その女の子達とは、俺との先約があるんでね
○登場人物
天野 朔也:主人公
多々良:いじめの主犯
朝霧:いじめの共犯
柳:いじめの共犯
青年達:4人組、ガラが悪い
数時間後。
ゲームセンターにて。
多々良、柳、朝霧の3人は店内をぶらついている。
「それにしても~多々良は過激だったよね~私すげ~興奮しちゃったよ~」
「あのぐらい普通でしょ」
「あれが普通とか~どんな神経してんだよ~朝霧もそう思うでしょ~?」
「………」
「どうした朝霧~?顔色悪いぞ~?」
「……やっぱり、私はやりすぎだったと思う」
朝霧は、多々良に胸倉をつかまれ、にらまれる。
「何、あんた?今日はやけにあたしにからんでくるね。死にたいの?」
「……私は、思ったことを言ったまでだよ」
「あ、そう」
多々良は、朝霧の腹部に蹴りを入れた。
うずくまる朝霧。
「うっ」
「あんたもういいわ。明日から、あんたをおもちゃにしてあげるから。楽しみにしときな」
「お嬢さん達取り込み中?喧嘩するぐらいなら俺たちと遊ばね?」
20歳前後と思われる青年4人が声をかけてきた。
「なに?あんた達、ナンパ?」
「お嬢さんそんなににらまないでよ。怖いな~せっかくの美人が台無しだよ」
「それはどうも」
「あと、俺達レッドインパクトっていうチームの一員だからあんまり怒らせない方が良いよ?あはは」
「レッドインパクトって最近そこそこ勢力伸ばしている不良集団でしょ?あたしが言えた義理じゃないけど、あんた達あんま評判良くないよ」
「あ、知ってた?嬉しいな。一応、俺達そこの幹部なんだよね」
「へ~すごいじゃない」
「なんなら君もレッドインパクトに入らない?」
「う~ん……楽しいんなら良いよ」
「そりゃあもう楽しいよ、間違いない」
「じゃあ、つまんなかったら即、辞めるから」
「オッケーじゃあ、とりあえず俺達のアジトに行こう。ヘッドに紹介するわ」
「柳もそれでいい?」
「私は~楽しければ~それで良いよ~」
「そっちのお嬢さんはどう?」
「あ~そいつは良いから。もう友達じゃねぇし。それとも、私達2人だけじゃ不満?」
「ぜ~んぜん問題ないよ。じゃあ、とりあえず出ようか」
そこへ、朔也があらわれた。
「それは困るな、お兄さん方。その女の子達とは、俺との先約があるんでね」
「誰、お前?君達こいつのこと知ってんの?」
「あ~なんかウザい奴。あんた達なんとかしてよ」
「え~めんどくさいな~」
「こいつなんとかしてくれたら、あんた達を楽しませてあげるから」
「え?それ本当?お兄さん頑張っちゃうよ~。てな、訳で恨みはないけど、とりあえず死んどけや!」
金髪の青年が朔也へ殴りかかる。
朔也はそれをひらりとかわし、お返しに顔面へ拳を叩き込んだ。
金髪の青年は、尻もちをつき鼻血を流している。
「こ、こいつマジで殺す」
「先に手を出してきたのは、そっちだからな」
「だまれこの野郎!」
金髪男は猛然と朔也に突っ込んでくる。
朔也は再度かわし、今度は蹴りを入れる。
「うぐっ」
金髪はうずくまる。
そして、見守っていた残りの男たちが口を開く。
「いや~こいつ強いわ」
「だな」
「でも、このままなめられっぱなしもいかんでしょ」
「たしかにな、チームの名に傷がつくしな」
「そんなことになったら、俺達がヘッドに殺される」
「ま、3人がかりならやれるでしょ」
「とりあえず、ここはまずいな。ガキ、場所移すぞ」
「どうぞ。俺は構わないよ」
地下駐車場へ。
「おい、ガキ悪く思うなよ。喧嘩にルールなんてないからな」
そして、男達は一斉に朔也に襲いかかってきた。
朔也は一撃目をかわし、さらに二撃目を防御する。
しかし、三撃目は朔也の死角からの攻撃。
避けることも、防御することもかなわず、後頭部に攻撃を受ける。
「ぐっ」
朔也がひるんだすきに、渾身のボディブローが入る。
そこは、不幸にもハサミで刺された場所と同じ個所だった。
朔也は倒れた。
腹部からは血が流れ、血だまりを作っている。
「こいつやばくない?」
「なんで、腹殴っただけで血が流れるんだよ。おかしいだろ」
「そんなことは今はどうでもいいだろ。とりあえず、ここに放置しとくのはまずいな。アジトに連れていくか」
「そうだな。ここに放置して、死なれるのが一番まずい。ヘッドにも相談してみよう」
そして、一同は車に乗りレッドインパクトのアジトへ。