のぞみ
現在二十歳の僕は、女子高生と付き合っている。
こう書くと、危険な気分に思う人もいるだろう。なので、言いかえよう。
僕は、二つ年下の、十八歳と交際している。
彼女の名前は、田中のぞみ。高校三年生だ。
彼女とは、コンビニのバイトで出逢った。アプローチは、彼女の方からだった。
「藤原さん、今度の土曜、暇ですか?」
「うん。暇だよ。何も予定がない」
「じゃあ、私と映画、付き合ってくれませんか?どうしても、見たい恋愛映画があるんです」
「悪くない」
と僕は言った。
「じゃ、決まりですね♪」
「やれやれ」
と僕は言った。実はそれほど気が進まなかったのだ。現役高校生とのデートという行為に。あまり話が合わないような気がしたし、僕が高校を卒業してからというもの、高校生たちが、妙に子供っぽく思えるようになってしまっていた。実際には一、二歳しか違わないのにもかかわらずだ。
のぞみとの初のデート。
昼過ぎの待ち合わせに現れた彼女は、紺のブレザーに赤いリボンタイ、そして、緑をベースにしたマドラスチェックのスカートの、制服姿だった。
「やれやれ」
と僕は呟いた。
「今日学校だったの?」
「はい。午前中だけですけど」
「スカート、短くない?」
「え、これが普通ですよ。周りのみんなも同じくらい。これでも、長い方です」
「やれやれ」
と僕はまた呟いた。
彼女の制服のスカートは、膝上が二十センチはあった。そういえば、ここ新潟市の女子高生のスカートは、日本一短いという噂を、ネットで見たことがある。噂に違わぬミニっぷりだ。
僕は、そんな格好の彼女と一緒に歩いている姿を想像した。二十歳の男と、短い制服姿のJK。周りから見たら、犯罪に見られないだろうか。でも、よく考えてみると、彼女は十八歳以上だし、何もやましいことはない(ましてや、彼女を抱く予定もなかった)。あと、僕は自分で言うのは何だけど、実年齢よりもいくらか童顔だ。少なくとも、援助交際というものに間違われる心配もないだろう。
僕はそこまで考えて、
「じゃ、行こうか」
と促すと、のぞみと、万代シティ内にある映画館に向かった。