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ほいくしさんっ!!  作者: えだ
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初めての怪我

今日から保育士としての第一歩を踏み出す。

ひまわり保育園、さくら組4歳児担任。

90名定員のこの園は、この地域からすれば、多すぎもなく、少なすぎもなく、ちょうどいい定員数の園だ。


この保育園では、4.5歳児が同じ部屋で過ごすため、5歳児担任との協力が不可欠。

わからない所は聞けば教えてくれたし、任せられる所は任せてもらえたし、やりがいも感じ初めていた。


保育士として働きはじめて、月日はあっという間に過ぎていった。

けれど、相手は子ども…

毎日、同じ事の繰り返しのようであって、そうではない。

ひとつひとつのトラブルに、毎回同じ対応の仕方はない。


そして、夏のお泊まり保育が始まるのだった。

朝から大きな荷物を持って、子ども達が、意気揚々とやってくる。

嬉しそうな顔、初めて親から離れる為の不安げな顔、いつもと変わらない…なんて顔の子どももいる。

みんなでエプロンを着けて、クッキング保育でカレー作りをした後は、水着に着替えて近場の室内大型プールに出かけた。

プールまでは距離があるので、順番に園長がバスで送ってくれる。

無事、到着して脱衣場へ荷物を置いて、いざプールへ!!

その時、おきてしまったのだ…


気持ちが高ぶっていた事、地面が滑りやすくなっていた事、色々な条件が重なって、一人の男の子が滑って頭を打ってしまった。

ヤバイ!!出血が!!

私の周りには、子どもが5名…私、一人では無理…そう、判断して子ども達に、すぐに戻って来るからと、その場に座って待つように指示。

先にプールに入っていた先生を呼び、怪我児の対応をしてもらった。


怪我は病院に行く程の怪我ではなく、出血もすぐに止まり、子どもも元気に過ごしていた。

ただ、初めての怪我を目の前に、同じ回想がグルグル頭を巡っていく。

これでよかったのか…私の責任だ…怪我には気を付けてねと言われてたはずなのに…

だめだ…頭から離れない…


表面上は笑顔で過ごしていたが、頭の中は自己嫌悪でいっぱいだった。


次の日、保護者に謝ったのだが、私は何も言えなかった…

ただ、頭を下げるだけ…

自分が悪いのに、ただその場に立ちすくみ、先輩保育士が頭を下げるのを真似するだけ。

何しているんだ…自分。

情けない…

頭も体も、心も重かった…

保育士という仕事の重大さを目の当たりにして、どうしていいのかわからないまま、家へと帰った。


家に帰っても頭を巡っていく…

これじゃ駄目だと、ふらっと立ち寄った電気屋。

気づけば何万円もするCDコンポと、ラックを買ってしまっていた…

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