第124話 未知の世界
「あ~あ、またやっちゃたね、マリ」
「しょうがないじゃない。クラークを無理やり誘拐しようとしたんだから」
「ハハハ、私は好きだぞ、マリのそういうところ」
近くで見ていた大介は震えるように
「み・見えなかった。全く、マリさんの動きが、いったいどんな鍛錬をつめば、こんなことができるんですか?」
「大介さん、わたし、かなり手を抜いて倒しましたけど、それが見えないなんて、大介さんも
まだまだですね」
マリは笑った。
「本気じゃないんですか?」
「本気でやったら、骨が砕けて、3人とも死んでしまうもの。これぐらいのことで、殺す必要はないでしょ」
「たしかにそうですが・・・」
「ダイスケ、いちいち、この3人がやることに驚いていたら、頭がおかしくなっちゃうよ。
私は、もう、だいぶ慣れてきたからね。とにかく、この3人にかなうやつなんてこの地球にはいないからね」
ドニーズ中尉は、慣れた口ぶりでダイスケに説明をした。
「局長、このオリビアとか言うやつどうします?」
「そうね、クラークを説得したら、とりあえず、オリビアから、その施設とやらを聞き出し、
無理やり誘拐された人達を救出に行きましょう。とりあえず、私達の力を見られると
やっかいだから、あの車に眠らせて入れときましょう」
「イブ、お願い、しばらく、この4人を起きれないようにして」
「わかった。とりあえず1時間ぐらいでいいか、マリ」
「え~お願い」
イブはオリビアの頭に手をかざして眠らせ、同じく気を失っているボディーガードにも
同じことをした。大介とドニーズ中尉は眠っている4人を車に乗せて、車のキーを抜いて、
外から鍵をかけた。
「さ~て、邪魔者はいなくなったな。クラークとやら、お前は世界で自分が一番頭が良いと
思っているそうだな、ならば、わたしと知恵くらべでもするか?」
「知恵くらべ?」
「そうだ、どんなジャンルでも構わないぞ、私はすべてにおいて、貴様より優れているからな」
「ふ~、あまり、僕をなめていると痛い目をみますよ。僕だって、どんなジャンルでも
かまいませんよ」
「そうか、ならば、言語はどうだ」
「ハハハ、僕は8か国は話せますよ。勝負にならないと思いますよ」
「8か国、少ないな。私は現、地球上のあらゆる言語を話せるし、この10万年、人間が話した死滅した言語も含め完璧にマスターしているぞ」
「まさか!じゃあ、いきますよ。僕に勝てなくても、へこまなくて大丈夫ですよ。なにしろ僕より、すごい人なんか、そうはいませんから」
そう言うとクラークは自分が話せる8か国の言語を次から次へと自信満々のイブに話したが、
イブはスラスラと話して答えた。逆にイブがその8か国以外の言語を話しはじめたが、
クラークは全く、ついてこれなかった。イブは10の他の言語を話し終えたところで
「なんだ、お前、死滅した言語も入れれば、まだ100以上の言語があるのだぞ。
お前は、ぜんぜんたいしたことないな、そんなんで、頭がいいと思っているのか。
やはり、バカだな。お前は」
それを見ていたユウキが
「もう、その辺にしとけよ。イブ、我々からみれば、クラークはものすごく頭が悪いんだから、
そんな奴にまともに知恵くらべなんかするなよ」
「フ、たしかにな、お前の言う通りだ、バカ相手に向きになりすぎたな。
そうだ、お前とは知恵くらべをしたことなかったなユウキ」
「は?知恵くらべ、するわけないだろ、そんなこと、だいたい、イブとそんなことしたら、
数年は決着がつかないぞ、最終的には、科学技術の供与にもつながる話になってしまう。
我が種族ではそのようなことはできない」
「ふん、つまらない奴だ。そんなに私に負けるのがいやなのか」
「勝ち負けの問題じゃない、クラークのようなレベルの低いやつなら、すぐに終わるからいいが、
今はそんなことしている時でもないだろ」
「ふ~、二人とも、もうその辺にして、だいたい、あなた達にかなうわけないでしょ。
勝って当たり前の勝負なんだから、もう、これ以上、クラークをいじめないで」
クラークは頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けて、しばらく、マリ達を見て、
ぼーっと見てしまった。
「いったい、あなた達は何者なんですか?」
「私達は、世界を平和にするための仲間よ。ドニーズ中尉、誓約書の説明をお願い」
「了解」
「クラークこれは、我々に関する誓約書だ。守秘義務が発生する内容だ。
よく読んで、問題がなければ、ここにサインをしてくれ」
クラークはすごいスピードで書面を読んで、すぐにサインをした。
「よし、これで、クラークも仲間だ。これからよろしくな」
クラークは長い間、虚しい日々を送り、元気がなく憂鬱であったが、未知の世界に足を踏み入れることができる喜びで、大声で叫びだしたい気分になった。




