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ジャポネ
なし
益田は寝ている。
氣がつけば
また、寝てしまったようだ。
まわりの輩がどんどん下船していく。
寝過ごしたか。
益田の姿を探す。
「ジャポネ、ジャポネ。」
大声で私に
手招きをする大男がいる。
どんどん人けがなくなる。
益田はどうした。
地球の歩き方の
綴じ込みが
うまく本にはいらない
さらにあわて
Dパックにページが
はさまる。
急いで
呼ばれた方に降りる
しまった
さっきの大男がいない
船の廊下
向こうから歩いてきた船員が
向こう、向こうと指さす。
どうやら向こうに
ジャポネがいるのか
言われるまま
船を下りる
船着き場に入り
階段を下りる
違う、華僑の人々だ。
中華系。
添乗のこぶとり女
あれ、あんたこのメンバーか
数え間違えたか
首をひねる
しばらくして
前、前と
指さす。
なし