62話 ベータ22
「どう?イブどこだかわかる?」
「フフフ、感じるぞ!はっきりとな、ベータ22の位置が」
「ベータ22?何それ」
「マリ、あとでゆっくりと話すから、今は宇宙船の場所まで急いでいこう」
100mほど奥に行ったところに、大きな扉があり、イブがまた、暗証番号とランダムな番号をぱちぱちと押した。そして、その分厚い扉は開いた。そこには、地球上ではまず、見ることができない物体や、遺物のようなものが、光るガラス板の棚の上に所狭しと置いてあった。
幅10m程度でつづく通路の両サイドにガラス棚があり、100m以上そこはは続いており、その遺物に近づくと、文字や年代、発見場所、特製などが空中に文字として浮かび上がってきた。
3人はこの空間もそうだが、1万以上はあるのではないかと思われる。収蔵品の量に驚愕した。
「すさまじいな、これは、地球に来た、ありとあらゆる星の物が置いてあるぞ」
イブもそれを見ながら、すこし薄笑いをしたように
「でも、ほとんどが、何もされていないな。やはり、地球人の科学レベルではせっかく集めたこのコレクションも全く生かされていないな」
そして、50mほど歩いたところにその棺は置いてあった。
「これだ!」
イブが大きい声を出したその瞬間、また警報が鳴り、地下の空間も非常事態のランプがあちこちでくるくる回った。そして、入ってきた扉が自動で閉まってしまった。
「また、見つかったか!」
ユウキが声を出した時に室内に放送が入った。
「侵入者につぐ、おとなしく投降しろ。こちらは外に部隊を展開しており、外に出て、おかしな動きをしたら、スナイパーにより、発砲するぞ、これからそちらに向かう抵抗など考えるな」
3人はその命令を聞いても、ほとんど無視して、移動する時間などを話していた。
「ユウキ、今、フランス時間で23時38分だよ。まだ、ちょっと早いよね。どうしようか」
「なにも行動をしなければ、恐らく数分で上階からの部隊が突入してくるだろう。さすがにマリも同時に数十人から銃弾を打たれたらよけきれないだろうし、せめて、最後に入った扉をあけさせないようにできれば」
「無理よ。あんな大きくて分厚い扉、しかも私達から見て、外側に開くんだからとても引っ張れそうにないわ」
「さっきから、ここに収蔵してある物を物色していたが、どれも部品ばかりで、とても役に立ちそうなものはないし、困ったな」
「イブ!あと20分くらい、どうにかここで邪魔を入れないようにできないかしら」
また、イブはいつものように
「承知しました。マスター。私にお任せください」
そう言って、目の前にある棺に両手をかざして、体内から発せられる光を送りこんだ。
30秒くらいして、棺からものすごい空気音が出た。
「プシュ~・・・」
マリとユウキは驚いた様子で棺を見た。そして、棺のフタが静かに開き始めて、その中から、一人のかわいい10歳くらいの少年が出てきた。
その少年はゆっくりと棺から出て、その横に立ち上がり固まっていた。
「ふ~、うまく行ったわ。地球人は結局、運ぶだけで、何もできなかったみたいね」
「イブ、この子だれ?」
ユウキも驚いた様子でイブを見た。
「ベータ22ですよ」
「ベータ22?」
「はい、これは地球人でいう、アンドロイドですよ」
「アンドロイド?」
「はい、こちらの状況に対応できるように、今、必要な情報と、起動プロトコルを行っていますので、あと60秒ほどお待ちください。そうすれば、ベータ22がすべて対応しますから、ですが、あの扉を抑えておく指示をだしてますから、とりあえず、ここに置いていきます。
ユウキ、2日ぐらいしたら、迎えに行ってくれないかと・・・・そういうふうにマリ、こいつに頼んでくれませんか」
マリは驚いたように
「こんな、かわいい少年があの扉を抑えておけるの?」
「ぜ~んぜん、問題ないですよ。ベータ22は抑えるのではなく、扉と枠に同化して、一部分を接合することができるんです。ですから、別に力なんて関係ありません」
「すごいんだね・・・」
「ピキ~ン」
少年から、不思議な音が発せられた。そして、イブに向かって両腕を広げ、片膝をついて
「第一執政官、任務受領しました。お任せください」
その少年は落ち着いた様子でイブに向かって話だした。
「ベータ22、緊急事態のため、われわれが移動するまでの時間、よろしく頼む、2日後のこの時間にまた、迎えにくる。地球人に、察知されない電波を使用して居場所を教えてくれ」
「承知しました」
「降りて来たぞ!イブ!」
その少年はものすごい勢いで扉まで行き、不思議な光を放って、両手が解けて扉と一体になった。
「ユウキ!23時57分だよ」
「了解、移動準備に入る」
「イブ、こっちに来て、行くよ」
「わかった」
マリは大きい声で
「ベータさ~ん、ありがとう、また、迎えに来るからね!」
マリは申し訳なさそうなまなざしでベータを見ていた。そしてマリは目をつむって
「葉子さんポーラうまく電気消してください」
とつぶやいた。棺とイブ・ユウキ・マリは赤い光に包まれ、その場所から姿を消した。




