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サン
魔のモノ。そう呼ばれ捕まったものたちは、晒し者にされ殺された
裏切り者とされた人間は、等しく十字に張り付けられ火炙りにされた
じわじわと火に炙られ、なかなか死ねず裂くような悲鳴があたりに響く。
これが、人間のすることか。
そして我々の一族もまた、裏切り者とされた
薬を買ったものが金銭欲しさにリークしたのである。
急いでむかった幼き頃に育ったその場所で目にしたのは焼き払われ、未だ小さく残る火が燻る集落だった
燃えた家。死んだ森の木々。黒焦げになった人の形をしたもの。何かの焼けた匂い。濃密な死臭。
ー・・・地獄だ。
母さん。これでもまだ、人を愛せというのですか。
父さん。これでもまだ、森は人を愛するのですか
膝を付き、ただ呆然とするしかない自分の弱さと無力さに絶望した。
夢なら良かった。
母と父に出迎えられ、新たに産まれた森の子に冒険の話を聞かせる。
随分長生きな長老の小言を久し振りに聞くのもいいかもしれない
未だに所帯を持たずフラフラしている自分を暖かく迎えてくれる、優しい場所。
今だって思い出せる。あの場所を。思い出せるのにもうあの場所はないのだ。