何処へ?
何処を走ってるんだろう?
いつから?
何処へ向かって?
ぬめりとした粘り気のある風が俺の頬を撫でる。その度に俺の額から頬を伝って汗が滴り落ちる。
何故俺は走ってるんだ?
俺の疑問に答えてくれるものはいない。
俺はただ走り続ける。人形のように。
ああ、思い出した。
ここは火の中。走り回っていなければ焼け焦げてしまう。それでも走り回れなくなったら、外のモノたちに食べられていく。そのモノたちの息づかいが聞こえる。その息づかいが俺の頬にかかる。ぬめりと。
人を殺した俺の行き先は決まっていた。ここより他に行くところはない。魂でさえ食べられてしまう場所。俺は永遠に消え失せる。
ああ、外のモノたちが近づいてきた。
ぬめり、ぬめりと息づかいが聞こえる。
走り回るのに疲れたら食べられてしまえばいい。きっと一瞬で終わる。
バキバキ、ぐしゃ、ミチミチ
「ぎゃあああああ!!助け……!ぎゃああ!」
……一瞬じゃないのか……?ああ、だから皆走り続けるのか……。俺は……?生きたいのか……?いや、俺は既に生きてるわけではないのでは……?
……そろそろ限界か?
ぬめり、ぬめり、ぬめり……