイケメンな男どもが美少女ちゃんにぃっ、美少女ちゃんといたいけどでもでも私の平凡があっ」らしい。いいことを教えてやろう、美乃。平凡な人はね、自分のことを平凡だなんて言わないんだよ。逆ギレされた。私は平凡なのだとくどくど主張された。スルースキルを駆使してもしつこすぎてすこしイラッ☆としたので、もう一言付け足した。それとね、美乃、もう一つ。イケメン(たとえあんなドM系モラハラ男だとしても)につきまとわれているような人間が、平凡なわけないでしょう?鳩が豆鉄砲くらったような顔をした。やっぱりこいつずれてるよなあ。なんか、つきまとわないでとか次会ったら言うつもりらしい。あーらら。悪いね、モラハラ男もとい俺様生徒会長。余計な口出ししたかもしれない。ま、いいよね。フィクションとかだと、それくらいのすれ違いは必要だもんね。それで仲が直らなかったら俺様生徒会長が美乃の好感度を上げれてなかったのが悪い。うん、つまり、私は悪くない。まあね、お約束だよね。大爆笑した。
閑話休題。
やだ、私のまわりフィクションすぎ。
美乃?あれから見事にすれ違って仲直りしてお付き合い秒読みである。超笑える。絆されちゃった、ドンマーイ。でも美乃には言わない。だってあれだから。よし、シミュレートしようじゃあないか。もし、美乃に上記のセリフを言ってみたら。顔を赤くして、べっ、べつにそんなんじゃないから!イケメンを好きになるわけないじゃん!である。ツンデレである。はい、シミュレート完了。つまり、面倒じゃん、これ。のろけ、しかも片方は私の嫌いなモラハラ男。聞く気失せるでしょ、そりゃあさあ。やぶ蛇ですよ。つつかず安全に生きるのですよ。面倒事は避ける、これ鉄則。
霧哉?あー、あれね、苦労してる。さすがにハイスペックイケメンでも厳しいらしい。まあね、学園もの少女漫画の王道俺様生徒会長は美乃に夢中だから。安心しなよ、可能性はあるから。とかなんとか言ってるうちに、美少女ちゃんがバスケの試合に応援に来てくれることになったらしい。へー、よかったね。じゃあ今年はいいよね、応援。ええ、いるの?なんで。幼馴染みのよしみとか、美少女ちゃんいるんでしょ、いいじゃんそれで。別とか知らないし。行くの?ええー。
閑話休題。
あれから、バスケの大会ね、地方大会まで行ったんだけどね。そこでベスト4でした。惜しかったね。あ、ちゃんと応援に行ったよ。なんだかんだ言っても幼馴染みですから。霧哉は泣いたらしい。まあ、いつものことだけどね。でも、今回霧哉が泣いたのは美少女ちゃんの前。幼馴染みの前じゃない。雛が巣立っていくようでそれが、なんだかすこし寂しい。幼馴染みという関係が少しずつ、なくなっていくような気がした。私たちも、変わる時なのかもしれない。笑った。でも、うまく笑えなかった気がする。
閑話休題。
美乃は俺様生徒会長と付き合った。体育祭の借り物競走にて、なんと、こいつは見事にやらかしやがった。てかマジであったんだ都市伝説だと思ってた、なお題「好きな人」を引き当てやがったのである。さすが天然モノの巻き込まれ体質。まあ、お察しですよね?なんなら私とか美少女ちゃんとか(といっても美少女ちゃんも走者なので無理)を連れて行ってもよかったのに、美乃が無意識に選んだのは俺様生徒会長だった。そんなわけで、公開告白ですよね。で、まあここまでなら普通に馬鹿な女生徒がいるなで終わったわけですよ。俺様生徒会長今まで告白オッケーしたことなかったから。でもですね、つまるところ、オッケーしたんですよ。美乃の公開告白に。公衆の面前で。その上こいつは俺のモノ宣言したわけ。あの頭の足りない俺様生徒会長モラハラ男は。何が起こるかなんて火を見るより明らかだ。いじめだ。あの天使のごとき(霧哉美乃曰く)美少女ですら、一部の女子は嫉妬し、嫌がらせされてるんだぞ。まあ、私は知らないけど霧哉が言ってた。とはいえ、天然鈍感なので、気付いていないらしいが。あのねえ、天然鈍感も度が過ぎるとただの宇宙人だから。ちっとも笑えないから。私は笑うけど。
閑話休題。
何が言いたいかというと、いじめが始まった。正直自業自得過ぎてちょっと関わりたくない。ドライ?鬼?知ってる。でもさ、のろけ聞かされる身になってみな。片方は友人、片方はドM系モラハラ男。イヤー、モウソウゾウシタクナイネ。さらにここまできてもなお、自称平凡である。マジかよ。美乃曰く、恋人がイケメンなだけで私は平凡だから、らしい。どこまでいっても本当に平凡な人間に喧嘩を売っているやつだ。ちょっと引いた。まあ、とにかく、美乃はいじめられて溜め込んで自滅していくような、そんな繊細な精神なんて一欠片も持っていない図太さと図々しさの塊である。証拠を押さえて脅したそうだ。学校側に正当に訴え出るってな。私より可愛いとはいえ、友人って似てくるのかな。ちょっと遠い目をした。私はこんな変人にはなりたくないな、うん。
閑話休題。
