第125話 犯罪組織の捜索
「さ~て、誘拐犯の本拠地に向かいますか!」
ドニーズ中尉は、犯罪組織の撲滅を実行する使命感に燃えていた。
「うわあ、とうとう、あのフランス治安情報局の仕事が始まりますね。僕も足手まといにならないように頑張ります」
ダイスケも同調するように声を出した。
「はあ~、また、この展開かあ、クラークの教育だけが目的だったのに、なんでいつもこうなるのかな」
マリはプク~とかわいいほっぺを膨らませた。
「ハハハ、しょうがないよ。マリ、だって、こんな悪い誘拐犯が目の前にいるのに、野放しにして、責任感が強いマリはフランスに帰れないでしょ」
また、マリは膨れた顔をして
「そうだけどさ・・・」
「マリ、そんな顔をするな、もし、嫌なら、ドニーズと大介、ユウキに任せて、私と一緒にフランスに帰るか?」
「そんなわけにはいかないでしょ、イブ、もう、みんなにケガをさせたくないもの」
「ふ~ん、じゃあ、一緒に行くしかないだろ」
「うん」
「局長、このクラークはどうしますか。見たところ、このガリベンくんではとても、我々と共に行動できるように思えないのですが」
「レナードとの約束だから、連れて行くわ。それに、何かしら、役に立つこともあるでしょ」
「そうですか。わかりました。ダイスケ、お前も初めての任務同行だから、クラークの面倒を見てやってくれ」
「え~、マリさんと一緒に行動できないんですか?」
「大介さん、これから行くところはかなり、危険なところだと思われるから、クラークと今回はバックに回ってくれる。お願い」
マリは、大介に近づいて、とてもかわいらしい顔で大介を見た。大介は顔を赤くして
「マリさんの命令なら、従います」
「ギャハハハ、ダイスケ、お前はマリにメロメロだな~」
「そんなことはありません。指揮官に従うのは部下として当たり前のことです」
「そうか、そうか、そういうことにしてやろう」
イブは楽しそうにダイスケを見ていた。
「マリ、このまま、こいつらの施設に突入するのもいいけど、ひとつ間違えれば、我々は不法侵入者として、逆に犯罪者になってしまうことも考えられる」
「じゃあ、どうするの?ユウキ」
「う~ん、ここはアメリカ政府の組織、そうだな、国内だから、FBIあたりに同行してもらうのがいいと思う」
「FBIかあ。だれかにまた、紹介してもらうしかないかな」
「そうだね。でも、政府との取決めでは、我々は来月から協力する約束だし、あまり、
公にしたくないしね」
「お~い、クラーク」
「なんですかユウキ」
「お前、レナードに連絡して、しばらく、我々、治安情報局で教育を受けるようになった件と、ここボストンでFBI、そうだな、誘拐や行方不明者の探索を担当しているような人を紹介してくれるように頼んでくれないか」
「はい、わかりました。聞いてみます」
「プルル・・・・・あ、おじいちゃん」
「おう、クラークかあ、なんだ~すごいご機嫌な声を出して」
「おじいちゃん、ありがとう」
「なんだ、急にあらたまって」
「僕さあ~、本当に毎日毎日、つまらなくて、どうしようもない状態だったんだけど、おじいちゃんが頼んでくれた、この治安情報局の人達は、本当にすごい人ばかりなんだね」
「ハハハ、当たり前だろ、その中には昔の戦友もいるんだ。世界で、最も私が信用している人達だと言っても過言ではない」
「昔の戦友?」
「まあ、そのうち知ることになるだろうから、そのことはあまり気にするな」
「わかった。それでね、さっき、僕が誘拐されそうになったところをマリが助けてくれて、
成り行きでその誘拐する組織を調べることになって、おじいちゃんの知り合いでこのボストン付近でFBIで誘拐や行方不明者の探索を担当しているような人を紹介してもらえないかな?」
「フフフ、調べるね~、たぶん、その組織ごと壊滅させるの間違いじゃないか?
