第99話 イブの使命
めまぐるしい1日が終わり、翌日、フランス諜報員3人も任務中止の指令書をシャルロットから受け、無事、フランスに帰国していった。だが、シャルロットだけはマリ達にお別れの挨拶にトニー・カミーユ・アンナが入院している病院まで来た。
マリ達は3人が心配で病院に来ていた。
「マリ、皆さん、今回は助けていただき、本当にありがとうございました。
皆さんがいなければ、我々はおそらく、死んでいたと思います。
他の3人には、ご指示通り、皆さんのことを話しませんでしたが、また、一緒にできる仕事がありましたら、呼んでください。
はあ~でも、できれば、私も治安情報局にこのまま入りたいな~、こんなこと言ったら上官に怒られますけど、諜報部員の仕事はすごく地味で、人をだましたり、隠れたりする仕事が多いんですよ」
マリは笑って、
「アハハ、それは大変ですね。でも、うちは優秀な方なら、大歓迎ですよ。諜報部の任務や仕事の切りがよくなれば、いつでも、お待ちしてますよ」
「うわあ、本当ですか!」
それを聞いていた、ドニーズ中尉が小さい声で
「でも、ここには、厳し~い上官がいるから、大変だよ」
「そんなの、大したことじゃありませんよ。こんなすごい方達と仕事ができるだけで、
うれしいですから」
「それじゃあ、それまで、皆さん、お元気で、今夜の飛行機で戻らないと、
次の任務に遅れてしまいますので」
マリ達はシャルロットとお別れの挨拶をした。
そして、マリはシャルロットがベラベラ話していたのに、いつもなら、すぐに会話に入ってくるイブが難しい顔をしているので、心配になって
「イブ、どうしたの?具合でも悪いの?」
心配そうな顔でマリはイブを見つめた。そんなマリにイブは
「マリ、、みんな、しばらく、この局での仕事をお休みさせてほしいんだ」
「どうしたのイブ、昨日の件で疲れてしまったの?」
「いや、そうじゃないんだけど、どうしても、やらなければいけないことができてしまって」
イブは決心したような様子で、
「マリ、ユウキにお願いして、私を治安情報局に一度戻して、すぐにベータと一緒にここに戻ってきたいんだけど、ユウキにお願いしてくれないですか?」
「いいけど、でも、私達は仲間なんだから、なにか、心配事でもあれば、なんでも、手伝うからね」
「うん、ありがとう。でも、今回だけは我々の問題だから、マリ達は外してほしい」
マリは心配だったが、イブが真剣に話している様子を見て、
「うん、わかった。イブがそう決めたんなら、そうして、でも、困ったことがあれば、
すぐに呼んでよ」
イブは素直で気持ちのいい声で返答してくれたマリの顔を見て笑顔で答えた。
「ユウキ、イブを治安情報局に戻して、ベータと一緒にこのムセビアのイブの指定するところまで、送ってあげて」
「了解、いくぞイブ」
「ああ、頼む」
二人は病院から、フランス治安情報局に瞬間移動した。
移動後、ドニーズ中尉は
「局長、イブさん、あれはちょっと普通じゃないですね。あんな真剣な顔、自分は初めてみましたよ」
ベルナールも
「昨日の事件が終わってからず~とあんな感じですからね。今朝も食事中にいつもなら、
自分の気にいったものがあると、人のおかずでも、すぐに取り上げて食べるのに、
今日は全く、しなかったですし、元気もなかったですからね」
葉子も
「イブのあの顔つき、まるで、やらなければいけない命がけの使命を果たしにいくような
感じがしましたね」
マリは、みんなの話を聞いていたら、だんだん心配になってきた。
「でも、イブが決めたことだから、みんな、イブに呼ばれるまで、変な詮索はしないようにしよう」
しばらくして、ユウキが戻ってきた。
「ユウキどうだった」
「イブとベータは病院の外から、自分たちで向かうと言って歩いていったよ」
マリは何か、嫌な予感がした。
「ベータ、これから向かうところだが・・・」
ベータはすべてわかったように
「はい、第一執政官、わかっています。私も近くに来て、感知しております」
「首都中心地にある中央総統府の建物は、ここから、10kmぐらいか、少し距離があるな、
ベータ空から行こう」
「承知しました。ジェットグライダー起動」
ベーターは体を変形させて両手が翼にカカトが噴射口に変わり、
イブの体と一体になった。
「ベータ、アルファ7の位置をスクリーンに出せ」
「了解、総統府5階、北側に確認」
イブの頭もヘルメット状に覆われ、顔の前にはクリアーなスクリーンがあり、
そこに目的箇所が点滅で現れた。
「ベータ、地球人に見られるとやっかいだ。見えなくしてくれ」
「了解、ステルスモード起動」
しばらくして、イブの姿は消えて、そこから大きな風が吹き、空に飛びあがった。
「シュ~」
ものすごいスピードで飛び、すぐに総統府屋上にたどりついた。
「ベータ、もう着いた。元に戻れ」
ベータは元の姿に戻った。
「この下が5階だな。あそこの扉からおりるか」
「第一執政官、アルファ7に我々の所在が検知されました」
「かまわない、どうせ、会わなければならないんだ」
イブ達は屋上の扉から入り、階段をおりて、5階大統領用展望室の前に来た。
そして、大きな扉を開けた。
そこは、高さ3mは超える大きな窓が30m以上の幅でつながり、
都市を一望できるようになっていた。そして、室内の奥に一人の男が立っていた。
イブはその男を睨みながら、近づいていった。




