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新月の夜に  作者: 浅月
4/13

あなたに魔法をかけましょう

○登場人物

天野 朔也:主人公、高2

宇佐美 雫:高1

シンゴ:ガタイの良いオネエ系、朔也とはちょっとした知り合いらしい、年齢不詳

一円高校校門前。

朔也と宇佐美が現れる。


「ここで、少し待ってて」

「それは良いんですけど……どこに行くんですか?」

「それは行ってからのお楽しみということで」

「それと……あの……教室はあのままで良かったのでしょうか?」

「ああ……そういや掃除しないままに出たもんな。明日の朝にちょっとした事件になるかもな」

「ですよね……」

「それは、宇佐美さん的にも困るよね。そうだな……」


朔也は腕を組み思案する。

そして、ポケットから携帯電話を取り出す。

おもむろにどこかに電話をかける。


「あ、ザキ?俺だけど。ちょっと1年教室の掃除頼むわ。……そうそう。まぁ行けば、わかるから。え~そんなこと言うなよ。……おーけーそれで手を打とう。んじゃ頼んだ」


朔也は宇佐美に顔を向ける。


「教室の方は、なんとかなりそうだから。あんまり気にしなくていいよ」

「すいません」

「まぁ、気にすんな」

「それにしても、どうして私を助けてくれるんですか?」

「それは……」


二人の前に車が急に止まる。

車の中から、シンゴが出てくる。


「サクちゃ~ん。待った?」

「いや、ちょうど良いタイミングだったよ。それで、頼みたいことなんだけど…」

「ああ、いいわ。見ればわかるもの。この子ね。私好みにして良いんでしょ?」

「ええ、おまかせします」

「え?え?ちょっと……」

「大丈夫大丈夫、見た目はこんなんだけど、悪い人じゃないから」

「あら、ずいぶんな言い方ね」

「いや、事実でしょう」

「もう失礼しちゃうわね。でも、お嬢ちゃん安心して。私、女には興味ないから。男ならストライクゾーン広いけどね」

「シンゴちゃん、くだらないこと言ってないで早く行ってくれ」

「もう、冷たいのね」


宇佐美は、2人の会話をぽかんと聞いていた。

朔也は宇佐美の頭をポンポンと叩くと、車の後部座席のドアを開いた。


「では、プリンセス。かぼちゃの馬車にお乗りください。あなたに魔法をかけましょう」

「……わ、私がプリンセスですか」

「あら、良いわねサクちゃん。さしずめ、あなたが王子様で私が魔女ってところかしら。わかったわ、その役目謹んで受けましょう。さあ私の馬車に乗って、お姫様」

「は、はい」


宇佐美とシンゴが自動車に乗りこむ。

車内にて。


「さあ、準備は良い?」

「あ、あの…まだ先輩がまだ乗っていません」

「あ~サクちゃんは良いのよ。まだやることがあるからね」

「やること……ですか?」

「ん~例えば、可愛い女の子の髪を切った奴に復讐とか」

「え?」

「例えば、いじめっ子をこらしめて、いじめを無くすとか」

「な、なんでそのことを?」

「まぁ、オネエなんてやってると、空気を読むのが得意になるからね。だいたいの事情は、あんた達を見ればわかるわよ」

「……すごい」

「あら、ありがとう。それはともかく、とりあえずあんたのその不揃いの髪型をなんとかしなきゃね。じゃあ、行くわよ」

「は、はい」


2人を乗せた車は走り出す。

その車を見送る朔也。


「よし、行ったな。……さすがにもうやせ我慢も限界だ」


朔也は、制服のボタンをはずす。

すると、下に来ていたワイシャツが赤く染まっていた。

多々良にハサミで刺された腹部から血が流れていたのだ。


「うげ、思ったより悪いかもな。あ~油断した」


朔也は、大きく息を吐いた。

そして、腕を組みこれからのことについて思案し始めた。


「うし、まずは止血かな」


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