表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青磁色物語  作者: カンリ
1/5

プロローグ

──死なないで、お願い、死なないで。


 土煙舞う瓦礫の中。辺りには女性のものらしい高い声がこだましている。涙混じりの悲痛な叫び声。崩れた建物の影に隠れるように、一人の女が背を丸めて跪いていた。


──お願いよ。目を開けて……っ。


 透明を帯びた白色のベール。華奢な身体。どこかの王族らしい衣服に身を包んだ高貴な雰囲気の女性は、涙を流しながら必死に誰かを抱きかかえていた。少しだけ見えるその人物の脚は逞しい。おそらく男性だろう。

 少女は女性の背後から、その光景をボンヤリと見ていた。


 ふと、視点が変わる。少女は俯く女性の横顔を見ていた。

 緩くカールしている金色の髪の毛、涙に縁取られた翡翠色の瞳。悲痛そうに歪んだ表情を見て、少女はこみ上げてくる何かを感じた。喉の奥が苦しい。視界が滲んでくる。


──お願い、私を置いて行かないで……っ!


 ぎゅっと固く閉じられた目から、一滴の涙がポトリと落ちていく。重力に従いスローモーションで落ちていったそれは、地に落ちた瞬間四つの色鮮やかな玉に分かれて飛び散った。

 少女は足元に転がっている、玉の一つをそっと手に取る。親指と人差し指で作った輪程の大きさの、透明な玉。

 途端に手の中の玉は青磁色に輝き始める。すると、たちまち辺りの何もかもが目映い光に包まれて消えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