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詩集その1

光の季節/ある朝

作者: 浅黄 悠

「光の季節」 



それは初夏の雨

霧の地平線

芝生の緑が安らぐ

その声を聞かせて



それは初夏の雲

自転車で坂を下る

遠い国、

昼下がりの幻影を駆け抜けていく



この季節

明日や昨日に惑わされることもなく

今を謳歌するこの季節

見上げれば無限の光

君のくれたようなやさしい光

私の心にありあまるほどの





素直になりたい季節


素直にはなりたくないこの季節




__________


「ある朝」



ある朝

水槽の中で金魚が死んでいた

白いお腹を上にぷかぷか浮いていた

初めてなくした小さな命をそっと庭に埋めて

たんぽぽの花を供えた

水に返してあげたほうがいいのかなと考えながら



ある昼

道脇で小さな黒猫が死んでいた

昨日撫でられていた猫は

皆に見て見ぬふりをされた

黒いふわふわの毛が別れの挨拶をしていた

その日の暮れには消えていた



ある夜

ずっと使っていた腕時計が死んだ

針が52に引き留められたまま

先へ進もうともがいていた

永遠の夜を刻んでいた

そのままどこかになくしてしまった



あの金魚と猫と時計のことを

ふと思い出すとき

僕はたいてい

死んだ魚のような目をしている





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