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新月の夜に  作者: 浅月
3/13

ヒーロー見参!……って感じでどう?

○登場人物

天野 朔也:主人公、私立一円高校2年生

宇佐美 雫:私立一円高校1年生

多々良:私立一円高校1年生、いじめの主犯

柳:私立一円高校1年生、いじめの共犯

朝霧:私立一円高校1年生、いじめの共犯

朔也は宇佐美にゆっくり近づいて行く。

多々良は危険を察知してか、宇佐美から離れた。


「あ~せっかくの綺麗な顔が、台無しだよ」


そう言って、朔也は宇佐美にハンカチを渡す。 

宇佐美は、驚きで動けない。


「お前誰だよ!」


多々良は朔也をにらみつける。

朔也は腕を組み思案をする。


「ん~名乗るほどのもんじゃないけど、強いて言うなら……」

「な、なんだよ」

「ヒーロー見参!……って感じでどう?」


ポーズをとる朔也。

それを見て、爆笑する柳。

宇佐美、多々良、朝霧は唖然としている。


「もしかして、寒かった?」

「ふ、ふざけんな!」


朔也に殴りかかる多々良。

しかし、多々良は朔也に腕をつかまれた。


「ふざけてんのはどっちだよ。集団でいじめなんてくだらねぇことすんな」

「お、お前には関係ないだろ!」

「目の前でいじめの現場見て、見過ごすことなんてできない性質たちでね」

「偽善者かよ。キモいんだよ!」

「偽善者で悪いかよ。自分が正しいと思ったことを正しいと言ってるだけだ……て、これじゃあまるであいつみたいだな」

「はぁ?知るかよ!離せよ!」


多々良は力を込めて腕を振りほどく。

そして、持っていたハサミを朔也の腹部に突き立てる。


「はは……死ねよ、そんで地獄で反省しろよ。ばーか」


壊れたように笑いだす多々良。

うずくまる朔也。

その様子を青ざめた様子で見ているその他一同。


「や、やばいよ~多々良~早く逃げようよ~」

「なに言ってんの?ちゃんととどめさしてあげないと」

「絶対、やばいよ~早く~朝霧も何してんの?行くよ~」


柳は、多々良の腕をつかんで教室を後にした。

そして、朝霧も宇佐美をちらっと見て、2人について出た。

教室に残された宇佐美と朔也。


「あの……大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫大丈夫。こんなこともあろうかと週刊誌を腹に仕込む系男子だから、俺」

「え……でも、ハサミに血が付いてますよ」


多々良が落としていったハサミを指差す宇佐美。

そのハサミの刃は赤く染まっていた。


「あれは、ケチャップだよ。お腹にケチャップも仕込むのが最近の流行りだからね。それより、君の方は大丈夫?」

「わ、私は大丈夫です」

「ふ~ん」


朔也は宇佐美をじっと見つめ、その後、周囲を見回した。

辺りには、多々良によって切られた宇佐美の髪の毛。

朔也は腕を組み何か思案した後、ポケットから携帯電話を取り出した。


「もしもし、朔也だけど。ちょっと頼みたいことがあるんだけど……ああ、本当?それは助かるよ。じゃあすぐ学校に来てくれない?……うん、じゃあそんな感じで」


携帯電話をしまう朔也。


「んじゃ行こうか……て、そういえば名前聞いてなかったね。俺は天野、一応この学校の2年生ね」

「私は宇佐美です。それより、あの……行くってどこに?」

「ま、悪いようにしないからついて来てよ」


宇佐美は朔也に連れられて、教室を出る。


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