第38話
さて、校舎裏までたどり着いた訳だが、少し顔色を悪くしているのが2人程居る。
こいつらは俺の制服に刺繍されている貴族位が分かったんだな。
まぁ、今更逃げようとは言えないから黙っているのか。
「さぁ、シュタインズ家の坊ちゃんよ?覚悟は出来たかい?」
「覚悟?ってなんだい?よく分からないな。」
そう言うと坊主頭の顔全体を真っ赤にしてわなわなと震え出す。
「あぁ?!舐めてんのかテメエ!察しろや!さっさとテメエみたいなガキは副会長から身を引け!テメエなんかに副会長なんて出来るわけがねえだろ!身の程を知れや!」
そこまで叫ぶと息を勢いよく吐き出し息を整えるのを呆れた目で見つめる。息が整ったのかニヤニヤとした顔で偉そうに話し出す。
「分かったか?もし分かんないのであれば身体で分かって貰わねえとな?」
「先程から聞いていれば、何を的外れなことを聞いてくるのですか?こう見えて公爵家に連なる者だというのは家名で呼び出した貴方達が分かっている筈ですが?父はこの国の宰相ですよ?その息子である私が何の教育も受けていないとでも?現に仕事の方は苦も無く行っています。貴方達が出来るのですか?」
そういうと先程から言葉を発しているリーダー格の男が拳を握りしめてジワジワと近づいてきて胸元を掴み上げてくる。
「ごちゃごちゃ煩いんだよ!俺らの言うことに黙って従え!ぶん殴るぞ!」
聞く耳も保たないな、しょうが無いぶら下がってて決まらないがここで引き上げるか。
「もう、我慢しなくて良いですよね?ここからは正当防衛ですよ、ね!」
「なっ!?!……ガッ!!!」
その言葉と共に身体を振り子のように揺らして男の後頭部に膝蹴りを食らわして気絶させる。
いきなりの抵抗に唖然とする残りの男達に一言聞く。
「さて、リーダー格はお休みになりましたが、どうしますか?そこの2人は事の重大さに気付いたようですから、お聞きになられては?」
そう言うと挙動不審の2人組を囲み騒ぎ出す残りのメンバーを見てそっと一言置き土産に退席する。
「次、このような事をしたら貴方達は退学処分だけではすみませんからね?お気を付けて下さい。」
その言葉に慌てて逃げ出す男達を見てため息を吐く。
「この伸びてる男も拾っていけよ……」
少し遅刻気味なので走らない程度の急ぎ足で生徒会室に向かう。
「すみません、遅れました。」
扉を開けながら中に入るとアイシャ様がこれでもかという笑顔で待ち伏せしていた。
「なんで面白いことをしていたのに呼んでくれませんの?私、少し残念に思っています。次同じ事があった場合はよろしくおねがいしますね?」
「は、はい………承りました。」
断れる雰囲気じゃない…ユーノス君もごめんってジェスチャーをしてくるだけで助ける気も無さそうだ。
「それでは!切り替えますよ!本日の仕事を割り振りますわよ?各自渡した資料通りよろしくおねがいしますね。」
きらきらとした笑顔で仕事の話を始めた為諌めることが出来なくなったのを理解し、肩を落とすとユーノス君が肩に手を乗せてきて首を振る。
はぁ…気が重くなるな。次は娯楽として扱われそうだ。




