14話 初詣と進路
14.初詣と進路
今年も終わり、1月1日の朝になった。自宅外はうっすらと雪が積もり、
新しい年を新しい気持ちで迎えられるような雰囲気に包まれていた。
昨年はマリに取って不思議な出来事が多く、毎日がとてもいい意味で刺激的な毎日だった。
そんな中、昨年、ユウキにご飯を作った時から、マリは母親の料理の手伝いを
率先してするようになっていた。
「マリ、そこのお豆腐を3丁細かく切ってくれる」
「3兆ってなに?」
「なに言ってるのそこの豆腐よ。マリは数もわからないの?豆腐は1個で1丁と数えるのよ」
「1兆ってすごい大きい数字だよね」
母親のエリは笑った顔をして、
「もうすぐ高校生でしょ。丁は町の1丁目と同じ丁よ、何おかしなことを言っているの」
マリはやっと理解して、言われた通り豆腐を細かく切り始めた。
「早く、朝ご飯を食べないと、遅れるわよ」
今日は初詣にユウキやクラスの子、数人で行くことになっている。
みんな、受験で忙しいが、受験生にとっては合格祈願の予定は絶対に外せないところだ。
朝ご飯を済ませ、10時に待ち合わせしている町はずれの浅間神社に行くために自宅の扉を開けた。
家の前にはユウキが笑って立っていた。
「おはようマリちゃん、新年おめでとう。」
「おめでとう。今年もよろしくお願いします。ユウキくん神社で待ち合わせだったよね。」
「そうだね。でも一緒にいこうよ。それと、マリちゃん、お誕生日おめでとう!」
ユウキはポケットからラッピングされた小さい箱を出して、マリに渡した。
「ありがとう。よく私が今日、誕生日だなんてわかったね」
「そりゃあ、もちろん、マリちゃんのことは何でも知ってますよ」
ユウキは嬉しそうに答えた。
「マリちゃん、歩くと少し距離あるから、下の道から、バスで行こう」
マリはうなずいてバス停に向かった。緑道から下の道へ出る途中、茂みの奥から、
数名の人間がマリを監視していた。
「対象者、自宅アウト、これから、浅間神社に向かうもよう」
不思議な人達がマリを今朝から監視していたようだ。
「マリちゃん、どうやら、監視されてるよ。僕たち」
ユウキは歩きながらマリにそう話した。
「監視?私達を?」
マリは周りを見渡したが、誰もいないし、人一倍、感が働くのだが、気配も感じられない。
「ユウキくん勘違いじゃないの?私たちを監視してもしょうがないでしょ」
「マリちゃん、僕は科学技術や直接的に人知を超えたものは教えたり、
渡したりはできないんだけど、セキュリティ能力だけは存分に使っていいことに
なっているから、間違いないよ、それにマリちゃん、あまりキョロキョロ、周りを見ない方がいいね。」
マリはユウキがこれだけ言っているから間違いないと思った。
「ユウキくん、どうする」
ユウキはしばらく考えた。ユウキのセンサーにはその男たちは拳銃や危険物は
持ってないことがわかった。
「マリちゃん、この先に何か罠や危険があるかもしれない、1名女性、19時方向距離20m、
1名男性、2時方向距離30m、二手に分かれて一気に捕まえよう。
マリちゃんは女性の方をお願い、10秒後に一気にいくよ」
「わかったわ、やってみる」
マリは静かな呼吸を行い、体に気をためこんだ、そして顔つきも別人のように緩い顔から
こわばった顔に変わり、気配を消し、一瞬のうちに、ユウキと1直線に対象物に
向かい走り出した。
監視者はびっくりして、逃げようとした瞬間、マリやユウキにはじき飛ばされて
気を失ってしまった。
「ふ~、とりあえず、この木につなぎ止めよう。」
ユウキは二人の監視者を目に見えないロープのようなもので、木にくくりつけた。
ユウキは二人のポケットの中を探り、身分証のような物が出てきた、
よく見るとそれは警察手帳で二人とも警察官だった。
「マリちゃん、、ちょっとやりすぎちゃったかな。警察官だよ、この二人、えっと、警部補
如月 太一さんと同じく警部補の松田 葉子さんだね」
ユウキはやりすぎちゃったといった顔で笑っていた。
「ユウキくん、危険だから、捕まえようって言ったよね、
しかもセキュリティ能力がすごいんだとか言ってたよね、
これ、もしかすると公務執行妨害で私たちが逆に捕まっちゃううじゃないの」
ユウキは困ったな~といった顔で
「とりあえず、二人が目覚める前にとんずらしようか」
「とんずら?」
「そうそう、だいたい、大の大人、ましてや警察官が中学3年生に逆に捕まっちゃうなんて
カッコ悪くて、報告もできないだろうから」
そう言ってユウキは透明のロープのようなものをほどいて、マリの手を引っ張って
その場をはなれた。
マリはユウキの顔を見て、この人、本当に大丈夫なのかしらと思った。
それから、バスに乗り、予定通り、神社に着き、クラスメイトのあゆみやサチコ、
それと、誘ってもいないスミコが笑顔で手を振っていた。
「みんな、おはよう、今年もよろしくね」
マリは自発的にみんなとあいさつをした。あれから、マリはとても明るくなり、
ユウキはとても嬉しかったが、スミコがマリの腕をつかんで、ベタベタしているのは、
とても不快だった。
そんな中、ユウキはまた、監視されているのに気が付いた、
「対象者、要危険、信じられない体術を使う、接近しすぎるな」
ユウキには、そんな無線通信が耳に入った。
「マリちゃん、監視されてるよ、僕たち」
マリはまたかと思い
「ユウキくん、ここは神社でこんなに混んでいるんだから、警察官で監視している人なんか
いっぱいいるじゃない。もうやめて、その話題」
マリはもういい加減にしてといった具合であきれてユウキの話を聞かなかった。
ユウキはなぜ警察官が監視するんだ?僕ではなく、間違いなくマリちゃんを監視している、
とにかく、注意して、行動しようと思った。
神社ではみんなでお決まりの絵馬に行きたい学校名を書いていた。
ユウキはマリやクラスメイト達が揃って公立須地伊留高校に受かりますようにと
記載しているのを見てマリに
「マリちゃん、私立美波高校でしょ。希望校は」
「ユウキくん、私、あんな進学校に行きたくないから、みんなと一緒の高校でいいの」
相変わらず、マリは言うことを聞いてくれない、
マリが世界を救うために前向き立ち上がってくれなければ、
すべてが消えて無くなってしまうのに・・・・




