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母は言った。
この世の全てに感謝をし、そして愛しなさい、と
愛しい人の。大切な人のいるこの世界そのものを愛しなさいと。
父は言った。
森は世界。即ち全て。森は優しくしかし厳しい。全ての生き物は森に生かされている。だから、森を護り森と生きる我々も他のイキモノとそのように生きなければならないよ
森は平等に全てを慈しむ。生命の起源は森。命全てを慈しむんだよ。全ての命が森の祝福を受けている。一つとして無駄な命などないのだから。と
難しいことは分からなくとも、母も父も言いたいことは命は大切だと教えたいのだと理解した
一族の血がしっかりと覚醒してからは、なるほどと納得した
森は何者をも包み込む。ただそこに有るだけで様々な生物を生かし、故に生まれる全ての起源は森であると。
この世に森が一つ残らずなくなれば、生き物は絶えてしまう。だからこそ森を守る一族である我々はその役目を誉れとし誇りを持つ
24歳になり、一族から独立し新たな集落を作るための儀式【枝分かれ】を成し、今まで自分が育った集落をでる
優秀だと認められたものは、長老から森を守る長の一人として自ら居場所を見つけなければならない
森をより知り、新たな発見も多々あった
平穏で、満ち足りた日々
しかし、それは長くは続かなかった
紅期。後期のことである。
ある国で王が死に、次の王を決めるため内部で分裂がおきた
ピリピリとした空気を割いたのはある王子の暗殺。
完璧な警備体制の最中、急に苦しみだした王子はそのまま手の施しようがないままなくなった
そしてある、宗教団体が放った言葉を皮切りにその悪夢ははじまった
曰く、これは魔の力を持つモノの陰謀である。全ての魔のモノを殺さねばこの悲劇は繰り返されるだろうと。
実際は暗殺や後ろ暗いことをかぎまわられるとこまるある皇族のものがそれを焚き付けたのが原因だが、人は人以外の力を持つイキモノや人の中でも異能を持つとされるものを蹂躙していった