6・アイドルの隣
この状況は喜んでいいものなのだろうか?まさか、愁様がクラスメートになろうとは…。
「じゃあ…多田くんは、紀藤の隣の席が空いてるな。そこに座れ」
「はい」
ああ…神様は私にいくつ災難を与えるの?涙目になりながら、優愛は思った。
「よろしくね。紀藤さん」
にっこり笑った後、彼は優愛の頬にキスをした。
「……!!!」
クラス中によどめきが起こる。多分、今のでクラス中の…いや、学校中の…いや、日本中の女子を敵に回したことになろう。そう思う優愛を裏目に、愁様はイタズラっぽく微笑んで見せた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「紀藤さん、一緒にトイレいかない?」
クラスの中でも一際目立つギャルグループの女子に声を掛けられた。
「う…うん」
優愛は苦笑いしながら頷いた。
そして行こうとしたその時、隣の席にいた愁様が机に突っ伏したまま私の手を掴んだ。
「紀藤さんは、僕に学校案内してくれるんだ。そうだよね?」
彼は真剣な瞳で言うので、優愛の胸の鼓動は大きくなった。
「そうなんだぁー。それじゃあ、うちが案内するよ!紀藤さん忙しそうだしい…」
そう言い、その子は優愛に横目で凄みをきかせる。
優愛が頷こうとしたとき、愁様はそれを遮った。
「僕は紀藤さんと行きたいんだ。行こう、紀藤さん」
そのまま優愛の手を引っ張って、連れ去ってしまった。
続きまだまだ書きます!






