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見ている
見ている。誰かが僕を。大勢のクラスメイトがいる教室で。多くの人たちがいるスクランブル交差点で。
視線を感じる。僕の首筋辺りがチリチリとする。
怖い。
だけど振り返ることが出来ない。何か恐ろしいものを見てしまいそうで。
月日は経ち、小学生だった俺は大学生になっていた。相変わらず誰かの視線を感じる。首筋がチリチリとする。だが俺はもう小学生ではない。怪奇現象などそう簡単にあるものではない。俺が振り返ったって何もあるわけがない。そう思いつつも俺は振り返らなかった。
そして社会人一年目のこと。歓迎会が終わり、皆それぞれ帰っていく。俺はプラットホームに立ち、電車を待っていた。とそのとき、
「関君、忘れ物よ」
その言葉に俺は振り返った。すると目の前は暗闇。次の瞬間、俺は線路の上にいた。ちょうどホームに滑り込んでくる電車。その電車のライトが目のように俺を見ていた。