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平和への使者  作者: DAISAKU
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43話 心強い助っ人

学校から車で20分ぐらいのところに崎元家はあった、ごく普通の木造2階建ての家で駐車場が2台と外に小さな庭があった。


「ただいま~お母さん。松田さんと飯沢君が来てくれたよ」


崎元母は2階から慌てて降りてきて


「よくいらっしゃいました。この度は色々とお助けいただきありがとうございます。

本当なら、私達の方から直接伺って、ご挨拶しなければいけなかったのにすみません」


「いえいえ、すべての費用を出すのは私でなく飛島さんですから、ですが本人はフランスに行ってしまって、私は頼まれただけですから」


「飛島さんにも今回の件が落ち着いたら、改めてお礼に行きます。さあ上がってください。

せまい家ですが・・・」


そう言われて室内1階の15帖ほどのリビングに案内された。壁や戸棚などが壊れているところが目についた。


「すみません。汚い部屋で、主人が荒れてしまって、毎日いろんなものを壊すものですから。

昔はあんなじゃなかったんですけど」


リビングのイスに4人で座り、お茶を飲みながら、


「お母さま、19時にお父様がお帰りになり、別居の件をお話されるんですよね」


「はい、そのつもりです。主人はどうせ、お金がないんだろうから、出て行くことはできないと思って、いつも強い口調でいばってさわぎますが、今回は本当に出て行くわけですから、

どれだけ暴れるか、心配です。でも、こんなに体格の良い男性がいてくれると思うと心強いです」


「任せてください。祥子と僕はシしづこさんの部屋で待機してますから、何かあったら、呼んでくださいね」


「ありがとうございます」


「それじゃあ、私の部屋にいこうか」


しづこの部屋は2階で8帖ほどの広さにベットや机などがあり、ごく普通の女子高生の部屋だった。祥子は同級生の部屋に入るのが、実は初めてだった。靴をぬいで玄関から入り、台所や客間、そして上がってすぐに勉強や休憩・寝室などをするこの一つの部屋に不思議な感覚で足を踏み入れた。


