どこ?
ここはどこだろう?優子は考える。頭が痛い。そうだ。誰かに後ろから襲われて……。
真っ暗闇だと思っていたが、目が慣れてくると、うっすらと見えてきた。
鉄格子。
優子は巨大な鳥籠に入れられているようだ。そして、薄暗い部屋の隣の部屋から微かに漏れる灯り。そこから聞こえてくる音。
ビシャ、ズルズル、ピチャピチャ
優子の背中に悪寒が走る。逃げなくては!しかし、この鉄格子の檻はどうすれば出られるのか。
優子は入り口をひねってみた。
カシャン
開いた。簡単に開いたことに拍子抜けしながらも、優子は鉄格子から出てきた。微かな灯りを元に出口を探す。窓を見ると、鉄格子が嵌められている。結局、この部屋は先程の部屋へと繋がっているだけのようだ。
優子は恐る恐る扉に近づいた。僅かに開いている隙間から中を覗く。
黒い床にテーブルがあり、人が食事をしているようだ。黒?違う赤黒い。ピチャピチャと音をさせている人はこちらに背を向けている。この人が自分を殴って連れてきた犯人だろうか。
ひやり
「ひっ」
必死で悲鳴を飲み込む。優子の肩に何かが置かれた。優子が振り返ると、男が立っていた。
どこから!?部屋にはこの扉以外はなかったはずだ。男は優子の二の腕を掴むと、扉を大きく開けた。
「次だ」
男の短い声。テーブルに座っていた人が振り返る。テーブルの上には人の残骸とおぼしきものが……。優子は意識を失った。
次に目覚めた時には自分の腹から何かが飛び出していた。
ピチャピチャ
ああ、あの音だ。自分は今食べられている。