29話 宇宙人の助け
「遥か彼方およそ300光年ほど離れた星に「ムー」と言われる星があり、
われわれより、はるかに進んだ高度な文明を持った知的生命体がいる、
この天の川銀河における、数えきれない知的生命体を常に監視して、
他の惑星の知的生命体が自分たち同士の争いで破滅の道を進んでいく種族、
環境破壊で絶滅しそうな種族、また、恒星間移動ができるようになり
宇宙に害を及ぼす種族など、色々とあるが、この地球の人類は今、
破滅の道を進んでいる種族なのよ」
松田兄妹はおばあさまのぶっ飛んだ話に少しあきれた表情で
「おばあさまがそんな夢物語を話される方だとは思いませんでした」
「そうですよ、そんなこと絶対にありえませんよ、
なんで破滅するなんてわかるんですか?」
葉子も国から飛島マリのこと飛島ヤエのことは聞かされていたが、
この宇宙人の話は初めてきいて、驚いた様子でおばあさまを見つめた。
「そして、飛島マリさんはその高度な知的生命体ムー人からこの地球で唯一、
この人類を救うことができる人として選ばれた方なんだよ」
さらに三人は狐に包まれたような思いで
「高度な宇宙人でしたら、直接この地球の人類を助けてくれれば
良いのではないですか?」
葉子が初めて口を開いた。
「たしかにその通りだけど、このムー人は絶対に直接的な行動では
助けてくれないんだよ。必ず地球人自身の手で破滅から
回避するようにと言ってるんだ」
「なんかそれじゃあ、なんにもならないんじゃないですか」
「そんなことはないよ、ムー人は、世界中のどこでどんなことが
危険かすぐに教えてくれるセキュリティー機能や1日2回までだが、
平和への使者が希望する場所に瞬時に移動する、
瞬間移動なんてことも協力してくれる、
だから、ムー人は、常にマリさんのそばにいれるように巧妙なことをするし、
マリさんの学校でも同じクラスそうね、
おそらく席まで隣にしてしまうことなんてするんじゃないかしら」
祥子は驚いた顔でそばにいるユウキのことを見た。
ユウキは何から何まで話してしまうマツに昔を思い出したように
暖かい笑顔でマリの横に座っていた。
「ちょっと待ってください。おばあさま、マリといつもいるっていうと、
このユウキくんが宇宙人ってことになりますけど」
マツはユウキを見つめて、
「ユウキさん、これからこの子たちをお願いね。
ちょっと生意気なところもあるけど、みんないい子達だから」
ユウキは静かに頷いた。
松田兄妹はあまりの話にしばらく言葉が出ないようだったが、大介が
「おばあさまのことを疑いたくはないですけど、もし今の話が本当なら、
瞬間移動でしたっけそんなことができるんですかね。
実際にできるんなら見てみたいです」
祥子がすかさず
「その話が本当だとしても、なぜ兄さんや姉さんとかじゃないんですか。
この松田グループは世界でもトップクラスの資産を持っていますし、
世界を救うにはやはり、お金なども必要じゃないんですか」
マツは少し疲れた様子でため息をついて
「ふ~、祥子、あんたはマリさんを見た目だけで判断してるね。
マリさんは松田グループよりも直接使えるお金はたくさん所有しているんだよ」
「うそ、だって、毎日バスで通っているんですよ。親も普通のサラリーマンだし」
祥子はいまだにマリにだけには負けたくないという小さなプライドが意味のない話を作り出していた。
「こんな話をダラダラしていてもしょうがないね。
マリさんこの子たちに瞬間移動見せてあげてくれないですか。
あなたが本気でユウキさんに言えばユウキさんは断れないことになっていますから」
マリは本当かしらと思いユウキに向かって
「ユウキくん、瞬間移動で別の場所にみんなを連れっていってくれる、お願い」
ユウキはすぐに答え、
「了解。マリ、行先はどこがよろしいですか?」
マツはうれしそうな顔で
「フフフ・・・死ぬ前にユウキさんにまた会えるなんて思わなかったし、
また瞬間移動をさせてもらええるなんて思わなかったからどこに行きましょうか」
マツは急に浮かれ出した。
松田兄妹は半信半疑でおばあさまの様子を伺っていた。
「どうせ行くなら、絶対に普段、行けないところがいいわ。
どこがいいかしら。そうだわ、もう会うことがないと言った
旧友に会いに行こうかしら」
マツはマリの指示がないと瞬間移動できないのにまるで、
自分の行きたいところに行かせてもらえると浮かれまくっていた。
「イギリスに行きましょう。イギリスは今、週末だからたぶん大丈夫ね」
「おばあさま、イギリスって、あのイギリスですか」
「そうよ。あなた達を特別に私と姐さんの旧友に会わせてあげるわ」
「マリさん、イギリスのウィンザー城までお願いできるかしら。
あっとその前に一応連絡した方がいいわね」
待合ソファの横にある電話を取って
「黒川さん私の部屋にある特殊電話持ってきていただけるかしら」
しばらくして黒川が大きめな、いかにも特殊な携帯電話を持ってきた。
マツはメガネをかけて、ボタンを押して、電話した。