なんだかんだ、あっというまにいじめが収束しまして。今度美少女ちゃんと出かけるらしい。よかったね。
ここで霧哉だが、可もなく不可もなくというところだろうか。特に何かがあったわけでもなし、回りはドンドン進んでいくから不安にはなっているようだけど。勇気を出して美少女ちゃんにデートを申し込んだらしい。断られたけど。ここでつながり、が見えるよね、きっと。何がって、美乃と遊びに出かけるからですよね知ってる。でも教えない。教えてもどうにもならないからね。というわけで、当日は幼馴染みでゴロゴロゲームしたりして過ごしました。いいね。
閑話休題。
で。
美乃、誘拐されたんだってよ。
何言ってるかわからない?大丈夫、私もわからない。なんでそうなったよ。私は興味本意で追及することにした。美乃から聞いた話によると。ダイジェストでお送りしようかな。
美少女ちゃんとお出かけデート
↓
ナンパされる
↓
即お断りする
↓
相手が悪かった
↓
不良だったらしい
↓
逆恨みで誘拐された
↓
ヤ・バ・イ
↓
危機一髪、助けが入る
↓
生徒会メンバーに助けられてハッピーエンド
だそうだ。なんだこれ。あえて突っ込もう。美乃、おまえいつから天然になった。なんでいるんだよ生徒会。偶然?そんな偶然あってたまるか。どう考えてもつけてただろそいつら。いやあね?べつに私はいいんですよ?関係ないしね。たださ、目当てのいる俺様生徒会長や腹黒メガネ副会長はともかく、尾行に付き合わされた他のメンバーがかわいそう。どうりで、生徒会書記(霧哉の友人)の顔が疲れてるわけだよ。正直ドン引きである。そんな偶然(?)の真相に気付かない美少女ちゃんとはいったい。それに影響受けてるのか恋に盲目気味な私友人とかね。何それフィクションかよ。失笑。噴いてしまった。
閑話休題。
まあさ、何事もなくてよかったけどね?それとこれとは話が別だよね。笑うしかない。じゃないと絶望しかないよ。私は友人の見る目のなさと絆されやすさ(?)にドン引くしかできないし。まあ、選んだ男が悪かったってことで。といっても正直相手がろくな男じゃないなんて分かりきってたことだよね。だって俺様生徒会長。だってドM系モラハラ男。俺様、つまり自己中心的な人間。顔だけ男がいい男なわけないし。これでドSじゃないだけまだましだけど。自分に優しくない男を好きになるわけないのに。そんなやつの気持ちが理解できないわ。
閑話休題。
今でこそ笑い話(?)だけど、ぶっちゃけこれ笑えないよね。相当やばかったよね?これに懲りて美少女ちゃんとか我がお馬鹿な自称平凡な友人とか、ちょっとは警戒心をですな、持ってくれないかな。てか、考える頭を持って欲しいな。迂闊なことを言わないようにさあ。まあ、これで学ばないようならもうどうしようもないけどね。三つ子の魂百まで、天然巻き込まれ体質だけでなく、間抜け要素ともこれから付き合っていくしかないよね。ファイトッ、話くらいなら聞いてあげるよ、電話で!や、だって顔見てのろけ聞くのはね、しんどいよね。飽きる。そんな時間あるなら本が読みたいかな。または幼馴染みで駄弁ったりとかしたいかな。
閑話休題。
ま、美乃の話は置いておこうか。今度は霧哉かな。あれからまた季節は過ぎーの、クリスマスはやっぱ断られたらしい。またこちらも例年通り、家族以外とは幼馴染みとしか過ごしていない。寂しいクリスマスだこと。もちろん笑った。断られた話聞いた瞬間爆笑した。それしかないよね。ただ、話を聞く限り、美少女ちゃんは言い寄られている全員を振ったらしい。さすがだね。最高。乙女ゲームなら友情ENDになるのだろうか。でも、家族と過ごすのかな、家族は大切にしなきゃね。美少女ちゃんはいい子なんだよね、我が現在恋する乙女的な幼馴染みの話だと。度が過ぎ過ぎる鈍感なだけで。鈍感って残酷だよね。無知は罪って言うしね。まあ、弄ばれている残念系イケメンどもを見てるのはものすごく楽しい。ザマアミロってかんじで。え?べつに恨みなんてないよ、ホントダヨ。私に被害こなければそれでいいよ。え?ドM系モラハラ男の俺様生徒会長?きてるじゃん、私に被害。嫌いだよ、もちろん。なのに、あいつだけ幸せなんだから、なんだかなあ……とか、思っちゃったりするわけですよ。
閑話休題。
で、受験ですね、卒業ですね、進級ですね。とんだ?いやー、特に書くことがなくて。まあ、よいではないか、よいではないか。同じようなかんじの繰り返しなんだよ、本当、飽きてくるくらい。
あ、でもでも、卒業ですから、三年生グループが告白したって。で、見事に振られたらしい。いいね!美少女ちゃん最高!触発されたのか、誰かにとられたくないのか、次々に美少女ちゃん逆ハーレムメンバーが告白しだした。で、またおもしろいくらい振られる振られる。あとは、我が現在恋する乙女的な幼馴染み、霧哉だけ。で、言ってくるって。おう、頑張れ!幼馴染みのよしみで心の底から応援してるよ!
