表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和への使者  作者: DAISAKU
107/316

第108話 エリートの苦悩

ドイツベルリン、ここはかつて東ドイツの首都であり、西ドイツの首都だったボンから

ドイツ統一後首都機能を移転して20年近くが経つ、だが、旧東ドイツは未だに格差があり、

貧困層といわれる人達が多く住んでいる。


あの、エリゼ宮殿の会食から、10日ほど過ぎて、

マリ達、治安情報局はフランス政府の指示で、まずドイツベルリンでの任務を指示され、

ベルリン市ミッテ区にある外務省に行くことになった。


とりあえず、初日のあいさつということでマリ・ユウキ・イブ・カミーユ大尉の4人で

向かうことにした。マリは最初はドイツに行くことを嫌がっていたが、ドイツのことを

調べているうちに、だんだん興味が湧いてきていた。食堂で朝食をすませて、マリが


「今日の10時だったよね、待ち合わせ、フランスとドイツって時差あるんだっけ?」


「時差はないよ。この時間だと人通りも多いから、少し離れた人目のない場所に行くよ」


「ねえ、まだ、8時30分だけど、用意もできたし、少し早めに行って、ベルリンの街を

見てみたいんだけど」


「そうだね、最近は学校の宿題でず~と、この建物にいて、外に出ていないからね」


「全く、マリは宿題やるの遅いから、私も、遊びにも行けなかったからね」


「別にイブは自由にしていいのよ。勉強はユウキが教えてくれるし」


「そうはいかない、主人であるマリががんばっているのに自分だけが遊びに行くことなど

できるわけがない」


マリは、いつもそばにいてくれるだけで、何もしないイブだが、妙に律儀なところがあると思った。

マリは腕時計を見ながら、カミーユ大尉に


「大尉、少し早いんだけど、そろそろ、行こうと思うけど、いいですか」


「はい、かまいませんよ。私も学生の時にドイツ旅行に行きましたが、あれから、

一度もドイツに行っていないので、早く行くことには大賛成です」


「それじゃあ、行こう、ユウキお願い」


「了解、ドイツ連邦共和国に向かう」


「それじゃあ、行ってきます」


4人の体が赤く光り、マリ達はドイツに瞬間移動した。


「着いたよ、ここはティアガルテン公園だよ」


「うわ~すごい、歩道に大きな木がおおいかぶさるようになっていて、すごい気持ちがいいね」


「ここは、周辺に観光スポットが多いからね、この公園を歩いて抜ければ、

結構いろいろと見れて楽しいと思うよ」


カミーユ大尉もニコニコして、


「マリ、たしか、この先を抜けると、ブランデンブルク門がありますよ。

外務省もその先なので、あちらの方へ歩いていきませんか」


「へえ~、詳しんですね。大尉」


「これでも、一応、言語学者でもあり、諸外国には詳しいんですよ」


隣でイブが笑いながら


「カミーユ、お前でも少しは、役に立つことがあるんだな」


「また、イブさんはそういことは言わないでください、もし、よければ、待ち合わせ時間までは、

わたしが案内をしますよ。ユウキさん、いいですよね」


「ぼくは、かまわないよ」


「それじゃあ、大尉についていくわ」


「任せてください。ここは210ヘクタールもある公園で世界でもこんな街の中心部に

この広さの公園はなかなかありません。今日はそんなに時間がないので、

外務省の方へ向かっていきますが、ここにはベルリン動物園もはあるんですよ」


歩きながら、カミーユは自慢げに説明した。


「うわあ、あそこには池というか、湖もあるんだね」


マリ達が観光気分で散策している時、少し離れた湖のほとりに疲れ切った一人の男が立っていた。


「あれ?あそこに顔色の悪い人がいるね」


「なんだ~あいつは、湖の水をじ~と見て、気持ち悪いな」


マリは心配そうに、30歳ぐらいのスーツ姿の男に話しかけた。

今回も特例でクリスタルの力を借りて、ドイツ語は話せるようにしていた。


「グーデン モルゲン、大丈夫ですか?」


湖を見て、ピクリとも動かない男にマリは話しかけた。その男はマリの声など、

気にもならないようで、そこに立ち尽くしていた。それを見てイブが


「マリ、そういう奴はほっといた方がいい、かかわらないで先を急ごう」


ユウキも同調するように


「マリ、いつも、そうやって、困った人に関わる気持ちは大事だけど、毎回、毎回、

関わっていたら、身が持たないよ」


