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棺桶

僕はアメリカに夏休みにホームステイした。とても温かな家庭で、僕と同じくらいの男の子がいた。

英語は苦手だったけど、なんとか意志疎通は出来るようになった。

そんなときだった。僕とホームステイ先の男の子ジョージは近所を散歩していた。すると、突然暴走車が歩道に乗り上げてきた。ジョージと僕は並んでいたが、はねられたのは僕だけだった。

僕は病院へ運ばれたのだろうか。それもわからないくらい、意識は朦朧としていた。


ざっ、ざっ、ざっ


砂をかく音がする。僕はその音で目が覚めた。でも起き上がろうにも起き上がれない。何か箱のようなものに入っているようだ。

英語で何かを言っている言葉が聞こえた。その言葉の後だった。僕の入っている箱に何かがかけられた。


ざっ、ざっ、ざっ


さっきの土!?まさか生き埋め!?


日本では火葬するが、アメリカでは違う。


僕は日本に帰れないの!?どうしてアメリカで生き埋めにされるの!?


相変わらず箱は開かない。段々と薄くなっていく空気。


ああ、僕は死ぬんだ……。


どれくらい経っただろう。僕は意識を失っていた。


ざくっ、ざくっ、ざくっ


土を掘り返す音がする。


ギギギギィ


箱が開いた。


「さあ、坊や。食事に行こうね」


にこやかに話しかけてくれた女性の唇は血が滴っているような艶かしさだった。


「食事って?」


僕が聞くと、女性は口を開いて笑った。


「食べにいくのさ。人間を」


ああ、僕は血に飢えている。


僕は女性に導かれるまま、ホームステイ先の家へとやって来た。そこには両親とホームステイ先の家族全員が揃っていた。


「勝手に埋葬なんてあんまりです。すぐるは日本に連れて帰りますから」


お母さん……僕はもう人間じゃないんだよ……。


もう夜も遅いからと、ジョージは自分の部屋へと引き上げた。僕は窓からジョージの部屋へ入って、待ち構えていた。


「ジョージ……待っていたよ」

「スグル!?」


卓は素早くジョージの喉元に噛みついた。そして柔らかな腕を頬張る。


美味しい。


卓はそれから夜になると徘徊するようになった。仲間たちと共に。




夜に出歩く時はご注意を。人喰いゾンビに出くわすかもしれません。


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