第4話
読んでいただきありがとうございます。
主人公の名前を山田から日野に変えました。
今後ともよろしくお願いします。
どれくらいこうしていただろうか。
まどろみの中に居るような、不思議な感覚だ。
『おーーーい。そろそろ起きてくれんかの?』
『まぁまぁ、まだ魂の定着が終わってませんから。終わり次第ひとりでに目が覚めますよ。ほら、そう言ってる合間にお目覚めになられましたよ。』
一体絶対誰だ?人が気持ちよく寝ていた───!?って寝ていたってどういうことだ?俺は確か、高校生君の病室に入って様子をみようとしていたはずなのに…
『おーい。考え込まずにまずはこちらをみなされ。』
『ちょ!創ちゃん!神威込めてるから!彼逝っちゃうから!抑えて抑えて!』
ぐっ!?なんだ!?身体が勝手に!?
痛い!痛い痛い!身体がじゃなくもっと中にあるナニかが!
──ん?楽になった。さっきまでの感覚が嘘だったかのように。
『おー。すまんすまん。ついいつもの癖でやってもうた。すまんのう。脆弱なる者よ。』
脆弱なるもの?俺のことか?でも喋りたいのに口が動かない。
ただただ目の前に存在する2つの光に圧倒されて身体も動かない。
『あぁ、すみません。我々の力はあまりにも人の子には影響があり過ぎるのですね。説明が終わったらもう少し弱めましょうか。』
『ふんっ!儂のせいだけではないのに儂のせいにしおってからに!だが、無の言うことも一理あるからのう。』
なんだ?光から直接頭の中に声?音?が聞こえてくる。頭で理解する前に理解させられる感覚になる。
何を言おうとしているのか何故か分かる。
「そうか。俺は───死んだのか。」
自然と声が出てきたのと同時に胸の中にストンと落ちてくる。何か意識が薄れてきたな…このまま身を任せたくなる。
『ちょ!私達が話してる間に浄化されかかってますよ!固定しないと!ほら!創ちゃん!手を貸しなさい!』
『うむ、このままじゃと本当に逝ってしまうのう。よし、あい分かった。ここを……こうして…こうじゃ!ほれ!これで大丈夫じゃろう。』
『えぇ。これで何とか大丈夫でしょう。ですが!神威を込めすぎです!これだとそのうち神格化しちゃいますよ!』
『よいではないか。元々神気には適正があったからのう。それに儂らの神威を直に浴びたのじゃこうなるのも致し方あるまいて。それに久々に1柱増えるのじゃ、良いことであろうよ。』
なんか、勝手に話が進んでいるのだが。説明は?神威?神気?神格化?どういうことだ?
『あ、すみませんでした。長らくお待たせしてしまいました。私、創造神の1柱を名乗らせて頂いております。無の神、ノートリアムスです。』
『儂は創造神の1柱を名乗らせて貰っとる創の神、クリエイシャンじゃ。』
「これは、ご丁寧に。ありがとうございます。俺の名前は日野志紀と申します。それで、俺は死んだようですが、何故死んだんですか?それに何故ここに居るんですか?」
あれ?喋れてる。声が出るし。身体も動く。
『それについては今から説明しますから落ち着いてください。実はですね。まずあなたは死ぬ予定ではありませんでした。それに東佑之介さんもですね。本来はあのトラックの運転手である近藤晋也さんが朝起きる筈が無かったのです。』
そこから小1時間程説明を聞いた。
本来の予定だと、トラックの運ちゃんは早朝夜明けと共に息を引き取る予定だったが、彼の死を管轄する者のミスで間に合わず慌てて命を刈り取った。しかし運の悪い事に刈り取られたのが人の集まっているあの交差点だったという事だ。そこで高校生君にお詫びとして異世界に転生させる事にしたが魂のみで転生の間に喚んでいた事が幸いし、肉体が病院で生かされている状態だと転生出来ない!っとなったそうだ。
だから肉体と彼に関係する者の記憶も消してしまおうとした所、本来は肉体を消滅させるために病室には入れないようにしていたのに俺が入ってきてしまいそのまま俺も消してしまったと。
慌てて神の間に召喚する事で魂ごと消滅する難を逃れた結果この場にいるらしい。
「なんというか。不幸の連続でこうなったというかミスを帳消しにしようとした結果こうなったのね。でも、なんでその入れない筈の病室に入れたんでしょうか?」
『あぁ、それに関しては先ほど言ってたように神気に適正があった為、行使した力を抜けてしまったのですよ。ドアが重いと思いませんでしたか?』
あ、思い当たるわ…あれかぁーーー!
でも、それ俺には非は無いよな…。
『その通りですね。彼ら彼女達が気を張っていればこうはならなかったのですから。と言うわけで、貴方には今後どうするか選択肢があります。
1、このまま神格化するまで神の聖域で修行をする。
2、東さんのようにお詫びとして転生する。
3、神気を抜き取りこのまま成仏する。
さぁ、この中からお選び下さい。ちなみに2がオススメですよ。』
「少し、考えさせて下さい。」
『いいぞ。儂らも少し後始末の仕事をしてくるからの。その間に考えておいてくれ。』