学校生活
俺は何故か小学校の頃から二組になることが多い。今も二年二組だ。
予鈴五分前に教室に到着。窓際二列目というそこそこ当たりの席に着き、鞄を脇に置く。すると、男子生徒が一人、俺の方へ歩いてきた。暑いから、ではなく常に開いているボタン。茶髪のツンツンした頭。どちらかというと不良の類に入る外見。
「暑いな」
めちゃくちゃダンディな声で言われた。この男、菅俊平は、外見も、素行もチンピラ、不良と呼ばれるそれだが、声がやたらとダンディなのだ。ちなみにあだ名はダンディ。クラスの皆が親しみを込めてそう呼ぶ。名付けたのは俺だったりする。たまたま出席番号が隣だっただけだが、「ヤンキーは実は話してみると良い奴」の典型的な例がダンディこと菅俊平なのだ。
「暑いな。砂漠みたいだ」
「いや、砂漠はもっと乾燥してるから」
ダンディは頭も良い。適当な事を言うと真面目に返される。いや砂漠が乾燥してるのは知ってるよ。
「今日も一緒に登校してたぞ、お前の嫁」
ニヤニヤしながらダンディが俺に報告してくる。それ目的で俺の近く来たのかこいつ。なんとなくモヤモヤが増す。別に彼氏彼女ならそんくらいはするだろう。てか嫁じゃねえよ。
なんて答えを返すのもめんどくさくなったので、あー、そうと返しておいた。やっぱり最近俺は態度が悪いかもしれない。
「なに疲れた顔してんだよ。エロ本でも買ってやろうか?」
疲れた顔をしてる友達に渡す物としてはどこか間違っている気がする。
「明日持ってきてくれ」
だが、貰えるものなら貰っておこう。友達が折角俺を気遣って買ってくれるものだし。決して他意は無い。
「おいお前ら!まだ十八にもなってないのにエロ話とは恥を知りやがれ!」
後ろからうざったい声が聞こえる。振り向くと眼鏡のイケメンがイラッとした表情で立っていた。彼は日高雄介。またの名をエロ魔神。こんな事言ってやがり、イケメンだが、とんでもないスケベな野郎だ。
「てめえに言われたかねえよエロ魔神」
このあだ名もクラスの皆が親しみを込めて使っている。名付けたのは誰かわからない。気が付いたら皆がそう呼んでいた。
エロ魔神、ダンディ、俺。みんなタイプは違うが、これが所謂「いつメン」というやつである。基本的に二人ともいい奴だし、面白い。俺だけあだ名がないが、チームあだ名なんて呼ばれてたりする。
三人で他愛もない話をする。それが楽しいのだ。それがどんなにくだらない話だとしても。
「俺さ、思うわけよ」
「あ?」
「もう彼女とかいらないからセフレが欲しい」
エロ魔神よ、その台詞は完全にアウトです。女子から凄い目で睨まれてるぞ。てか俺も似たような視線で睨むのやめれ。
「ばーか、セフレにしたって愛がなけりゃ作れねーんだよ」
いやダンディ、その台詞聞くとお前セフレ居るみたいに聞こえるから。女子から引かれてるよ。てか俺も同類みたいにするのやめてください。
やっぱりこいつらと絡んでるとなにか失う気がする。近いうちに。
予鈴が鳴り、そそくさと皆が席に着き始める。担任が教室に入ってくる。この担任、葛城先生はチャイム着席に力を入れてるらしくやたらとそのことについては五月蝿い。そのことを抜けば、高身長美人でフレンドリーな先生だ。
「席ついたな?んじゃ号令!」
我がクラスには号令係なるものが存在する。毎回授業始め、終わりとかにきりーつ、きをつけー、れーい、って言う奴。先生の独断でダンディに決められている。理由はもちろん声がダンディだから。
そんなわけでダンディの号令と共に挨拶をし、席に着く。いつも通り、別段気にするような連絡もなく、もうすぐテスト前だから勉強しとけよ、という注意だけ無駄に面倒に感じた朝のホームルーム。先生が教室を出ると共に、がやがやし始める教室。今日も、学校生活が始まる。俺の機嫌が悪かろうが、あいつが彼氏と登校しようが、それは変わりないのだ。




