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陽キャは成績がヤバいらしい

「そういえば最近平和だ……」

「どうしたの? 真島くん」


 休日も終わり再び学生生活に戻って三日。

 いつものように志乃さ……篠宮先生に勉強を教えて貰っていた。


「いや、最近陽太達から変なちょっかいを受けてないんですよ。何かあったのかなーって」

「あぁ、なるほど」


 あれだけ俺をいじめていた陽太達だったが最近は大人しくなった。

 いや、すれ違うと睨まれはするよ? ただ以前に比べたら明らかにマシになったというか。


「多分成績が悪いからよ。彼ら留年一歩手前だし」

「え、そうだったんですか」

「一年生の時はまあまあだったけどね……進級してからガクッと成績が落ちたわ」

「あー……まじかぁ」


 陽太達は授業態度があまりよくない。一応内容を聞いてはいたが、途中でスマホをいじったりどこかへ消えたりと無茶苦茶だ。こんなんで成績は大丈夫なのかと思ってきたが、やっぱりダメか。


 いくら学校の支援者の息子とはいえ学園のルールは絶対。なので彼らは


「自業自得、ですね」

「勉強はやった分だけ伸びるもの。当然よ」


 合法的に消えてくれるなら俺は満足だ。

 篠宮先生さえいれば俺の学園生活はそれでいい。少し話した後、二人は勉強へと戻るのだった。



「何だ、この成績は!!」


 目つきの悪い男に殴られる。


「た、たまたまだよ……」

「黙れ!! 陽太、まともに勉強していないな!?」

「……」

「難しすぎるんだよ……二年になってから急に」

「言い訳無用!! 全く、朝日家の人間がこのザマとは」


 うるせぇなぁ。

 俺はもっと遊びたいのに、親父はいつも厳しい。やれ勉強しろとかやれ立派な人間になれとか。そういうの興味無いんだって。


「誰か賢いやつはいないのか?」

「え、あー……いじめてた真島とか?」

「ほう? それはどれ程の成績だ?」

「えーと、学年トップだったかな? けど陰キャで生意気なんだよ。だから俺が痛い目に合わせてんだー」

「なんだと……この大馬鹿者が!!」


 再び殴られる。


「何故そんな優秀な人材を利用しない!? 痛めつけるのは弱者だけ、強者には甘い汁をすすらせて媚びろ!!」

「は? 真島が、優秀……?」

「陽太よりよっぽど優秀だ!! あの学校の試験でトップなら相当真面目で勤勉な子なのだろうな」

「は……」


 真島が優秀?

 なんで? 陰キャで生意気で教室の隅っこで怯えてるあのクソガキが!?


「いいか!! そいつに媚びて教えて貰え!! 利用して利用して利用するのだ!!」


 俺があいつに媚びる?

 生まれも育ちも、見た目だって俺の方が上なのに。

 なんで俺があんな陰キャに頭を下げなきゃならない。


「……」


 いやまてよ?

 あいつより俺の方が力が上だ。

 媚びる必要なんてない、屈服させればいい!!

 どんな手でも使って、俺の成績さえ上げればこっちのもの。

 後は今まで通りみんなとバカ騒ぎして楽しい学園生活を送ろう。



「だからさあ、教員から次の試験の解答盗んで来てよー」


 翌日。俺は陽太に絡まれた。

 いつものいじめ……にしては何か目的がある気がする。


「陽太は賢いだろ。なんでそんなことする必要が? だいたい答案の場所なんてわかんないよ」

「冗談だってぇ。じゃあさ、授業の要点をまとめたノートよこせよ。お前いらねぇだろ?」

「えぇ?」

「だーかーらー!! お前のノートよこせよ!!」


 妙に焦っているな。

 遊び半分でからかいたい、ではなく今すぐにでも手に入れたいという欲に見える。


「てめぇ、逆らうとマジでボコるからな?」


 わかった、成績がヤバいからだ。

 志乃さんが言ってた、陽太達は留年しそうだと。恐らく父親か誰かに怒られ、俺を利用して成績をあげようとしてるに違いない。


「わ、わかったよ……今週の金曜日に全部持ってくるから……」 

「へへ、よろしくぅー」


 今はちょうど試験二週間前。

 試験が悪ければ陽太は留年する。

 今まで俺をいじめていた陽太を陥れるチャンス。

 このチャンスをものにする為にも、俺は行動に出よう。


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