「まだ、時間なら、あるじゃない、ねえ、大尉」


「まあ、少しぐらいなら、ありますけど」


マリは声をかけたのに無視をされたので、今度は思いっきり大声を出した。


「大丈夫ですか!」


その男はめんどくさそうにマリを見た。


「なんだ、子供か」


そういっただけで、また無視をした。


マリはそれでも負けずに大声で


「あなた、死ぬことを考えていますね。私はあなたを死なせませんよ」


その男はまた無視をした。


「大尉、この男を拘束して、このままじゃ、何をするかわからないから、

とりあえず、一緒に連れていきましょう」


カミーユ大尉は驚いた顔で


「拘束ですか。局長、許可もなしにそんなことしたら、大変ですよ」


「許可?この人はもう、ほとんど死んでいるわよ。大尉、これは命令よ。

どうせ、この人は抵抗すらできない弱くて、情けない人だから人権なんてないのと同じよ。

こんな年下の私に言い返す根性もないんだから」


「イエッサー、拘束します」


カミーユ大尉は携帯している手錠をその男にかけた。それでも、その男は顔色ひとつ変えなかった。


「それじゃあ、大尉、ベルリンの名所を引き続き案内して」


皆、マリの行動に驚いた様子で


「マリ、まさか、この人を手錠をしたまま連れ歩いて観光するの?」


マリは笑いながら、


「そうよ、30歳過ぎの大人が15歳の私に拘束されて、ベルリンの街を連れ歩く、

こんな情けない男は世界中でも、この人だけよ。できるだけ多くの人に見てもらいましょう」


イブは笑いながら


「ハハハ、マリ、いいぞ、いいぞ、やっと私の考えを学んでくれたんだね。

やはり、マリは気持ちのいい性格をしている」


ユウキが心配そうに


「マリ、イブと結構、一緒にいる時間が長くて、おかしくなっちゃたの?

いつものマリならそんなことしないでしょ」


「フフフ、そうね。でも、この人にはこれぐらいの刺激がないと、なにも感じないでしょ」


そう言って、30分ほど、ティアガルテン公園から、ブランデンブルク門に行き、

周辺を散策しながら、外務省のあるベルリン市ミッテ区の方へ歩き出した。


「あなた、こんなに人がいるところで手錠をされてヒモで私に連れまわされても

何も感じないんですね。もう少し、刺激のある所はないかな。

そうだ!この人スーツを着ているということは、どこかで働いているんだよね。

どうせ、聞いたって、何も言わないから、頭の中をのぞかせてもらって、

この人の職場にこのまま行ってみようか。イブ、この人の職場を探って」


「了解、フフフ、面白くなってきたな。こいつの職場でも、無表情でいられるかな、この男は」


そう言って、イブはこの男の頭に手を置いて、サーチした、イブの手が赤くなり


「おい、お前の職場はどこだ、どんな仕事をしているんだ」


イブはそう言って、その男に、頭の中でイメージさせて、情報を素早く引き出せるように声をかけた。

そして、すぐに場所がわかった。


「イブ、どう?場所わかった?」


「マリ、わかったよ」


「どこ?」


「ふ~、なんの偶然かわからないが、この男は外務省の人間だ」


「外務省!」


「これから、私達がいくところじゃない」


「でも、そんな人がどうして、こんな無気力状態なの?」


「まあ、簡単に言うと、こいつはミュンヘン大学を首席で卒業して上司より自分の方が頭もよく

、人望もあるのに、どんなに努力しても、責任ある仕事につかせてもらえず、

嫌気がさしていたところに、所属しているところで大変なミスがあり、

濡れ衣を着せられ、今朝、クビになったんだそうだ」


それを聞いたユウキが


「頭が良すぎる者は、大きな組織では、目立ちすぎると反感を買うし、

ましてや、お役所の年功序列みたいな物はどこにでも存在するから、

濡れ衣でもなんでも着せて、辞めさせたかったんだろうね。

何事も組織内ではバランスと調和、い・い・加減で仕事をしないとダメなんだよな~」


マリもため息をついて


「な~んだ、そんなことか・・・」


その男は、マリ達が、自分の素性に気づいたこともそうだが、マリの

『そんなことか』

という言葉に反応した。


「お前ら、訳のわからない術を使い、僕の素性を知って、よってたかって、

僕をバカにしやがって、ふざけるんじゃない」


「ハハハ、やっとしゃっべた」


マリは嬉しそうにその男に指を指して笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