あの人達が行けば、そうなるだろ」
「そんなすぐには無理だと思うけど」
「わかった、恐らく、秘密裏に行動したいはずだから、正規ルートを使わず、非公式で大至急手配する。こちらから、後で連絡を入れさせる」
「ありがとう、おじいちゃん」
「いいんだよ。とにかく、あの人達に思い切り、色々なことを教えてもらえ。おっと、マリに変わってもらえるか」
「うん」
「マリ、今回、クラークの件、ありがとうございます」
「いえ、別にかまいませんよ」
「約束通り、あなた達には、これから全面的に協力させていただきます。FBIの件はすぐに手配しますから、少々お待ちください。それと例の秘密組織の件は、今回の任務が終わってから、お話させていただきますから」
「はい、よろしくお願いします」
レナードとの連絡が切れた。その時、マリは直感でこれから、レナードに嫌なことが起きそうな気持になり、また、再度、連絡をした。
「プルル・・・レナード」
「あれ、どうしましたマリ」
「レナード、この電話は安全な回線かしら?」
「いやあ、これは普通の電話ですけど」
「わかったわ。一度、切るわ」
「イブ!」
「どうしたマリ、めずらしく大声を出して」
「何か、嫌な予感がするの」
「嫌な予感?我々にか?」
「違うわ、レナードよ」
「レナード?」
「イブ、緊急よ。電話でなく、あなたの力ですぐにテレパスで私とレナードの意識をつなげてちょうだい」
真剣な顔をしたマリに本来、マリの従者であるイブも真剣な顔になり、
片膝を地面につけて両腕を開いて
「承知しました。マスター、すぐに意識を同調させます」
そういうと、イブの手が赤く光り、小さい赤い球体がものすごい勢いでレナードがいるテキサスに向けて飛んで行った。大介やクラークは驚いた様子で見つめていた。
そのころ、テキサスにいるレナードは
『なんだ?マリは急に電話してきて、いきなり切るんだから、わけわからないな』
レナードはいつも読書をする時に座る、大きなリクライニングシートに座り、軽く目を閉じた。
その時だった。頭の中にマリの声が飛んできた。
「レナード。聞こえる?」
「マリですか?どうなっているんですか、これは、頭の中にマリの声が響ています」
「イブの特殊能力で直接あなたと意識を同調させています。これなら、誰にも聞かれませんから」
「そうですか。驚きました。さっきは彼女に失礼なことを言ってしまいましたが、
本当に宇宙人だったのですね。それで、何か、ありましたか?」
「さっき、会った時に話せば良かったのだけど、あのお手伝い兼SPは、あなたの護衛もそうだけど、目付役でもあるようで、さっき自宅で話していた時も、なにやら、我々の話を盗み聞きしてたみたい」
「ジャネットが?まさか、彼女は本当に優しい子で、いつも私を助けてくれますよ」
「レナード、彼女はあなたに信頼されるために、いつも演技をしているわ。主な任務は恐らく、あなたが政府の秘密を誰かに話さないか、いつも監視することだわ。それで、さっき、急に
嫌な予感がしたの、今すぐに、ジャネットに内緒でそこから離れてほしいの」
「離れる?どうしてですか」
「ジャネットはあなたが私達に秘匿情報を漏洩すると気づいたみたい。だから、レナード、
あなたに危険が迫っているわ。本当は我々がすぐに戻って助けて上げたいけど、今日はユウキが瞬間移動を2回使ってしまい、そちらにすぐには行けないから」
「長官の孫のあなたが言うのであれば、間違いありませんね。わかりました。
彼女に気づかれないように家を出ます」
「一人で大丈夫?レナード」
「大丈夫ですよ。それより、マリは今どこにいますか?」
「え、私?ハーバード大学の西側の入り口付近にいるけど」
「フフフ、そうですか、わかりました」
レナードは笑いながらマリとの通信を切った。




