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第1話 魔法少女の誕生

2作品目です。もう1作の方と同時並行で毎日投稿していきますのでよろしくお願いします!



満月が照らす夜。

闇に潜む1つの人影。一般の高校生だった倉野 ねむは10年前、突如として現れた魔獣と呼ばれる獣の一瞬にして傷だらけにした。



「ガ...ルゥ...!!」



──ドスンッ...!



失血によって倒れた魔獣はそのまま息絶えた。それを冷ややかな目で見つめた後、右手で握っていた黒いナイフに付いた血をハンカチで拭ってから鞘にしまった。



「...。」

「...あのさぁ。君が普段から無口なのは知ってるけどさぁ。こう...なんか無いの?」

「ない。」

「...そう。」



何も無い空間から現れた小さな黒い生物に対し、いつも通り素っ気ない態度で返すとそれ以上何も言わなかった。



────

──



彼との出会いは今から数ヶ月前の事だった。



「グルルル...。」


「きゃぁぁぁあ!!?!?」

「ぃやだ!!死にたくなぁぁぁぁあいっ!!!!」

「た、たす、助け...!!」

「うわぁぁぁぁん!!!おねぇぇえちゃぁぁぁん!!!」


「......。」



私はその光景を見つめながら呆然としていた。...なんたって国が危険と定めている存在である魔獣が私が住む街に降り立ったからだ。


魔獣というのは10年前、どこからかやってきた獣の名称で魔獣は1番弱いものでもヒグマやライオンが赤子のように感じる程である。さらに、現代における化学兵器はあまり効果がないときた。ならばどうやって戦うのだって?それはマナと呼ばれるものを含めた攻撃をするらしい。魔獣はマナの塊だと研究で発表されたからね。まぁ、そのマナ自体も8年前位に発見されたものなんだけどね。

初めて発見されたのが北極。そこで調査員が突然雷が鳴ったとのことで落雷地点を見に行くと禍々しい模様をしているクマがいたそうだ。...そこから地獄が始まった。

これを機に世界各国で黒い雷が鳴ると魔獣が現れるようになったのだ。



...そして、この街にも黒い雷が落ちた。



そこで話は戻る。



呆然としていた私は逃げることもせずにただただボーッとしていたのだ。

「はぁ...」とため息をつくとようやく私の周りの景色が止まっていることに気づいたのだ。



「君。魔法少女になる気はないかい?」

「はぇ?」



目の前に現れた不可解な動く生命体に普段私を見ている人ならば想像も出来ないであろう素っ頓狂な声をあげてしまった。



「だ〜か〜ら〜!魔法少女になる気はあるかい?って聞いてるの!」

「...。」

「ねぇ!きいてる?」



魔法少女...それは今から7年前に出現した魔獣に対抗する少女達のことだ。何やらスキルとか言うものを使ったり、魔法少女特有の並外れた身体能力を使ったりしているらしい。



「ねぇ!!」



魔法少女は国に所属していて、7年たった今は五天と呼ばれる5人のS級魔法少女が台頭している。詳しくは興味なかったから知らない。



「ねぇってば!!僕泣くよ!?」



だから魔法少女云々言っているこの謎の物体Xに冷たい眼差しを送る。



「え??なんでそんな目をするの??ねぇ?なんで!?」



猫なのか狐なのかリスなのかよく分からない動物の格好をしているこの生物が今にも泣きそうな顔をしている...ように見えたので反応する。



「...聞いてるよ。」

「よかったぁ!てっきり耳が聞こえないのかと思ったよぉ!」

「...はぁ...。で?魔法少女になるってどういうこと?」

「ん?あぁ!そうだったね!」



今思い出したみたいな顔をして次に放った言葉は10年前までは平和ボケしていた日本でぬくぬくと暮らしていた私にとってちょっとだけ衝撃的だった。



「──5年後、日本は消滅する。」

「はぁ?消滅って...国が無くなるの?」

「それもある...が、それよりも深刻な問題だよ。」

「...。」

「...島が無くなるんだ。S級魔獣によってね。」

「...。」



再び胡散臭いというような目で黒い生物を見つめる。



「本当なんだってば!!日本だけじゃない!いずれ近隣の国や挙句の果てに全世界の大地が無くなるだろう!!」

「...そう。」



流石に必死の物言いには引き攣った顔をして「そう」としか言えなかった。



「で、魔法少女になってくれる?」

「だからなんで。」

「適性があるからだよ。魔法少女になる為には少なくとも適性がないとなれない。そして、君には遥かに高い適性があるんだよ。」

「...へぇ。」

「で、どう?なる気になった??」

「いや全然?」

「何でよぉぉ!?」

「...あんなキャピキャピした人種にはなりたくない。」

「...。で、でも!変身するにはそうするしかなくて...!」

「確か変身する時や技使う時って何か言わないとなんでしょ?てかもうそんな年齢じゃないし。」

「うぐっ...!...で、でもそれだけ?」

「それだけって?」

「もしそのセリフを言わずに変身したり技を使えたら魔法少女になるのかいってこと。」

「...。出来るの?」

「出来ないことはない。」

「...。」

「どう?なる??」

「...ダルいけど...仕方ないわね。」

「ヨシっっ!!!」



短く小さな腕でガッツポーズをとる黒い生物。...あ、そういえば。



「...名前は?」

「あ、僕の名前は...ヤミ。そう、ヤミって呼んでくれ。」

「...ん。」



何かを考えるように顔を俯けたと思ったらヤミと呼んでくれとの事。絶対何かあるだろうけど今は気にしない。


で、何故私が魔法少女の件を受けたのかというとちょっと面白そうだったから。

今までつまんない人生を歩んできたから魔法少女になるのもいいかなぁってね。

ちなみに私は自分本位な性格だから学校でも1人でずっとボーッとしてる。今でもたまに話しかけてくる男の子や女の子はいるけど素っ気なく返すから次はない。



「後もうひとつ。なんで私なの?私以外にもいるだろうし。」

「それはねぇ。今まで見たことないほど適性があったからねぇ。それはもう正に魔法少女になる為だけに生まれてきた!みたいなぁ?」

「...?」

「まぁ。そんなことはいいんだよ。じゃあこれからよろしく!はい!」

「...分かった。」



互いに手を差し出し、握る。すると、握った箇所が光出した。慌てて手を離し、見ると手の甲に光でできた不思議な痣が出来ていた。


「それは契約印。魔法少女になった人なら皆もっているものだよ。ちなみに契約した人はそれぞれ違った印なんだよ。」

「...へぇ。」

「あ、念じれば消すことは出来るからね。...君の場合だと高校生活に支障をきたしたくはないでしょうからね!」

「そ。ありがと。」

「...どういたしまして。」

「次にスキルだけど、最初は2つランダムで決められて、最後のひとつは限られた人に発現する特殊なスキルだよ。...えーと...?」

「...。」

「君のスキルは《夢》《物質生成》の2つだね!《夢》ってのがよく分からないけど使う時になったら分かるよ!なんとかあの魔獣を倒してね!それと変身は心の中で思えば何時でもできるよ!じゃあ!よろしくね!ねむちゃん!」

「あ...。」


ものすごく早口で言い切ったヤミは私が何かを言う前に消えてしまった。



《夢》...それに《物質生成》...。




どうしろって言うんだ...。...あぁ、眠いわ...。





そんなことを悩んでいるうちに時は動き出す。


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