第2話
女の子の叫び声が聞こえる。
慌ててチカちゃんの所に駆けつけるとチカちゃんは高校生君に向かって叫ぶように謝っていた。
高校生君は頭、身体中から血が流れており見るからに手遅れである事が分かった。
「ごめ゛ん゛な゛さい゛ チ、チカのせいで...!」
そっと、チカちゃんの目を手で覆う。
大人でさえ気分的に来るものがあるんだ子供にこの光景は見せない方がよかったな。
ましてや、自分を助けた結果こうなってしまったのだから。俺だったらトラウマ物だ。
「お嬢ちゃんこのお兄ちゃんの身内かなんかでしょうか?関係者なら早く救急車に乗っていただけると助かるんですが。」
救急隊員に聞かれたが、この場合は関係者なのかな?
チカちゃんが落ち着くまで頭を撫でておく。お、すごく撫で心地が良いな、はまってしまいそうだ。
そういう事を考えながら、なんで俺こんなに落ち着いているんだ?普通こんな状況を目にするとこんなに冷静に見ることなんてできないと我ながら不思議に思っていると。
「あの、どうしますか?できれば決断を早くしていただけると...」
「あ、あぁ。すみません。実は、この子が轢かれそうになっているのをそこの高校生君が突き飛ばしてくれたおかげで助かったんですよ。この場合は関係者になるんですかね?」
それにこのまま連れて行ってしまっては親御さんが心配しそうだな。
落ち着いてきたようだし確認してみるか。
「チカちゃん?今日はお父さんか、お母さんと一緒にいなかったのかな?もし一緒に居たのならば心配してるだろうから話をしたいんだが?」
「んー。今日はねお母さんと一緒に居たんだよ!あれ?そういえばお母さんは?どこ?」
そんな事を話していると救急車の陰から女性が顔を出してきた。
「チカ!!そこにいたの!!もう!心配をかけて!!」
「あ、あのー?チカちゃんのお母さんですか?」
「え、えぇ。そうですけどそちらは?どちらさまでしょうか?」
事の次第を説明する。
それでこのまま救急車に乗っていくか、それともここで別れるかを尋ねてみた。
「そういう事だったんですか...この度は、ありがとうございました。この場合はこの子の為にも着いて行って彼のご両親にご挨拶をしないといけませんね。わかりました、一緒に伺いましょう。」
「それでは、このまま一緒に行きましょうか。隊員さん!すみませんお待たせしました。行きます。」
3人でそのまま乗り込み病院に向かった。
会社に連絡しておくか。なんて説明しようかな、有給貰えるかな...