N***さんの繪
〈夏山や山山山と云ふ記號 涙次〉
【ⅰ】
貴女の脊に付いた肉を
締め上げたいとをろちは狙ふ
女の肉は
食つてしまつたら勿體ない
その彈力は蛇にしか分からない
ところで
佐川さんはそんなに重い精神病だつたのか
日本の裁判所だつたら
自己責任能力あり
は当然だよ
大蛇の夢を彼は見た
食ふ事に執着する
藝術家。哀れ
に誰が思ふのかねえ
#詩
此井です。今朝SNSを覗いたら、永田のこんな詩がポストされてゐた。いゝね、は十一個しか付いてゐない。何をやつてゐるのか、假にもプロの文筆業者なのだぞ...
蛇で永田、と來たら、* 夢田と云ふ占ひ師の絡んだ(文字通り絡んだ、何故なら彼女はをろちの化身だつたから)ヤマを思ひ出した。永田の地元、埼玉県まで出張したにも関はらず、一錢にもならなかつた不毛なヤマだ。
* 前シリーズ第132話參照。
【ⅱ】
夢田は(永田の物語)前シリーズの第6話にも出て來る。その時カンテラと私は、確かに夢田を殺つたのだが、だう云ふ譯か彼女は蘇生した。彼女は【魔】の團體に所屬せぬ、はぐれ者の【魔】である。蘇生は考へられないのだが。で、あのヤマでは、仲本の薦めもあり、警察サイドを揺すつてカネを出させたのだつた。我が娘、悦美が活躍した回だつたので、記憶しているのだが、あの頃「魔界壊滅プロジェクト」もなく、我々一味はまだ野性に滿ちてゐた。
【ⅲ】
永田の詩には繪が一葉添へられてゐる。女と大蛇‐ ボアか、のツーショットだ。蛇は人間の男女では、女を好むと云ふ話を聞いた事がある、何でも女の方が押し並べて體温が髙いので、冷血動物である蛇には快いとか。本当かね。
繪の女は美しい。しかも細密に描かれてゐる。私には、あの夢田のをろちの質感が思ひ出され、懐かしかつた。N***さん、と云ふ画家の手になる繪だつた。
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〈ヘヴィメタル流行りで魔境出現す未だパンクと間違へる人 平手みき〉
【ⅳ】
實はN***さんと私は昵懇の仲である。この繪の脊景の事も、良く存じ上げてゐる。この繪の大蛇は、やはり夢田なのだ。
話が突飛過ぎる? だが繪を描き終へたN***さんを救つたのは、まがふ事なきカンテラと私、そしてテオの、私たちなのだ。大蛇は彼女の(N***さんも女性)空想から出て來たのだが、其処、彼女の仕事場に居坐り、動かなくなつてしまつた。
夢田としての姿を見せたのは、カンテラの「修法」に暴かれたからで、「お前、また蘇生か。然もN***さんに憑依しやうとしてゐやがるな」カンテラは云ふ- N***さんは弱つたな、と云ふ顔で、佇んでゐた。實害なくとも、嫌な物なのだ。【魔】は。
【ⅴ】
夢田のなりのをろち。私は對戰相手としては人間型の方が得意なので、夢田姿の奴をぐいと羽交ひ絞めした。カンテラがずぶり、大刀を突き刺す。其処で彼女(夢田)は蛇のカタチに戻つた。二度と蘇生せぬやうテオが、テオ・ブレイドで小間切れにした。
N***さんは嚴しい財政から、依頼料を支払つてくれた。感謝の至りである。
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〈偉人でも蜘蛛殺すなら輕蔑す 涙次〉
この話はこれでお仕舞ひだけれど、他にもSNSの友人で、困つてゐる事があつたら、この此井にお聲掛け下さい。カンテラとテオと私でお伺ひしますよ。そんぢやあ、まあ。また次回。←永田の眞似をしてみた。笑。




