本編
「ん…」
私はベッドで目が覚めた。
ダブルベッドに一人。
…あの人は冷たい。
付き合っているのにも関わらずいつもこんな感じである。
私はあの人の事をしっかり愛しているのに。
愛が足りないのだろうか。
もう少し頑張ってみよう。
私は重たい腰を持ち上げるように立ち上がる。
そして、服を取り出す。
ボタンを一つ一つ丁寧にとめる。
そして、顔を洗いに洗面所に行った。
そのとき、ふとみたところに見知らぬ歯ブラシがある。
「こんなもの買ったかしら?」
最近、物忘れが激しい。
気をつけないと、と気合を入れて顔を洗う。
そして私はご飯を食べ、かばんを持ち、外に出る。
しばらくして、戻ってきた。
「いつもより早くなっちゃった」
つぶやきながら靴を脱ごうと玄関をみると、知らない靴がある。
赤いハイヒールだ。
あの人の靴もきちんと揃えておいてある。
「まさか!」
叫びながら私はまっさきにあの人の部屋に行った。
予想的中。
女の人がいる。
しかも、あの人も女の人も裸だ。
「ち、違う!これは誤解だ!」
そうあの人は叫ぶ。
悲しくなった私は泣きながら外に逃げた。
酷い。
「あの人は初対面だ。」
そんな丸わかりな嘘ついたって分かるにきまってるじゃない。
あの人、馬鹿だわ。
…3日がたち、ようやく落ち着き、話をしにあの人の家に行く。
すると、あの人はいない。
次の日に行っても、その次の日に行ってもいなかった。
しばらくして私は遠くに引っ越した。
私は幸せに人生を送ろう。
そう思ったのだ。




