エピローグ
それから、ステファーム・アストラルはリサの願いを叶える為、戦線都市ヴァルハラを離れた。都民の一部は彼の元をついて行き、残りの都民は、生き恥を信用する事が出来ず、都市に残った。
ステファーム・アストラルと同行者達は道中、広大な地下空洞を発見し、地下世界を作る為、開拓。そして運命の百年後・・・・
リサの予言通り、大陸世界に大規模な地脈変動が発生。一つの大陸世界は4つの大陸に分断され、世界は一度、終わりを迎えた・・・・
新世界暦0年。そして世界は環境を安定させようと、四千年にも及ぶ環境変動。人々の大半は外に出る事は敵わず、地下での暮らしを余儀なくされる。
ユーギガノスは壊滅、戦線都市ヴァルハラはどうなったかは不明だ・・・・
ーーー《地下世界アストラル》ーーー
数十年にもよる人々の開拓により地下空洞は2つの町が出来る程に広大化。緑、環境にも恵まれ、一つの社会として暮らしを過ごしている。
この世界の名称の由来は、先代の頭領の姓から取った事によるものだ。地下世界には巨大な大樹が存在し、地下世界で暮らす人々の希望を照らしている。大樹の名前は龍老樹。先代の頭領の遺言により、龍老樹は人々から愛され、日々成長し、共に生きている。
龍老樹の魔力により、地下世界アストラルを大規模な地上の地脈変動から守ってくれた。龍老樹は希望であり、守護者。龍老樹は何者かを待っているように輝き、成長する。待っている誰かとは、それもまた不明である。
自宅のベットの上に身を伏せ、老いたステファームは自身の生き様を振り返る。
私は戦士としては最低だ。戦場から逃げ、市民からは(生き恥)と呼ばれた。戦いを終えたリサ様の予言を聞いた時、信じようとしない市民の一人である私は思わず手を挙げた。
彼女は(生き恥)と呼ばれる私に、差別なき笑顔で私を信じ、願いを全て私に託してくれた。
もちろん、願いを実現するのに大変な苦労はした。今まで頑張れたのはリサ様の差別無き笑顔があったのがおかげだ。あのリサ様の笑顔は生涯で一番美しく、心を奪われ、惹かれた。今となってはそれがいい生き様だ。
(そうだな・・・・)
ステファームは意識が遠のく中、思い浮かべる。人はどんな最悪な立場でも、行動次第で人生を変えられる。ステファームは子供達や孫に、日常の迷いは人生の迷い、1つの選択で人生を変えられる大きな道となる。人生の選択肢には立場は皆平等だ。そして何かやりたい事があれば、迷わずやればいいと教えた。
そして、地下世界アストラルにて、ステファームは大勢の親族に看取られながら人生の最期に幕を閉じた。享年115歳。
彼は最低な立場から英雄となった偉大な人物として歴史に刻まれるのだった。
ユーギガノスの遺産である封印宝を隠し、そして自身の子孫達が生まれ変わったリサ様に再び巡り会う事を願いを込め、選ばれし者にしか扱えない(運命の剣)を造り、先を生きる子孫達に受け継がせ、回した。
いつか、リサ様に巡り会うように・・・・。そして地上が良い世界であらんことを祈る。
と、ステファーム・アストラルの墓標に刻みま込まれる。
ーーーーー終わりーーーー