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峠を越える時

 その峠は人々からこう呼ばれていた。


「呪いの峠」


 と。


 その峠を越えようとすると、声が何処からともなく聞こえてくるらしい。その声を聞いた者は狂い死ぬと言われている。どんな声なのか、それを聞いた者の末路などは詳しくは語られていない。ここ百年ほど、その峠を越えようとする者はいなかったからだ。


 ある時、若い旅の青年が峠の下の村へやって来た。その青年は旅をして、各地の話を書き留めている学者だった。峠の下の村に一泊し、峠を越えて隣村へ行くという。

 村人は青年を止めた。そして、「呪いの峠」の話をした。すると、青年は興味を示し、峠を越えるという。村人の必死の説得にも耳を貸さず、青年は峠へと向かった。


 坂道を登って行くと、だんだん木がなくなってきた。寂しげな風景。そして、登れば登るほど枯れ木になっていく。


 枯れ木の枝に一羽のからすがいる。まるで峠の番人のようだ。

 青年は烏を見たが、烏は鳴きもせず、青年を眺めている。さすがに不気味さを感じた青年は、早足で烏の前を通った。


 峠の頂点。


 カァーーーー


 烏の声が響く。


 青年が振り返った時、烏はいなかった。何故なら青年が烏になっていたのだから。



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