「祥子さん、あまり、ジロジロ見られるとはずかしいな。祥子さんの家に比べればウチなんてすごく狭いんだから」


「いえ、そんなつもりはないわ。ただ、私、同級生のお部屋に招かれるのが初めてだから」


「へ~、祥子さんはたくさんの方とお会いする機会が多いのに意外だな」


「たしかに僕も女子の部屋にあがるのは初めてだから緊張するな」


そんな話をしている間にしづこの父が車で帰ってきた。


「百合子~帰ったぞ」


「はい、今、行きます」


「今日はしづこの友達も2階に来てます。」


「・・・・・」


大きい態度の父、猛はリビングのイスにドンと腰を下ろした。


「なんだ、話って、この間の続きか」


百合子もイスに腰を下ろして


「そうです。今まで、あなたとは色々と話してきましたから、担当直入に言います。私と離婚してください。それと、しづこと私はここから出ていきます」


なんだ、またその話かと言った顔で猛は


「出て行くのは構わないが、金はないぞ。どうするんだ」


「そんなことは離婚するんですから、もうあなたには関係ありません」


祥子はしづこの母親が心配で1階、階段の壁にしゃがみこんで、2人の話を盗み聞きしていた。

それを見ていた飯沢は祥子は学校ではなんか、偉そうな態度を取っているが、実は友達のためなら、どんなことでもしてしまう、やさしい人なんだなあ。と思った。


「関係あるだろ、夫婦なんだから、お前のそういう態度が生意気なんだよ。男でもできたのか。

そいつに金を貢がせているのか」


「そんなことはしません。それにもう、あなたとは金輪際、関わりたくありませんので」


猛はだんだんイライラしてきた。


「じゃあ、これから、俺のごはんや洗濯は誰がするんだ」


「知りませんよ。そんなこと、自分でやればいいじゃない」


「いいから、いつも通りここにいればいいんだよ。お前は、外でお金もまともに稼げないんだから」


「嫌です。絶対に出ていきます」


猛はいつも通り怒鳴りだした。


「偉そうな態度を取るんじゃない。いったい、今まで、誰のおかげで生きてこれたんだと思っているんだ。いいから、もう変なことは考えるんじゃない」


百合子も負けずに


「そんな態度取るから、社員に逃げられるのよ」


猛の怒りはその言葉で頂点に達した。


「ふざけるな!お前」


そう言って、百合子の髪をつかみ、そのまま、床にたたきつけた。


「おい、出て行くんなら、お前だけ出てけ」


「すぐに都合が悪くなると、暴力でいうことを効かそうとするんだから、しづこだってこんな父親と一緒に生活できるわけないじゃない」


「おい、しづこはいるんだろ!どっちに付くか直接聞いてやる」


猛がリビングの扉をあけた瞬間、そこに松田祥子が仁王立ちで立っていた。松田祥子は女性ながら身長は170cmあり、とても大柄で猛も祥子を見て、驚いた様子で


「なんだ、お前は」


猛を睨みつけながら


「私は、しづこの同級生です」


「じゃまだ、しづこを連れてくる」


そう言って祥子をどかそうとした瞬間、祥子は通路をふさぎ


「行かせませんよ。お父さん」


「なに~、人様の家に上がっておいて、何を偉そうにしているんだ、いいからどけ」


祥子は怒鳴られても全く、動じることなく


「この家をいつも守ってくれているお母さまに暴力をふるい、そして、しづこにまで暴力でいうことを効かそうとする人のいうことなど、聞けませんね」


猛は完全に頭にきて


「いいからどけ!」


そう言って、祥子を体ごとどかそうとした時に祥子は猛の手をにぎり、背中にその手を押し付け、無理やり、リビングの部屋につれていった。


「お父さん、これ以上、暴力をふるうなら、この私が許しませんよ」


「はん、お子ちゃまが粋がるんじゃないよ。俺が本気出したら、けがをするぞ。部外者はここから出てけ」


「大事な友達の家族に暴力をふるう者を野放しにしたまま、出ていけませんね」


「いいから出てけ!」


そう言って、祥子の肩をつかんで外に出そうと猛がさわった時に祥子はその手を振り払い


「さわるんじゃない。そうやって、弱い人を見下し、暴力で誰も言うことを聞くと思っているのか!」


祥子も怒りが収まらず、大声を出した。猛も完全に頭にきて、本気で祥子に襲い掛かってきた。

180cmは超えて体重も90㎏はあるだろう猛が突進してきた。


「バタン!」


猛は一瞬でその場で祥子に投げ飛ばされた。びっくりした様子で祥子を見上げ


「お父さん、私にこれ以上、襲いかかってきても同じことですよ。ここだけの話ですが、この私には格闘家でもかなわないんですから」


猛は目をぱちぱちさせて祥子を見た。


「しづこさんはその人柄から、同級生飛島マリと私達と友達になり、

みんながしづこさんを応援しています。だから、お金のことなんて、どうにでもなるのです。

あなたは、自分の会社が勢いよく成り上がったものだから、殿様気分になり、本当に大事にしなくてはいけないものが見えなくなってしまったようですね」


しづこも2階から降りてきて、その話を黙って聞いていた。


「お母さん、もう一度、お父さんにお願いしてください」


「はい、猛さん、私はあなと離婚して、しづこと二人でこの家を出て行きます」


「しづこ!あなたもこっちに来て話して」


祥子は大きい声を出して、しづこを呼んだ。


「お父さん、わたし・・・お母さんと出て行くよ。ごめんね」


猛は黙って聞いていた。


「おかあさん、しづこ、もうこれ以上、この家にはいづらいだろうから、荷物を持って、ここからでましょうか」


「祥子ちゃん、荷物は結構あるから、簡単に、今すぐと言っても・・・」


それを聞いて祥子は、スマホから連絡をした。


「篠田さん、ちょっとこっちに来てくれる」


「はい、お嬢さん、今行きます。」


「お母さん、しづこ、あのね、私、勝手にトラックを用意しちゃったの。大型トラック2台あれば、その荷物運べるかしら?」


百合子はびっくりした顔で、


「そこまでは荷物ありません。でも、祥子ちゃん、行く先も決まっていないのにトラック大丈夫ですか?」


「取り急ぎの宿泊先はご用意しますわ。それと、住むところが決まるまで、トラックに荷物は積み放しで大丈夫ですから」


そんな話をしているそばに運搬担当の篠田が来て


「お嬢さん、いらっしゃいますか」


「こっちよ。篠田さん、このお二人にご説明をお願い」


「どうも、引越しエキスパートの篠田です。お荷物の梱包から運び出しはもちろんPCなどの機器も取り外し設定まですべてやらさせていただきます。お二人は、お持ちになる物を私にご指示いただければ、すべてこちらでやりますので、ご指示ください」


そういったそばから、5人ほどの作業員が崎元家になだれこんできた。

百合子としづこはもちろん猛までがびっくりした様子で作業員を見ていた。


「さあ、お二人とも、ご指示願います。」


「は・はい、ではこちらの部屋から」


「しづこ、そういえば飯沢君はどこに行ったのかしら?」


「わたしの部屋だと思うよ」


二人は部屋に行くと、飯沢が苦笑いをしていた。


「心強い男性がこんなところで何してるの?」


どうやら大きい声を出す、祥子や猛の声におびえて、しづこの部屋から出れなかったようだ。

その様子を見て二人は思い切り、笑ってしまった。

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