18話 高校入学
18.高校入学
春が訪れ、桜が満開になり、桜の花びらが二人を迎い入れるかのように
マリとユウキは私立美波高校に入学した。
私立美波高校、ここは、日本でも有数の進学校であり、色々なスポーツでも特待生を取り、全国大会にも出場している強豪でもある、また、少子化の関係で、普通科クラスも存在する、
小・中・高校・大学まであり、敷地の大きさは東京ドーム約15個分ほどある、グランドや体育館・武道館・競技用プール(屋内・室内)や音楽・演劇ホールまであり、食堂やレストラン・コンビニまで併設されている。
この学校は共学で、創設者である松田マツ理事長が勉強でも運動でもすべて、試験後に順位を付けられ、学生同士が良い意味で競争し、お互いを高めあうことをモットーをしている。
「マリ~、早く行かないと遅れるわよ。」
マリは新しく着た制服を自分の部屋の鏡でじろじろと見て、高校生になった自分に見とれていた。
「新しい制服はいいな~、私も高校生かあ」
「今日はお父さんと私と二人で入学式に行くからね」
マリはあわてて、玄関に向かって来て
「わかった~、お母さんも遅れないでね、じゃあ行ってきます。」
そういって、家を出た瞬間に、毎度おなじみ、ユウキが待っていた。
「マリちゃん、おはよう」
「おはよう、ユウキくん」
「今日から、高校生だね」
マリはめちゃくちゃ、浮かれていた。
「そうだね、また、高校でもよろしくね」
ユウキは思い描いた通りの学校にマリが入ってくれたことがうれしかった。
学校までは、歩いて10分のところのバス停からバスで30分ぐらいだ。二人は緑道を抜けてバス停に向かった。マリが横目でチラッと見ながら、
「今日は松田さんみたいだね」
「そうだね、毎日、毎日ごくろうなことだね」
マリの護衛についてくれている、松田に向かって小さくつぶやいた。
「ぷるる・・・」
電話がなった。
「松田さん、どう?」
如月から電話が入った。
「どうって、まあ今日から学校だから、学校にいる時間はゆっくり外で待機だから、楽でいいけど、でも、仕事とはいえ、こんなことをするために警察に入ったわけじゃあないんだけどね」
「そんなにふてくされないでよ。自分も同じ気持ちなんだから、そいえばさ、飛島ヤエさんの話だけど、この間、渡辺さんに聞いたんだけど、あの人、やっぱり、かなりすごい人みたい、かつて、日本がアメリカの52州目になるのも阻止したらしいよ。つまり、日本が存続できたのも、こうやって、日本警察があるのもすべて、あの人のおかげといううわけ、
その人の指示で僕たちも警護してると思えば、少しは仕事に集中できるんじゃない」
「でもね~、高校1年生の女の子を警護するっていうのはどうなのかな。マリさんはたまたま
おばあ様がすごい人というだけで、これっと言って普通の子だけどね」
「その普通の子に我々はこの間、ぶっとばされちゃったけどね」
警視庁に入り、やりがいのある仕事をすることが夢だった松田葉子は
毎日の警護に嫌気がさしてきていた。
「理事長、着きましたよ。こんなに体調が悪くて、本当に今日は大丈夫なんですか?」
「体の動く限り、頑張ることが私の使命、でも今年が最後の年になるわね。相沢さんも永いこと運転をしてくれてありがとう。入学式の挨拶が終わったら、また、ここに来ますから、しばらく待っていてください」
「理事長、なんでも言ってください。私は大変、永いことお世話になってきましたから」
運転手の相沢は悲しそうな目でマツを見つめた。
「さあ、あとひと踏ん張り、ここで頑張らなかったら、ヤエさんやユウキさんに笑われるわ」
マツがそう言って車から降りようとした時に
「マリちゃん、また、校舎の前に黒塗りの車が止まっているね」
「あ、本当、、また、渡辺さんや大臣が乗ってたりして」
二人は笑いながら車に乗っている人を確認するため、ヒョイと車のフロントガラスから覗き込んだ。
後部座席にお年を召した高齢の女性が座っていた。二人はその女性と目を合わせた。
でも、知らない人だと思い、素通りして、校舎に向かって歩いて行った。
マツは若かりし時のヤエとユウキが目の前に現れたことに驚いたが、笑いながら
「ふ~、私もとうとう、幻を見るほど、病状が悪化してきたわ。
まるで二人が、あの世から迎えに来たみたい。」
そして、マツは車から降りて、校舎に向かって歩き出した。
校舎前にはクラス分けの表が掲示してあった。1年生は全部で8クラス普通科クラスと進学クラスが四つずつに分かれている。マリはギリギリ進学クラスに入ることができ、ユウキともまた、同じクラスになることができた。
「相変わらず、ユウキくんはすごいね。今回の試験でトップを取っちゃんだから」
「まあ、マリちゃんの相棒としては当然ですよ」
「でも、内進の生徒にも負けないなんて、やっぱりすごいよ」
この学校では内進(小学校からこの学校にいた生徒)と外進(外部から受験で入ってきた生徒)に
呼び名が分かれている。
そんなことをしゃべっている二人のそばで心中、穏やかではない女生徒、松田祥子がそこにいた。
理事長松田マツの孫であり、今まで、学校で学業ではトップを取り続けていた生徒である。
「橘ユウキ?だれこの人。こんな点数を取るなんてありえないんだけど」
体を震わせている祥子に学友達は
「祥子さん、たまにはこんなこともあるよ。それでも 2番 なんだから、すごいよ」
祥子は2番と言われたことがたまらなく悲しくて
「慰めなんかいらない。次は絶対に負けないわ。橘ユウキとはクラスも同じだから、
本当に会うのが楽しみだわ」
半分、壊れた機械のように、言葉に悔しさがにじみ出ていた。




