サミシイ
サミシイ
サミシイ
「誰っ!?」
思わず美紀は声を出した。しかし何も返ってはこない。暗い自分の部屋があるだけだ。気味悪く思いながらも、美紀は眠りにつこうとした。
美紀がうとうとし始めた頃だった。
サミシイ
サミシイ
狂おしげな声が、美紀の部屋の中に響く。
「誰なの!?出てきなさい!」
生来の気の強さから、美紀は声を張り上げた。すると、今度は声が返ってきた。
サミシイ……
切なげな声。美紀は問いかけた。
「何がサミシイの?」
ひとりがサミシイ
「あなたは誰?」
サミシイ……。一緒ニイテ。
「誰なのかわからなければ、一緒にいることは出来ないわ」
一緒ニ……。
段々と大きくなってくる声。もはや普通の人ではない。美紀は声を振り絞って答えた。
「あなたとは一緒にいられないわ!」
サミシイ……!
次の瞬間、美紀の首にヒヤリとする紐のようなものが回された。
殺される……!
しかし、首に回されたヒヤリとするものは、首を絞める訳ではない。だが、気持ちの良いものでもない。美紀はそれを取り外しにかかった。が、首に巻き付いているものに触れない。そう思っているうちに、首に巻き付いているものは、どんどん冷えていく。
「ひっ、ひっ」
美紀はもう声も出せない。そして、意識を失った。
翌日、美紀は死体で発見された。死因は凍死だという。この夏にだ。しかし、検死の結果は変わらない。
そして、美紀が住んでいた部屋。そこは以前寒さから凍え死にした人が住んでいた部屋だった。