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アロマの世界

「「ごちそうさまでした」」


 手を合わせ、食事を終える。

 途中こそ気まずい雰囲気があったが、大体満足だ。


「さて、志乃さん次はどこに行きますか?」

「えっと……私の行きたい所でもいい?」

「もちろんです。志乃さんの事、もっと知りたいですし」

「……ありがとう」


 お互いずっと先生と生徒という関係で、プライベートな話もせず勉強ばかりの毎日。

 志乃さんの好みに俺は興味がある。


「なら、いいかしら? ちょうど寄りたい所があるのだけど」 

「はい!」

「ふふ、行きましょう」


 柔らかい笑顔を俺に向け、志乃さんは目的の場所まで歩き始めた。



「着いたわよ」

「えっと、ここは……」


 志乃さんに案内されるがまま、着いたのは色んな小瓶や煙の出る機械が置いてある店。

 なんだろう、色んないい香りがするな。 


「ここはアロマオイルの専門店。週末とか少し時間がある時にアロマで癒されてるの」

「へー! アロマですか」


 志乃さんはアロマが好きなんだ。

 名前だけ聞いた事があるけど、どんな風に使うんだろう。


「色んな香りのオイルがあって、それをディフューザーにセットするの」

「この小瓶ですか?」

「そう。オイルと言っても種類が豊富なの。柑橘系とかハーブとか」 


 へー。色んな種類があるんだ。

 さっき志乃さんはオイルの系統を教えてくれたけど、一つの系統でも更に種類がありそう。

 専門店がある事を踏まえると、アロマの世界は奥が深いのだと実感する。


「どれもいい香りですけど、全然違いますね」

「気分によって変えたりするの。私は柑橘系とかお気に入りなのだけど……」


 そう言いながら、一つの小瓶を手に取る志乃さん。


「オレンジ、いいわね」

「あ、ちょうどディフューザーにセットされてるみたいですよ」

「それは気になるわね……うーん」


 目をつぶり、香りを楽しむ。


「……」


 オレンジ特有の爽やかな果実の香り。

 強すぎない甘い香りが心地よい気分にさせ、癒しを与えてくれる。


「いいでしょ?」

「はい、香りで癒される理由がなんとなくわかりました」

「私も気に入ったのよね……買っちゃお」


 志乃さんも気に入ったらしい。よかった。

 手に持った柑橘系のアロマオイルをそのままレジに持っていった


「私の家、他にも色んなアロマがあるのだけど……どう?」

「是非! 気になります!」

「そ、なら今度用意するわね」


 なんだか嬉しそう。

 好きなものを共有できたからだろうからか。

 俺自身も志乃さんの好みを知れて嬉しい。


 想像する。

 志乃さんの家で志乃さんとアロマに癒される姿。

 ……最高だな。 

 


「私の好みに付き合ってくれてありがとう」

「全然いいですよ。俺もアロマに興味が持てたので」


 買い物後、満足そうな志乃さんと共に店を出た。


「ふふっ……さて、次は優馬くんの番ね」

「え? 俺?」

「ええ、行きたい所とかない?」

「行きたい所ですかー……」


 どこかあるだろうか。

 普段は通販で全てを済ませるインドア人間な俺。

 外で何か買い物をする事があまりない。

 まぁ暇さえあれば、勉強か配信を見ていたからだけど……


「大丈夫よ、色んな所を回りながら考えていいから」


 このまま何もないというのはよくない。

 ぶらぶらしてデートが終わる、なんていうのは思い出としてもアレだし。

 それに志乃さんに申し訳なかった。

 何かしら行き先を決めたいけど……あ


「ゲームセンターとかどうですか?」

「ゲームセンター、ね……あまり行ったこと無いけど、楽しそう」

「よかったです。では、行きましょうか」

「えぇ」


 とりあえず行き先が決まった。

 ゲーセンはたまーに行くと楽しいんだよね。

 デートでも定番の場所だし、無難な選択肢だったと思う。

 

 こうして俺たちはゲームセンターへと歩みを進めた。 


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