第3話
病院に向かう途中高校生君の連絡先が分かったのか隊員さんが親御さんに連絡をしていた。
隊員さん曰く今夜が山かもしれないらしいが、詳しくは病院で検査しないと分からないらしい。
「ねぇねぇ、おじちゃん。こんやがやまってなぁに?」
「おじちゃんだなんてすみません!チカ!お兄さんでしょ!」
「あはは、良いんですよ。これくらいの子供からしたら自分達はみなおじさんですから。」
そうは言ったものの、なんと説明したものか。
子供にはこの話をするべきか迷うな。
変に話をしてチカちゃんに悪影響があったらお母さんに申し訳ないからな……
「山田さん、良いですよ。この件に関しては家に帰ってからこの子に私から話をしておきますので。気を遣わせてしまいすみません」
「本当ですか?それは助かりますけど。チカちゃん、それでいいかな?」
「うん!後でお母さんに聞く!!ありがとう!おじちゃん!」
俺は心情的には助かったが、高校生君は今夜が山なのか…俺って今どんな顔してんのかね。
巻き込まれた側だが目の前であのような事故を見たのに未だに現実味がないな。
病院に到着してから1時間ほどすると年配の夫婦らしき2人組が看護師さんに伴われて来た。
「すみません、うちの息子、佑之介がここに居ると伺ったのですが。っと、あぁすみません。私は東真之介と言います。こっちはうちの家内の亜紀です。」
あぁ、高校生君のご両親か。
「初めまして、日野と申します。息子さんはここの病室に居ますよ。」
チカちゃん親子を呼び、事情を説明した。
「そのような事があったのですね。不詳の息子がご迷惑をおかけしました。」
「いえいえ!息子さんには娘を助けて頂きましたから!ほら!チカ!お礼を言いなさい!」
「おじいちゃん!おばちゃん!ありがとうございました!チカね!チカね!───」
この場はこの人達に任せて高校生君の様子を見てくるか…
ん?病室のドアってこんなに重かったっけ。
まぁ、開いたから良いか。後で看護師さんに聞いてみるか。
───次の瞬間目の前が光に覆われた。