剥がす
ぬちぬちぬち
しゅるしゅるしゅる
なんだろう。何かを剥いているような音がする。
ぎーこぎーこぎーこ
何かを切ってる音がする。
ここはどこ?私は……。お腹が痛い!ああ、私は通り魔に襲われた。そのあとどうしたんだろう。記憶がない。お腹を刃物で斬られたのは覚えている。でも血は止まっているみたいだ。傷が浅かったのかもしれない。
とにかく病院と警察に行かなければ!でもここはどこ?まさか拉致された?病院のベッドのような台に寝かされている。
逃げなければ!私は本能的にそう思った。出口は……。扉がある。あそこから出られるか……。
私が扉をそっと押すと、意外にも簡単に開いた。しかし部屋から出たのはいいものの、廊下が長く、どちらへ行けばいいのかわからない。
ぎーこぎーこぎーこ
何かを切る音がする。危険だ。そっちへ行ってはいけない。
私はその音と反対側の廊下を歩き出した。
ぬちぬちぬち
何かを剥いている音がする。こちらも危険だ!どこへ行けば!?
私が廊下のどちらにも行けなくて震えていると、扉が開いた。
ギギギィ
そこから出てきたのは、ひ弱そうな男が一人。この男なら振り切って逃げられるかもしれない!私は男を突き飛ばした……つもりだった。しかし男はびくともせずに立っている。男が私の腕を掴んだ。
「離して!」
しかし男は自分が出てきた部屋へ私を引きずっていった。
そこで私の目に映ったのは、赤、赤、赤。
男はひ弱そうな外見とは裏腹に力が強かった。私を診察台のようなベッドに押し付けると、ベルトをはめた。私は身動きがとれなくなった。
一体何が始まるの?
「生きてるものは楽しいよ……」
男が呟いた。
男が手に持っていたのはメスのようなもの。殺される!私は暴れたが、ベルトでベッドに固定されているため、大した動きも出来なかった。
男が近づいてくる。
「や、やめて」
私の言葉は受け入れられることはなかった。男はメスを私の額に当てた。
「ひっ」
男の持つメスが私の額をなぞる。
「痛い!やめて!」
男は私の顔の輪郭をメスで切っていった。私は気が遠退いた。
ぬちぬちぬち
私の顔の皮が剥がされている。
さっき見た赤は血の色。
意識を失いたい。それか一気に殺して欲しい。私はそう思いながら、声も出ずに自分の顔の皮を剥がされるのを見ていた。
「大丈夫。あとで切り刻んであげるから」
男の声が部屋に響いた。




