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わんわん!

数日後・・・


 この数日間でわかったことをまとめよう。


 とりあえずこれは夢ではないようだ。


 五感が普通に働いているからな。串カツめっちゃ美味かったし、最近はドッグフードばっかりだけど、ドッグフードも結構いける。犬だからおいしく感じるのかな?


 あと、前足じゃほっぺたをつねることができなかったから棒に当たってみたけど、普通に痛かった。たんこぶできたかもしれない。夢じゃないってこともそうだし、犬も歩けば棒に当たるってことわざの犬の気持ちもわかった気がした。きっとこの犬も何か棒に当たらなきゃいけない都合があったんだ。まあ、他の犬の話はおいておこう。


 あとは・・・この町はオレが人間だった頃に住んでいた街とは全くの別物ってところか。


 おっさんとの散歩中にいろんなものを見て回ったが、見慣れた地名が一つも出てこなかった。この街の名前はミラビスっていうところくらいしかわからなかった。おっさんが家を空けたときに抜け出すこともあったけど、見知ったものは一切なかったな。オレは犬になる前までどこで何をしていたんだ。酒癖が悪すぎて知らない世界に飛ばされたとか?本当に訳がわからんな。


 ・・・わかったことはこれくらいかな。わからないことが多すぎてどれから手をつけたらいいかわからない。どうすれば、オレは人間に戻れるのだろうか。



「よーし。今日も散歩に行くか。」


「わん!(うん!)」



 今日も今日とて同じ散歩道を歩く。まだ数日間しか使ってないけどな。体感にして大体30分くらいってとこか?距離はわからないけど、結構歩いている気がする。


 歩いてたら記憶とか戻ったりしないかな・・・。犬になる前の記憶が戻ってきたらどうすれば戻れるかわかる気がするんだけどな。まあ急いでも仕方ないから、地道にいこう。



「そういえば、名前付けてなかったな。」



 確かにおっさんからはお前としか呼ばれてなかったけど、へんな名前はやめてほしいな。



「どうしよっか。まあ、とりあえずはわんこって呼んでようかな。」



 わんこか。変な名前じゃないならよしとしよう。



「よし、わんこ。そろそろ帰るか。」


「わん!(そうだな)」



 今日もドッグフードか。まあ犬だし仕方ないのか?おいしいからいいんだけどさ、これに慣れたら人間に戻ってもドッグフードを食べてしまいそうだよ。




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翌日


 おっさんが仕事に行ったみたいだな。


 ・・・そういえばおっさんがどんな仕事してるか知らないや。今日はおっさんに一日ついていってみるか。そうと決まれば早く追いかけなければ。まだ遠くには行っていないはず。


 家を出てから10分ってところか?こんなところにおっさんの勤め先があるのか。オレの散歩より短いじゃないか。そりゃおなかもぶくぶく膨れていくわな。



「はっくしぇいっ!こんな時期に風邪でもひいたかな?だれかオレのこと噂してるのか?」



 おっさんがなかに入って行ったな。ここにたくさん人が集まってるみたいだが、何かのお店だろうか。この格好でいけるところまで行ってみよう。もしかしたら、おっさんの仕事してるところまでいけるかもしれないな。



「あ!こんなところにわんちゃんがいるー!」



 げ!ガキがたくさんいる!外から中をちゃんと見ればよかった!入って気付いたが、ここは幼稚園のようなものなのか!


 やばい!ガキが大量にこっちに走ってくる!怖い!怖すぎる!ここは逃げるしかない!



「まってー。いっしょにあそぼー。」


「なでさせてー。」


「わんちゃんのおにくっておいしいのかな?」


「まってまってー。」



 一人やばいやつがまじっている!食べられる前に脱出だ!


 ハァ、ハァ。・・・無我夢中に走ってきたが、ここは何の部屋だ?視点が低すぎて机の脚しか見えないな。ここにはガキがいないから安心してもよさそうだな。



「ん!?どうしてこんなところにわんこがいる?もしかしてついてきたのか?」



 この声は・・・。おっさんか!助かった!じゃなくておっさんは保育士だったのか。



「アル先生、ここにペット連れ込んじゃダメですよ。」


「すみません、勝手についてきたみたいで。今度から気をつけます。」



 おっさんはアルっていうのか、ってそれどころじゃないな。オレがおっさんに迷惑をかけてしまったようだ。



「わんこ、一人で家にいるのがさびしかったのか?」


「わんわん!わんわん!(おっさんの後付けてきただけ。迷惑かけてごめんおっさん。)」


「そうかそうかー。わんこもこういってるみたいだし、ここに毎回つれてきちゃダメですかね?」



 おっさん!?そんなこといってない!あのガキの中にいたらオレ食べられちゃう!



「んー・・・。残念ですが、それはちょっと・・・。」


「そうですよね。」



 とりあえずオレは助かった・・・のか?助かったんだよな?



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数時間後・・・



「さて、わんこ帰るか。」



 ・・・ん?少し寝てちゃってたみたいだ。日も暮れてきてるし、結構寝ちゃってたのかもしれないな。



「わん!(帰ろう)」



 今日はおっさんがどんな仕事しているかってわかったから、一応一歩前進できた・・・かな?オレに関することは一歩も進んでないけど、飼い主のことを理解することも飼い犬としての役目だからな。・・・役目なのか?まあ気にしないでおこう。


 オレに関することはいつか思い出すきっかけがあるだろう。あってくれなきゃ困るが。


 さて、明日はどこに行ってみようかな?




 こうして、子犬は飼い主のことを理解することができた。次は何を学ぶことができるだろうか・・・?

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