閑話休題。
振られました。それはもう、完膚なきまでに。盗み聞きしていた他の連中もですけどね。馬鹿だなあ。どうせ、最後に残った霧哉が本命かとか思ったんだろうけどさあ。むしろなんで思いつかないのかな?私たち見てたらわかるでしょ。幼馴染みって、すごく強いんだぜ?何それフィクションかよ、ってレベルでね。
「私、幼馴染みと付き合ってるんだ。だから、ごめんね。これからもいいお友達でいてね」
まさかの。まさかの美少女ちゃん幼馴染みのこと好きだったっていうね。まあ、後に美乃から詳しく聞いたところによりますと、クリスマスから付き合い始めたらしい。ドンマイである。家族じゃなくて幼馴染みと過ごしたようである。家族とも過ごしただろうけど。
そりゃあ振るよね、振られまくるよね。残念系イケメンに靡かないあたりがもうお見事。まあ、残念系イケメンよか気心しれた大好きな幼馴染みってね、わかるよ、超わかる。だって私がそうだから。
霧哉からそう報告を受けたとき、笑いながら慰めた。思ってること聞いて、思う存分泣いて。やっぱり最終的に泣き場所は幼馴染みのところに落ち着いたようだ。たとえ形が変わったとしても、私たちはこれからもずっと幼馴染みなのだと実感した。次の恋を探すと言った幼馴染みを、私は笑って応援した。頑張れ。
「ずっと、好きだった。だから、私にしない?」
「……え?僕を?本当に……?」
「うん。だから、私と付き合ってください」
「僕もっ……ずっと、好きだった。僕で、いいの?」
「あんたがいいの」
「僕でよければ、よろしくお願いします」
「え、おまえらやっと付き合ったの?おめでとさん」
「ありがとー、霧哉」
「え?やっと?」
「おう、見てればわかるよ。美鶴がおまえのこと好きだってのは」
「いや、バレたの霧哉にだけだよ。幼馴染みって偉大だね」
「え……?や、だって僕、地味だし、霧哉とか美鶴に釣り合わないし」
「何を言うか。美鶴顔負けの超絶女顔め。隠してなかったら俺に負けず劣らずの人気だっただろうよ」
「本当、目立つの嫌ってくれたおかげでライバルが少なくてすんだよ。運がいいよね、私」
「そ、そんな、買いかぶりすぎだって。僕なんかより美鶴のほうがずっとかわいいよ」
「………………ありがとう」
「これだから天然は……美鶴もいつまでも照れてんじゃねぇよ」
「いや無理慣れない、これだけはいつまでたっても慣れないよ」
「えっと、美鶴……?」
「あ、あー……私は本当にずっと昔から好きだったから、ちょっと実感ないだけ」
「ま、おまえは俺やこいつみたいに性格悪いやつと付き合ってこれるくらいいいやつだからな。正直美鶴の見る目だけは一級品だと思うよ」
「何言ってるのさ、霧哉も美鶴も優しいよ。僕ずっと二人が幼馴染みでよかったって思ってるもん」
「やだかわいい」
「やだかわいい」
「もんだって」
「幼馴染みでよかっただって」
「これだから私は惚れたんだし」
「これだから俺は大好きな幼馴染みで親友なんだよな」
「はっ、恥ずかしいんだけど、二人とも!」
「ま、ともかく、おめでとう!俺は失恋したけど、それ以上にうれしいよ!ずっと見守ってきてよかった」
「ありがとう、霧哉。次の恋こそ、頑張れ」
「あう……ありがとう、霧哉。僕の親友が霧哉でよかった」
「おう、まったくこれだから……」
「ぶっちゃけ一番のライバルは霧哉でした」
「俺らおまえ大好きだからね」
「え、で、でも、僕もずっと昔から、美鶴のことが女の子として好きだった、から」
「はいはいご馳走さま。やっと美鶴の気持ちがわかった気がしなくもない。まあ、おまえらなら見てて幸せな気持ちになるからいいけどさ」
「あう……」
「ねえ」
「おーい、呼ばれてるぞ」
「私の初恋になってくれてありがとう、“玲音”」
とりあえず、私、榛葉美鶴のまわりの奇妙な現実の話はこれで終わり。
現実は小説より奇である。
その言葉は偉大だと思う。すごくしっくりくる。だから、これからも続く私の人生に向かってあえて言おう。
いつだって現実とは、小説レベルで奇なものである。
何が起こるのか全くわからない。だからこそおもしろくて、小説よりも、すごく、すごく愛しい。