1 終わりと始まり
初投稿ですよろしくお願いします
炎の匂い、人の悲鳴が、街を覆っていた。
崩れ落ちた建物の隙間から、黒い煙が空へと立ち上る。
逃げ惑う人々の足音、途切れることのない悲鳴。
「逃げろぉ!」
「助けてくれ!!」
誰かの叫び声が響いた直後、それをかき消すように低い咆哮が響いた。
— —スタンピード。
だか、これは明らかに異常だった。
前兆もなくここまでの規模になることなどあり得ない。
近くの大きな街ではパニックになっていた。
レイ•ルクスは、荒く息を吐きながら冒険者ギルドの扉を押し開けた。
「....何が起きてる?」
中にいた受付嬢が、青ざめた顔で振り返る。
「明朝に突如スタンピードが.....!原因はわからないままです!」
「前兆がねぇなんて...ありえねぇだろ」
グラン•ダルフが低く唸る。
その声は、明らかに苛立ちが滲んでいた。
「レイ...これは本当なの?」
ミア•ソルファが不安げに問いかける。
彼女の声は震えていた。
その時、奥から重い足音、軋む床の音が響く。
「事実だ」
現れたのはギルド長だった。
「もうすでに近くの村が一つ、崩壊している」
その一言で、場の空気が凍りついた。
「...嘘だろ」
誰かが呟く。
その中でただ一人。
アイナ• クロウだけが、窓の外を見ていた。
「...おかしい」
小さな声。
「何がだ?」
ギルド長が問う。
クロウはわずかに目を細めた
「わかんない。でも......これ、"自然じゃない"」
胸の奥に、いやな感覚がひろがっていく。
まるでーー何かに"見られている"ような。
その言葉で周りが沈黙した。
沈黙を破ったのは、ミアだった。
「....でも、やるしかないよね」
その言葉に、レイは頷き言った。
「ああ。この町を守る」
ダルフがレイの肩を叩き言った。
「最初からそのつもりだ」
クロウも、小さく息を吐いて言った。
「....行こう」
東の大門の前
門の前には多くの冒険者、騎士団が集まった。
そこからは、視界を埋め尽くすほどの魔物の群れがいた。
地面を震わせる足音。
空気を裂く咆哮。
「...すごい数だな」
レイが呟く。
「みんな、無茶だけはしないで」
ミアが振り返る。
「あたりめぇだ」
レイが笑う。
「俺が守ってやるよ」
ダルフが大盾を軽く上げる。
「ミアも、ね」
クロウが静かに言った。
「全員、出撃準備!!」
騎士団長の声が響く。
「行くぞぉ!!」
「おおおおおおお!!」
戦いが始まった。
レイが次々と魔物を剣で薙ぎ払う。
ミアは流れるように柔軟な動きで魔物を斬り裂いていく。
ダルフは大盾で仲間を守り。
クロウの矢は正確に敵を貫いた。
他の冒険者、騎士団の人たちも前線で剣を振い、後方からは弓、魔法での攻撃を行っていた。
だがーー
「おい、数が全くへんねぇぞ!」
ダルフが叫ぶ
その通りだった。
倒しても倒しても、次々と現れてくる。
「後ろだ!」
レイが叫ぶ。
振り返った先にはさらに巨大な魔物の群れが押し寄せていた。
その時だった。
「きゃぁ....!」
ミアが魔物によって吹き飛ばされた。
地面に叩きつけられて、動けない。
目の前には、巨大なオーク。
斧が振り上げられる。
(....あ)
時間が、ゆっくりと流れる。
ミアは目を閉じた。
「ーーミア」
聞き慣れた声がすぐ近くで聞こえた。
次の瞬間、衝撃が走った。
そしてーー温かいものが頬に落ちる。
恐る恐る目を開ける
そこにいたのはーー
「レイ?」
そこには、倒れたままの、彼の姿だった。
その身体が、自分を庇うように覆っている。
「....嘘だろ」
ダルフの声が震える。
「レイ.....?」
クロウが呟く。
「いや.....いやだよ.....」
ミアの手が、震える。
「レイ.....レイ!!」
叫びが、戦場響いた。
レイの視界が白く染まっていく。
音が聞こえづらくなっていく。
そして小さな声でレイが最後に言った。
「よかった....」
そしてーー
レイはゆっくりと目を開けた。
そこは、何もない白い空間だった。
「...目が覚めたか」
謎の低い声
「...ここは」
レイが呟く
「世界の狭間、とでも言えばいいのか」
振り返ると、そこには一人のどこにでもいそうな、普通のおっさんが立っていた。
「...あんた、誰だ」
レイがおっさんに対して問う
「神じゃ」
あっさりとした答え。
レイは、少しだけ間を置いてーー
「...俺、死んだのか」
そう呟いた。
神は、何も言わなかったが、ただ目を逸らす。
「...そっか...」
レイは察した。
「まて、その後どうなったんだよ⁉︎」
神は、また何も言わず目を逸らす。
「でも、まだ終わりではない」
神が口を開く
「お前にはもう一度チャンスをやる」
「...チャンス?」
「だが、このままでは、同じ結末になってしまう」
「だから、別の世界で学んでこい」
「...それで、救うことができるのか?」
レイが前に出て言う
「お前次第じゃな」
レイは少しだけ目を閉じた。
浮かぶのは、ギルドの人、街の人たち、そして仲間の顔。
「....行く」
短く、答える。
「みんなを救うために」
レイが強く言った。
足元に、魔法陣が浮かび上がる。
光が体を包み込んでいく。
「記憶は一度消えるが、必ず戻る」
「戻るまでは一度休め」
それが最後に聞いた神の声だった。
神の前から消える前に、神の背後から少女の影が見えた。
「....待ってるからね」
微かな声。
レイの意識が途切れた。
(続く)
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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