表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

初体験

「ところで、一つ訊いてもいいかな」

「はい」

「君はどうして最初、僕のことを誘ったの?」

「それは、一緒に見たい映画があったからだよ」

「そうじゃなくて、なぜ僕だったのか、ということ」

「顔が好みだったから」

「顔」と僕は反復した。

「あ、もちろんそれだけじゃなくって、優しいところとか…待って、うまく言えないけど。透さんは、私のこと好き?」

「もちろん好きだよ。だからこそ、こうやってデートを繰り返している」

「大好き?」

「うん、そうだな、大好きだ」

「じゃあ、行動で示してみて」

そう言うとのぞみは、僕に顔を近づけてきた。おまけに目も閉じている。どこまで、彼女は積極的なのだろう、と僕は驚いた。

僕は、彼女にそっとキスした。そして、抱きしめてやった。「嬉しい」と彼女は笑顔で言うと、僕を抱きしめ返してきた。彼女のポニー・テールの触覚が、僕の頬に触れた。僕は彼女がより愛おしく思えてきた。

彼女は続けて、

「いいよ」

と言ってきた。

「何が?」

「透さんなら、いい」

「だから、何が」

すると彼女は顔を真っ赤にして、

「だから、これ以上、進んでもいい」

「えっ…」

僕は、さすがにそこまでは心の準備ができていなかった。

「やれやれ」

と僕は久しぶりに口に出そうとして、やめておいた。

「そうだな、じゃあ、とりあえず、シャワーを浴びよう」

「そんなの、待てない。このままがいい」

「参ったな」

僕は思わず口に出してしまった。

「嫌なの?」

と彼女が訊いてきた。

「嫌じゃないけど…」

「じゃあ、して」

僕は、覚悟を決めた。女子を抱くのはこれが初めてではなかったが、久しぶりなのもあって、いささか緊張してしまった。

僕は、彼女に口付けて、それから、彼女を抱いた。


終わってから、僕は、のぞみから、実は初体験だったと聞かされた(キスはさすがに初めてではなかったが)。僕はそれを聞いてまた驚いた。それなのに何故、僕に対し、こんなに積極的になれるのだろう。僕は嬉しさや後ろめたさなどが混じり合った複雑な感情を覚えた。

「ねえ、これから、透くんって呼んでいい?」

と裸のままの彼女は訊いた。

「いいよ。もちろん」

と同じく裸のままの僕は頷いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