第81話 犯人逮捕
「イブさん、見つかりましたよ!」
「本当か!」
「はい、この男で間違いありません。イブさんの製作してくれた犯人の姿や顔の形が精密だったおかげですよ」
「それで、今、犯人はどこにいるんだ?」
「え~と、今は空港の待合ロビーで座っていますね」
イブやチーム全員がその映像を確認した。
「あ、動き出しましたね。たぶん、飛行機に乗るところですね」
ドニーズ中尉が
「すぐ捕まえるにしても、証拠もないし、ましてや、警察などにも、まだ何も言ってないから、
緊急逮捕をするにも、ちょっと時間かかりますね」
「大尉どうしますか?」
カミーユ大尉はすぐに答えた。
「空港警察に連絡、その男をダニエルが空港のカメラで追いかけながら、誘導指示をして、
とりあえず、身柄を抑えよう。まだ、令状もないから、あくまでも、任意でな」
「了解、空港警察に連絡します」
「アンナ、ベルナール、お前達は私と一緒に空港へ向かうぞ、ドニーズは状況を警察に連絡して、できる限りの協力を要請してくれ」
「了解」
それを室内の後方で聞いていたマリは
「ユウキ、イブ、私達も空港に向おう」
「マリ~、ユウキのさ、瞬間移動でパッと行って、パッと捕まえようよ」
それを聞いていたユウキが
「空港ロビー内は人目が多すぎて無理だけど、空港の外なら、人がいないところがあるので、問題ないよ。マリ」
「そうね、カミーユ大尉達のチームは、ユウキの能力をまだ、信じていないところもあるし、
最近、イブばかりに犯人捜査に負担をかけていたから、この辺でユウキも活躍しないと、また、イブが後でうるさそうだもんね」
「まあ、別にこいつがいなくても、私だけでも、捕まえられるけど、ユウキがどうしても
手伝いたいって言うなら、しょうがいないわね」
ユウキは相変わらず、生意気な口を利くイブを睨んだ。
「イブ、やっぱり、最後には僕がいないとダメなんだね。まあ、イブはここで、ベータの作るケーキセットでも食べていればいいよ。あとは任せといて」
「何、人が苦労して犯人を見つけたのに、最後のおいしいところだけ、いただこうなんて、
私が許すわけないでしょ」
「もう、いいかげんにして、また、こんなくだらないことで、時間を無駄にしないで、こんなことしている間に犯人に逃げられちゃうじゃない。それに大尉達、もう、出かけちゃったわよ」
イブとユウキは廻りを見て、驚いた様子で
「あいつら、私を置いていったわね、ここまで、協力してあげたのに、あの恩知らずが」
室内の窓から、大尉達の車が出るのが見えた。
「もう、しょうがないわ、私達だけで先に行ってましょう」
「そうだね」
「ドニーズ中尉・ダニエル中尉、あとはよろしくね」
「はい、わかりました」
そういった途端、ユウキの体が赤く光りだして、マリ・イブの体も光だして、中尉達の目の前から姿が消えた。
「お~、消えた。本当に消えたよ」
二人ははじめて見る瞬間移動に驚き、ユウキも宇宙人であることを認識した。
「シュ~」
「着いたよ」
シャルルドゴール空港内の荷物置き場内に移動した。
「すごい、荷物だね」
「空港の外に移動すると、時間がかかるし、入る手続きも面倒だからね」
「ありがとう、ユウキ、じゃあ、犯人のところまで、案内して」
「OK」
ユウキは空港内の施設が完璧に頭に入っているので、最短ルートで各扉をあけて、出発ロビーまで、たどり着いた。さきほど、ダニエル中尉が見せてくれた場所にたどり着いたが、犯人がどこに行ったのか、わからなくなった。そこで、イブが耳に付けている通信機から、
「ダニエル、犯人はどこに行ったの」
「はい、今、Yー31搭乗口前で空港警察と一緒にいます」
「了解、マリこっちよ」
3人は急いで、搭乗口に向かった。
「ですから、警察から連絡が入り、あなたは事件の重要参考人ということで、出国を止めるように指示が出ているんですよ」
足止めされている男は少々、怒ったような様子で
「令状はあるんですか。何を根拠に、私をここで足止めさせるんですか?」
警察官は困った様子になった。
「私もね、予定があるんだよ。なんの容疑か知らないが、根拠もなく、止めるんじゃないよ!」
とても大きな声でその男は怒鳴った。そして、警察官の背後から、
「根拠ならあるわよ。この切り裂き男が」
男は驚いた様子で
「切り裂き男?何を言っているんだ、訳のわからないことをいうんじゃない」
イブはあきれた様子で、
右手に持っているタブレットに写っている、その男の画像を見せた。
「顔の形、姿、顔認証ソフトで該当者にヒットしたのよ。こんな、はっきりした証拠があるのに、あなた、逃げられると思っているの」
イブは自信満々で話をした。男はそれを見ても表情を変えずに
「あんた達、どこの誰だ?こんな少年少女が大人をからかうんじゃないよ」
と言って、警察官の手を振りほどいて、搭乗ゲートから中に入ろうとした時、マリがポケットから取り出した身分証を出して、
「治安情報局よ。我々は捜査権と逮捕権を政府から与えられた、レッキとした、捜査機関よ、こちらに来なさい」
マリは警察から与えられた手錠をその男にかけようとした瞬間
「フフフ、こんなお子ちゃまが、そんな権限あるわけないだろ、大人を怒らせたら、どうなるか、わかっているのか」
180cmは超える身長で細身の男がマリ達を脅すように睨みつけた。
しかし、マリは平然としていた。
「どうだ、私が怒ったら、お前達もどうなるか、わからないぞ、もう邪魔をしないで、
お家に帰りな」
また、マリは平然としていた。そして、淡々と話した。
「邪魔すると、どうなるんですか?あなたは手先は異常に起用そうだけど、それ以外は、へなちょこじゃないですか。私が相手するほどでもないですけど、おとなしくしないと、ケガしますよ」
その男は、自分をバカにするこの少女に完全に頭にきて、右腕にしまい込んでいた、特殊金属でできているナイフをマリの首筋にめがけて切り付けてきた。その時、ユウキが
「アブナイ!」
と大声を上げたが、マリは平然とその振りかかってきたナイフを手でつまみ、ナイフの攻撃を止めてしまった。そして、その男を見て、
「おじさん、こんな攻撃でおわりですか?」
マリは、あまりにもチンケな攻撃でがっかりした様子で話しかけた。
「なんだ、こいつは、おれのナイフを交わすどころか、つまむなんて」
マリはため息をついて
「はあ~、もう少し強くて、刺激のある人かと思ったけど、こんな小者だったなんて」
マリはがっかりした態度でその男に手錠をかけた。
その様子をダニエル中尉はしっかりとカメラで確認・録画していた。ばかな犯人は証拠となりうる凶器までご丁寧に出してくれて、この事件は解決する見込みとなった。
「ユウキ、大尉達、あとどれくらいでここに来るかな?」
「そうだね、あと5分もすればば到着すると思うよ」
「それじゃあ、外に連れ出して、大尉達に警察に連れて行ってもらおう」
イブはダニエル中尉に
「ダニエル中尉、大尉達に空港の外でこちらは待機しているから、警察までの連行を頼む、それと、ドニーズ中尉、ダニエルから証拠となる資料などを警察に送って、お前が話をして、大尉達が犯人を警察に連行したら、スムーズに引き渡しができるように話をしておいてくれ」
「了解」
治安情報局の初仕事はあっというまに無事完了した。




